コロナ禍での外出自粛などで、いま全国のシニアがフレイル(要介護の前の虚弱状態)の危機にあります。そこで、東京大学高齢社会総合研究機構の教授である飯島勝矢さんの著書『在宅時代の落とし穴 今日からできるフレイル対策』(KADOKAWA)より、自宅でできる感染予防や、要介護予防についてご紹介します。
オーラルフレイルを予防するために定期的に歯科健診を受けよう!
「口」は衰えの入り口。リスクをチェックしてみよう
「この前、歯医者に行ったのはいつだっただろう?」
こんなふうに思ったら、オーラルフレイルの黄色信号が点滅。
「口はその人の通信簿」「歯はインテリジェンスの表れ」ともいわれます。
口を見れば、健康意識の高い人かどうかが、すぐにわかるということ。
どんなにスタイルを気にしても、どんなに美肌に気をつかっても、歯や口の健康をあとまわしにしては、「人一倍、健康に気をつけています」「アンチエイジングにつとめています」とはいえないのです。
口のことに無関心でいると、虫歯や歯周病がいつの間にか悪化してしまいます。
すると、歯を失うリスクが高まり、噛む力や舌の動きも悪くなります。
思いどおりに話すことができなくなったり、食欲が減退して食べることに興味がなくなったりすることもあるでしょう。
それをきっかけに、新型栄養失調、サルコペニア、フレイルへと進みかねません。
特に気になる症状がない人も、下の問診票でオーラルフレイルのリスクをチェックしてみましょう。
あなたのお口は大丈夫ですか?オーラルフレイルのリスクをチェック
何でも相談できる、かかりつけ歯科医をつくろう
問診票に答えた結果、合計点数が3点以上だったら、早めにかかりつけの歯科医に相談しましょう。
もしもまだ、かかりつけの歯科医がなかったら、それを探すことからスタート。
歯が痛い、調子が悪いと思ってからあわてて駆け込むのではなく、年に3~4回、定期的に歯科医院を受診する習慣を持つことをおすすめします。
虫歯や歯周病のチェックだけでなく、口臭がないか、噛み合わせが悪くないかなどを診てもらい、気になることがあったら相談。
「そういえば......」と思った「むせ」や「食べこぼし」のことも尋ねてみましょう。
定期的な歯科健診は、口の衰えだけではなく、全身の衰えを防いで健康を守ってくれます。
オーラルフレイルを知った今こそ、受診のタイミングなのです。
フレイルになるリスクあり!口の機能低下は悪循環を招く
やわらかいものばかり食べていると、噛む機能がどんどん低下して、かたいものが噛めなくなるという悪循環に陥ります。
東京都健康長寿医療センター 平野浩彦氏提供
イラスト/中村知史
要介護の手前の「フレイル」状態を防ぐために自宅でもできる健康法について、5章にわたって分かりやすく解説