そのウォーキングは適切な運動だと言える? アスファルトを避け、前月の1.3倍を目安に歩く「正しい運動法」

糖質制限、1日の水分補給量、がんは遺伝、仮眠の善し悪し...最近は健康情報がネットに溢れかえっています。そこで「食事」「運動」「睡眠」「生活習慣」などをテーマに、身近で気になる健康情報の疑問に医学のスペシャリストがお答えします。10名の医師団による共著『最強の医師団が教える長生きできる方法』(アスコム)から「健康寿命」のヒントになる記事を抜粋してご紹介します。

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【質問1】正しいウォーキング法を教えてください。

【答え】アスファルトは危険。歩く場合はやわらかい場所で。歩きすぎに気をつけましょう。

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▼教えてくれた人=齋田良知 先生

健康長寿のためにウォーキングを行うことは心から推奨できます。

でも、多すぎればいいわけではなく、かといって少なすぎてもいけません。

まずは適量というものを認識する必要があります。

「今日は○○分歩こう」とか「○○歩以上歩くまでは家に帰らない」とか、それが適切かどうかわからない目標をいきなり設定するのではなく、客観的に「自分を知ること」を最初に心がけてください。

かつてはウォーキングといえば歩数のみを測れる歩数計に手伝ってもらうスタイルが主流でしたが、いまは便利な時代になり、歩数のみならず、距離、速度、心拍数、消費カロリーなどを測定できるスマホアプリや、スマートウォッチをはじめとするウェアラブル端末が大きく普及しました。

これらを活用することにより、「自分は1日平均、どのくらい動いているのか」がわかります。

そして、疲れたと感じたときの運動量、あまり疲れなかったと感じたときの運動量を把握することができます。

何キロを何分のスピードで歩いたときに心拍数がいくつ上がった。

このくらい歩くと体重がだいたい何キロ(グラム)減る。

こういった、独自の傾向や特徴を客観的に見ていって、自分をしっかりモニタリングするのです。

そうすることによって、「いまの自分にとってのベストのウォーキングの内容(歩数、時間、速度など)」が見えてきます。

運動しなきゃ、体を動かさなきゃという気持ちがはやっても、決して無理をしてはいけません。

「キツい」「ツラい」と思う一歩手前で抑えるようにしてください。

「次はもっとがんばりたいな」と思うくらいのところで止めておくのがおすすめです。

ウォーキングの際に履く靴については、市販のウォーキングシューズやスニーカーでまったく問題ありませんが、できればクッション性に富んだものを選ぶようにしてください。

大事なのは自分の足にピッタリとフィットすること。

豆ができたり、靴ずれができたりする場合は、使用を中止したほうがいいでしょう。

また、シューズがその人の歩き方のクセや足首の角度に合わずに、歩いていて膝や股関節に痛みが生じるケースもあります。

その際はインソールを工夫すると改善されることもありますので、シューフィッターなどの専門家に相談するといいと思います。

もちろん、アスファルトなど硬い路面が膝や股関節の痛みに影響を及ぼすことも考えられますので、そういう方はできるだけ、土や芝生などやわらかい場所を歩くように努めてください。

砂浜なら、言うことなしです。

【質問2】「適度な運動(ペーシング)」の目安とは?

【答え】過去1カ月の1・3倍が目安です。

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▼教えてくれた人=齋田良知 先生

自分をモニタリングして、ちょうどよく負荷がかかる運動量を把握し、無理なくコンスタントに運動を続けていく。

これはとてもいいことですが、徐々に体が鍛えられていくと(慣れていくと)、物足りなくなる瞬間が訪れます。

そして、運動量を増やしてもっとペースを上げていきたいという気持ちになったとします。

そのとき、絶対に無茶をしないようにしてください。

スポーツ医療の世界には「最大1・3倍の法則」という概念があり、これは「過去1カ月に自分にかけた負荷に対して、その週自分にかける負荷を1・3倍までに抑えておくと、体を痛めることなく効果的なフィットネスにつなげられる」ことを意味します。

負荷が1・5倍以上になるとケガのリスクが上がると言われており、かえって逆効果になってしまうこともあります。

長期間休んでいた場合は、本当に少ない負荷からはじめることが大事です。

自己満足運動が失敗(思わぬケガ)を招かないように注意してください。

【質問3】激しい運動は逆に体に毒と聞きました。どうなのでしょうか?

