糖尿病や高血圧の改善にも!ゆったりした運動「スローステップ&スロージョギング」の効果

新型コロナウイルスによる自粛生活によって、運動不足の方も多いですよね。そんな「withコロナ」の時代にオススメと再評価されているのが、医学博士の故・田中宏暁さんが提唱された「3つの運動」。自宅で簡単にできる「足踏み」、台を使った「スローステップ」、さらに無理のないペースの「スロージョギング」です。田中さんの著書『免疫の働きUP! 4秒で1段昇り降り スローステップ運動』(KADOKAWA)より、手軽に健康な身体づくりができる「スローステップ運動」についてご紹介します。

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ニコニコペースの運動で糖尿病が改善

生活習慣病の代表格である糖尿病。

その中でも95%を占める2型糖尿病は、遺伝の他、運動不足や生活習慣などで引き起こされる病気です。

本来、人の身体には糖質を胃や腸でブドウ糖に分解し、全身の細胞に送り届け、消費させるシステムが備わっています。

このとき、細胞の中にブドウ糖をエスコートするのがインスリンというホルモンです。

ところが、2型糖尿病の人にはこのインスリンの量が減ったり、インスリンは出ているけれどそれに反応しないという、システムの不具合が起こってきます。

結果的に血液中にブドウ糖がだぶついて、さまざまな合併症が引き起こされてしまうのです。

私たちが主催した運動教室に通って、重度の糖尿病が改善された人は少なくありません。

ニコニコペース(笑顔で会話しながら走れ、息切れもしないペース)の運動が血糖値を下げる効果は極めて高いのです。

ブドウ糖が細胞で利用される仕組み

糖尿病や高血圧の改善にも!ゆったりした運動「スローステップ&スロージョギング」の効果 200924_01.jpg口から取り入れた炭水化物や糖質は消化器で分解され、ブドウ糖として血液中に取り込まれます。血液中にブドウ糖が増えてくると、すい臓から血糖値を下げるインスリンがただちに分泌されます。インスリンの働きは、細胞の膜にあるレセプターにくっついて細胞にかかったカギを開け、ブドウ糖を細胞内に取り込ませること。すなわちブドウ糖のエスコート役。2型糖尿病はこのシステムが正常に働かなくなるために引き起こされます。

スロージョギングは高血圧の改善にも有効

2014年の厚生労働省の調査によると、日本人の40~74歳の男性で約6割、女性では約4割が高血圧ということが分かりました。

心臓が収縮したときの最高血圧が140mmHg以上、または心臓が拡張したときの最低血圧が90mmHg以上の数値であると高血圧と診断されます。

この状態が続くと心臓や血管に負担がかかり、最悪の場合、心筋梗塞、脳卒中につながります。

ニコニコペースのスローステップやスロージョギングは、こうした高血圧の改善にも有効だということが分かっています。

重度の高血圧患者の方でも、スロージョギングを1日30分から1時間、週に3~5回行う習慣をつけたところ、3カ月も経つ頃には、血圧が正常値まで落ちたことが実証されました。

薬で下げられない分を運動で下げることができたのです。

もちろん、体力の向上も見られたことは、いうまでもありません。

ニコニコペースのスロージョギングで高血圧が改善

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(出典)Motoyama M et al. : Med Sci. Sports Exerc., 1998

平均年齢75.5歳の高血圧の患者さん十数名にニコニコペースの運動を継続的に行ってもらった結果。降圧剤を服用しているので最初から最高血圧は150mmHg以下ですが、運動をはじめて3カ月後には血圧の降下が見られました。

イラスト/加藤 マカロン

【まとめ読み】『スローステップ運動』記事リスト

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新型コロナ自粛の運動不足解消法として再注目されている「スローステップ運動」を、4章にわたって解説

 

田中宏暁(たなか・ひろあき)
福岡大学名誉教授、「スローステップ」の提唱者。医学博士。専門は運動生理学で、肥満・動脈硬化性疾患などの疾病の治療と予防および健康増進・競技能力向上に有効な運動処方に関する研究が主なテーマ。自ら46歳よりマラソンランナーとしても活躍。2018年永眠。

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『免疫の働きUP! 4秒で1段昇り降り スローステップ運動』

(田中宏暁/KADOKAWA)

新型コロナ自粛の運動不足解消法として再注目されている「スローステップ運動」は、自宅でも特別な道具なしに簡単に始められます。「スローステップ運動」で楽しく適度に運動して、認知症や生活習慣病などを予防し無駄な脂肪を減らしましょう。まだまだ続くコロナ禍への対策に、免疫力を上げるためのヒントとなる一冊です。

※この記事は『免疫の働きUP! 4秒で1段昇り降り スローステップ運動』(田中宏暁/KADOKAWA)からの抜粋です。

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