新型コロナウイルスによる自粛生活によって、運動不足の方も多いですよね。そんな「withコロナ」の時代にオススメと再評価されているのが、医学博士の故・田中宏暁さんが提唱された「3つの運動」。自宅で簡単にできる「足踏み」、台を使った「スローステップ」、さらに無理のないペースの「スロージョギング」です。田中さんの著書『免疫の働きUP! 4秒で1段昇り降り スローステップ運動』(KADOKAWA)より、手軽に健康な身体づくりができる「スローステップ運動」についてご紹介します。
歩くよりスロージョギングが優れているわけ
歩くスピードで走るのなら、ウォーキングでも効果は同じなのでは? そう思う人もいるかもしれません。
ただ、同じ距離を移動してもウォーキングのエネルギー消費量はスロージョギングの約半分。
また、下の表の通り、ウォーキングは時速6km以上になるとかなりキツい運動になるのです。
速いスピードで歩くより、むしろ走った方が身体に負担がかからず効率的に移動できます。
実際、私の大学の学生たちは平均して時速6・5kmのスピードで走り出します。
一般人なら時速5・5kmくらいが切り替え地点でしょう。
その点、スロージョギングなら歩くスピードからはじめて、徐々にスピードが上がっても身体に負担がかかりません。
なにしろ、あくまでニコニコペースなのですから。
安全で身体に負担が少なく、エネルギー消費量が高い。
これがスロージョギングの長所なのです。
スピードが上がるにつれ、ウォーキングはキツくなる
ゆっくり歩く速度を時速3kmとすると、買い物や通勤などでは時速4~5km。6kmになると相当がんばって歩かなければなりません。速く歩けるようになるほど、ジョギングより運動強度が高いハードな運動になってしまいます。これでは毎日の習慣にすることが難しくなります。
自分に合ったペースだから長続きする
ある程度の運動をすると、筋肉中に「乳酸」という物質が蓄積していきます。
これは筋肉でエネルギーが使われるときに生じる物質で、その量が増えてくると、人はシンドいと感じます。
ごく軽い運動から、徐々に運動の強度を上げていくと、この乳酸の量が急激に上がるポイントがあります。
短距離走のような運動は、このポイントをはるかに超えているため、長く続けられないのです。
乳酸が溜まりはじめる直前のポイントが「ニコニコペース」なのです。
このポイントは、体力や年齢、運動経験などによって人それぞれ異なります。
時速7kmをニコニコペースで走れる人もいれば、時速3kmがニコニコペースという人もいます。
スロージョギングで有酸素運動能力がついてくれば、ニコニコペースのスピードは上がっていきます。
焦らずにまず、自分に合ったペースを探すことが重要というわけです。
年齢や体力によってニコニコペースは異なる
平均的には20代では時速7km、50代では時速5km、70代になると時速4kmで乳酸の量が増えてきます(個人差は大きい)。同じニコニコペースといってもスピードはその人によってかなり異なるのです。笑顔で会話を楽しめる、自分に合ったペースをつかむのが、スロージョギングを楽しむ重要なポイントです。
イラスト/加藤 マカロン
新型コロナ自粛の運動不足解消法として再注目されている「スローステップ運動」を、4章にわたって解説