【答え】週7日運動すると死亡率が高まります。

▼教えてくれた人=齋田良知 先生

運動習慣と心疾患による死亡率の因果関係に関する大規模な調査結果をまとめたおもしろい論文があります。

それによると、まったく運動をしない人の死亡率がいちばん高く、週に1回運動をすると死亡率がグンと下がり、2回、3回と多くなるに従い、さらに死亡率が下がっていくという結果が出たそうです。

しかし、週6日以上、すなわちほぼ毎日休まずに運動すると、1日おきに運動している人と比べて死亡率が上昇することが明らかになったとのこと。

これは、人間には休みが必要だということを意味しています。

休みなく毎日続ける運動は、疲れた体をリカバリーするチャンスを逃してしまうことになるのです。

トップアスリートでも週1日は必ずオフにしていますし、スポーツの強豪校の部活も、週1~2日の休みを取り入れるのがスタンダードになりました。

疲労を回復できないと、免疫機能を落とし、寿命を縮めてしまう可能性があります。

なにごとも、ほどほどが大事なのです。

【まとめ読み】『最強の医師団が教える長生きできる方法』記事リストはこちら!

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医学の専門家が「世の中に氾濫する健康情報の是非」を全5テーマでわかりやすく解説してくれています。

 

坂本昌也(さかもと・まさや)
「糖尿病研究」の旗手。国際医療福祉大学糖尿病・代謝・内分泌科学教授。2019年に10万人の患者データから「糖尿病は冬に悪化する」というエビデンスを世界で初めて発表。

 

頴川晋(えがわ・しん)
「前立腺がん腹腔鏡下手術」の世界的権威。東京慈恵会医科大学泌尿器科主任教授。世界の若手ドクターのスキル向上に貢献した成果を称し、日本人初のグローバルリーダーシップ賞に推載。

 

北原雅樹(きたはら・まさき)
公認心理師の資格ももつ、「慢性痛治療」に挑む医師。横浜市立大学附属市民総合医療センターペインクリニック教授。西洋のリハビリと東洋の鍼を融合したトリガーポイント療法「IMS」の第一人者。

 

齋田良知(さいた・よしとも)
「関節痛最先端再生医療」の第一人者。順天堂大学医学部整形外科学講座准教授。PRP注射を駆使した治療でトップアスリートから絶大な信頼を得ている。

 

繁田雅弘(しげた・まさひろ)
日本を代表する「認知症治療」の権威。東京慈恵会医科大学精神医学講座主任教授。もの忘れタイプの軽度認知症に対し、森田療法を駆使して早期治療で成果を上げている。

 

下村健寿(しもむら・けんじゅ)
福島県立医科大学病態制御薬理医学講座主任教授。世界を代表する生理学者フランセス・アッシュクロフト教授のもと、オックスフォード大学に研究員として8年在籍。「新生児糖尿病」という難病の特効薬の発見に貢献する。

 

炭山和毅(すみやま・かずき)
AIを駆使する「内視鏡診断治療」の第一人者。慈恵大学病院内視鏡部主任教授。早期胃がん、大腸がんであれば、AIを使った内視鏡の手技により巧みに機器を操って摘出する。

 

鳥海弥寿雄(とりうみ・やすお)
高い患者支持率を誇る乳腺外科医。東京慈恵会医科大学乳腺・甲状腺・内分泌外科特任教授。外科医でありながら保険指導医としてすべての診療に通じ、総合診療能力が高い。

 

前島裕子(まえじま・ゆうこ)
福島県立医大肥満体内炎症解析研究講座特任教授。幸せホルモンと呼ばれてきた「オキシトシン」が肥満治療にも有効であることを突き止めた、世界からも注目されるトップランナー。

 

三澤健之(みさわ・たけゆき)
帝京大病院肝胆膵外科学講座教授。日本一の肝胆膵外科医を目指し、慈恵大学病院から母校に戻り、傷口ゼロのパーフェクトな手技で、「低侵襲肝胆膵手術」で数々の実績を持つ。

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『最強の医師団が教える長生きできる方法』

(10名の医師団/アスコム)

どんどん情報化社会が発展し、ネット上には健康情報が溢れています。ダイエット法でも「本当はどれがいいの?」思う状況が多くなっています。そんな状況を救うため、10名の医学のスペシャリストが食事、運動、睡眠、生活習慣、治療法をテーマに全5章にわたってデータやエビデンスをもとに「健康情報の是非」を丁寧に紹介してくれている良書です。健康寿命と正しく向き合いたい方にお勧めの一冊!

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※この記事は『最強の医師団が教える長生きできる方法』(10名の医師団/アスコム)からの抜粋です。
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