新型コロナウイルスによる自粛生活によって、運動不足の方も多いですよね。そんな「withコロナ」の時代にオススメと再評価されているのが、医学博士の故・田中宏暁さんが提唱された「3つの運動」。自宅で簡単にできる「足踏み」、台を使った「スローステップ」、さらに無理のないペースの「スロージョギング」です。田中さんの著書『免疫の働きUP! 4秒で1段昇り降り スローステップ運動』(KADOKAWA)より、手軽に健康な身体づくりができる「スローステップ運動」についてご紹介します。
まずは裸足で足踏みからスタート
今すぐ、「足踏み」をしましょう。
まず裸足になって、その場で足踏みをしてみてください。
最初は何も考えずに、しばらく足踏みを続けてみます。
このとき、かかとをドンドンと床に着けて足踏みをしている人は、まずいないでしょう。
靴を履いて歩くとき、ほとんどの人はかかとから地面に着くことが多いと思いますが、裸足で足踏みをしてみると、自然に足の指の付け根から着地していることが分かるはずです。
実はこの感覚が、ウォーキングやランニングの一番自然な着地の仕方です。
手でいえば、てのひらより指先の方が器用に操れるように、かかとより指側の方が巧みにコントロールできます。
自分の体重を支えてスムーズに歩いたり走ったりするためには、器用に操れる部分を使うのが最も効率的なのです。
まずは、この感覚を身体に覚え込ませてください。
足踏みで着地の感覚をつかむ
何も考えずに裸足で足踏みをすると、無意識に足の指の付け根で着地していることに気づきます。ふだんの歩き方とは違う感覚を実感してください。
太ももを引き上げて足の指の付け根で着地
次に足踏みの大事なポイントを身につけましょう。
股関節から太ももを60度程度引き上げて足踏みを繰り返します。
腕はがんばって大きく振るのではなく、肩の力を抜いて足踏みに合わせて自然に振りましょう。
着地は足の指の付け根で行い、床から足を離すときも足の指の付け根から。
縄跳びをするときのイメージです。
最初は1秒間に2歩、足踏みを休まずに1分間続けることを目標にしてください。
楽にできる人は股関節を90度まで引き上げます。
そうするとかなりの運動量になります。
ただし、あくまでも無理は禁物。
ニコニコ笑顔を保てるような楽なペースで行うことが基本です。
自分の体力に合わせたペースで足踏みを続けていきましょう。
着地はかかとではなく、足の指の付け根で行います。ドンドンと床を鳴らすのではなく、しのび足の要領。股関節の角度はおよそ60度。はじめは太ももを高く引き上げすぎず、リズミカルに足踏みを繰り返します。
足踏みで下半身の筋肉が目覚める
ここで、ふだん歩いているときのフォームを改めて振り返ってみてください。
太ももを引き上げるという動作はしていないはずです。
それどころか年齢を重ねるごとに、ほぼすり足の状態で歩く人が驚くほど多くなるのです。
その場での足踏みは、左右の太ももを引き上げるという動作の繰り返し。
この動きによって、ふだんあまり使わない下半身の筋肉に刺激が入ります。
具体的には、太もも、お尻、そして上半身と下半身をつなぐ腸腰筋という筋肉。
これらは全身の筋肉の中でも、とくに大きな筋肉で、歩いたり走ったりするための基本の筋肉。
また、加齢によって急速に衰えていく筋肉でもあります。
こうした大きな筋肉に刺激を入れ、鍛えることができるのです。
鍛えはじめる年齢に遅すぎるということはありません。
1歩、足踏みをはじめたそのときから筋肉は確実に目覚めていく、と考えてください。
足踏みでこんな筋肉が鍛えられます!
●脚の付け根
背骨と太ももの骨をつなぐ腸腰筋。股関節を曲げて太ももを引き上げるときに、主に働きます。
●太もも
脚の付け根からひざまでをカバーする大きな筋肉、大腿四頭筋。股関節を曲げたりひざを伸ばすときに働きます。
●お尻
骨盤の後ろ側、お尻の一面を覆う筋肉、大臀筋。立ったり歩いたりする動作で股関節を伸ばすときに働きます。
イラスト/加藤 マカロン
新型コロナ自粛の運動不足解消法として再注目されている「スローステップ運動」を、4章にわたって解説