新型コロナウイルスによる自粛生活によって、運動不足の方も多いですよね。そんな「withコロナ」の時代にオススメと再評価されているのが、医学博士の故・田中宏暁さんが提唱された「3つの運動」。自宅で簡単にできる「足踏み」、台を使った「スローステップ」、さらに無理のないペースの「スロージョギング」です。田中さんの著書『免疫の働きUP! 4秒で1段昇り降り スローステップ運動』(KADOKAWA)より、手軽に健康な身体づくりができる「スローステップ運動」についてご紹介します。
スローステップって、何?
新型コロナで注目されたのはなぜ?
足踏みを基本にして行いたいのがスローステップ運動です。
ステップには、1歩、歩み、足どり、階段、などいろいろな意味がありますが、1つの段差を利用して1歩ずつ行う昇り降り運動です。
スローにこめた意味は、無理せず笑顔で続けられ、心臓など身体への負担が大きくない「ニコニコペース」のすすめです。
軽い運動ですが、スローステップは、脚を引き上げる動作をするのに足腰の大きな筋肉を使うため、エネルギー消費量が多いのが特徴です。
普段の生活で脚を引き上げる動作はほとんどないので、何もしないと足腰の筋肉が衰えます。
年齢とともに転倒しやすくなり、要介護状態や寝たきりのリスクが増えることにもつながるのです。
何歳からでも遅くありません。
新型コロナ対策で家にいることが多くなっても、階段や玄関の段差で、市販のステップ台を使って誰にでも楽にできます。
下のグラフのように、スローステップをすることで関節痛が和らぐという調査結果もあります。
どんなときも、ニコニコペース(笑顔で会話しながら走れ、息切れもしないペース)で続けられる運動なのです。
*持病がある人は医師に相談のうえ行ってください。
スローステップと関節痛
身体のどこかに痛みをもつ高齢者(平均75歳)にスローステップを12週間行ってもらい、痛みがどのように変化するかを調査したところ約90%が改善した。
【スローステップをはじめる前の痛み】
【スローステップを12週間行った後】
(福岡大学身体活動研究所調べ)
室内で簡単に行えるステップ運動
階段やステップ台を使って、1段を8ステップ(片足から4ステップ、逆の足から4ステップ)で昇り降りするのが「スローステップ」運動です。
足踏みに負けず劣らずの簡単な運動です。
メリットはなんといっても、スペースをとらずに家の中で行えること。
寒さや暑さが厳しいときや雨の日に外で無理に運動すると、かえって体調を崩してしまうことがありますが、天候にかかわらず、確実に効果が期待できます。
繰り返し、台を昇り降りするだけで、ゆっくり走るのと変わらない運動量が確保できることも、大きなメリットのひとつです。
スローステップの運動強度は、散歩レベルのスピードよりちょっと速い歩行またはゆっくりジョギングと同等に当たります。
台を昇るという動作で、下半身の筋肉がさらに刺激されることも重要なポイント。
足踏み運動がテンポよくできるようになったら、ぜひスローステップに挑戦してみてください。
低い台を昇り降りするだけ!
1日30分の足踏み運動に慣れてきたら、スローステップに挑戦! 速めの歩行、またはゆっくりジョギングと同じレベルの運動になります。
高さ20cmぐらいの台で、階段や玄関の段差でもOK
スローステップで使うのは約20cmの高さの台。
最もおすすめなのはリハビリやフィットネス専用のステップ台で、スポーツ用品店やホームセンターなどで手軽に手に入ります。
ステップ台が手に入らないときは、階段や玄関の段差などを利用してみるのもいいでしょう。
階段を利用する場合は、手すりにつかまって行っても効果は同じ。
バランスをうまく保てる自信がないときは、手すりを利用してください。
また、足を踏み外す危険を避けるため、階段の一番下の段で行いましょう。
ステップ台の代用として避けたいのは、新聞や雑誌などを束ねたもの。
昇り降りを繰り返すうちに崩れてきたりして、ケガをしたり足を痛めることがあります。
スローステップはあくまで安定した台で行うことが基本。
台を用意したら、さっそく実践。
次ページから正しいスローステップの行い方を紹介します。
玄関の段差で
階段で行う場合は......
階段や玄関の上がりがまちなどを利用して行ってもよし。ただし、階段を使う場合は一番下の段で行うこと。手すりにつかまってもOK!
不安定な台は使わない
新聞や雑誌をまとめたものはダメ! 昇り降りを繰り返すうちに崩れてしまいやすいので、危険です。
イラスト/加藤 マカロン
新型コロナ自粛の運動不足解消法として再注目されている「スローステップ運動」を、4章にわたって解説