ワンピースやタイツは避けてほしい...。現役医師が教える「診察しやすい服装、しにくい服装」

「自分が望んだ検査」や「ほしい薬」の処方をしてもらえず、お医者さんに満足できない...実はそれ、あなたの「病院のかかり方」に問題があるのかもしれません。そこで、多彩な情報発信をしている現役医師・山本健人さんの著書『医者と病院をうまく使い倒す34の心得』(KADOKAWA)より、「知っておくと、もっと上手に病院を利用できる知識」をご紹介。医師&病院の「正しい活用術」を、ぜひ手に入れてください。

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病院で診察を受けるときは「いい格好」ではなく、「ラクな格好」でどうぞ

① 一人「1分の短縮」でみなさんの待ち時間を短くできます
② 救急車を呼んだときは「診察後」のことも忘れずに


診察しやすい服装、しにくい服装

患者さんの中には、きちんとした格好で病院に行かねばならないと思っている人がいます。

もちろん、電車など公共交通機関を使って受診する場合は、服装が気になるのも無理はないでしょう。

また、受診した後に出勤する人もいますし、帰りにスーパーに寄って買い物をする人もいます。

病院だけのための外出とは限らないため、受診時の格好をあまり意識しない人も多いと思います。

一方、医者の立場としては、むしろきちんとした「よそ行きの格好」の方が診察しにくいケースがあります。

なぜなら、私たちが診察したい部分を露出しにくいことが多いからです。

患者さんの服装についてお願いしたいのは、痛みなどの症状がある部分や、医者に診てほしい部分を簡単に露出できる格好で来てほしい、ということです。

「そんなの当たり前じゃないか」と思うかもしれませんが、診察に難渋する格好で病院に来る患者さんは想像以上に多くいます。

たとえば、ワンピースです。

お腹が痛いと言って来院した患者さんには、お腹を見せてもらい、触らせてもらわなければ診察になりません。

もし患者さんがワンピースなら、下からたくし上げてもらうしかありません。

これは患者さんにとってかなり抵抗があるはずです。

胸に聴診器を当てようとしても、ワンピースだとどこからも手が入りません。

きちんとした診察をしようとすると、ワンピースを全部脱いでもらうしかなくなってしまいます。

見知らぬ医者の前で、本来露出する必要のないところまで露出するのは誰しも避けたいはずです。

身体診察の重要な要素となる「見る(視診)」「触る(触診)」「聞く(聴診)」は、いずれも患部に直接アプローチしなければ成立しません。

病院に行くときは、医者が行うこれらの動作を意識して服装を選ぶ必要があるのです。

他にもいくつか「よくない例」を挙げてみます。

カップ付きキャミソール(カップ付きインナー、ブラトップ)もまた、診察しにくい服装の一つです。

胸の下の部分がタイトになっているため、胸に聴診器を当てようとしても、なかなかうまくいかず苦労します。

また、タイツをはいている方に下半身の診察をする場合、タイツをすべて脱いでもらわねばなりません。

きついタイツをはいている方は、この脱ぎ着に時間がかかりますし、ご自身も一苦労です。

タートルネックもなかなか厄介です。

咳や喉の痛みといった気道の症状がある患者さんには、特に首の診察が大切です。

首のリンパ節が腫れていないかどうかを確認する必要があるからです。

他にも、首の前面にある甲状腺の触診を行うケースもあります。

タートルネックだと、この診察がかなりやりにくくなります。

むりやり触ろうとして大事な服の首回りが伸びてしまっては患者さんも困るでしょう。

私たちも、かなり気を使いながらの診察になってしまいます。

また、出勤前後の受診だとフォーマルな格好の人も多く、体を見るためには、ジャケットを脱ぎ、ネクタイをはずし、タイトなシャツを脱いでいただかねばなりません。

服の脱ぎ着に時間がかかると、それだけ診察の時間が延び、他の患者さんの待ち時間が長くなります。

冬は特に厚着の患者さんが多く、普通に脱ぎ着するだけでもそれなりの時間がかかります。

もちろん、患者さんが服を脱いだり着たりしている間に会話を続けるなど、その時間を有効活用することもできますが、高齢の患者さんの場合、これもなかなかうまくはいきません。

話す間、服を脱ぐ手が止まってしまうことが多いからです。

よって多くの場合、医者はじっとおし黙って待っていることになってしまいます。

当然ながら、寒い時期に待合室で薄着で待つわけにはいきませんが、可能な限り、診察室に呼び入れられる直前にコートやジャケットなどは脱いでおく、脱ぎ着しにくい服はなるべく避ける、といった準備ができると、患者さんも医者も診察が楽になります。

こうした小さな積み重ねによって診察はスムーズになり、全体の待ち時間の短縮につながるのです。

ちなみに、お化粧もときに悩ましいことがあります。

あまりにしっかりお化粧をされている人だと、顔色の判断が難しいことがあるからです。

頬の赤みが病的なものなのか、お化粧によるものなのか、判別がつきにくいと患者さんにとっては不利益が大きくなります。

病院に行くときは、お化粧も「ほどほど」にしておくのがおすすめです。

体調が悪くて何日かお風呂に入っていないことを気にされる人もいますが、まったく問題はありません。

病院に行くからといって無理にお風呂に入って症状が悪化することの方が心配です。

気にせず、そのままで来てください。

【まとめ】『医者と病院をうまく使い倒す34の心得』記事リスト

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医師や医療行為への「よくある疑問や不安」を、Q&A方式でわかりやすく解説! 「医学のスペシャリスト」を上手に利用するための「34のエッセンス」が詰まっています

 

山本健人(やまもと・たけひと)
京都大学大学院医学研究科博士課程、消化管外科。「外科医けいゆう」のペンネームで運営する医療情報サイトが好評で、Twitterのフォロワー数は約7万人を数える。著書に『医者が教える正しい病院のかかり方』(幻冬舎新書)、『もう迷わない! 外科医けいゆう先生が贈る初期研修の知恵』(シービーアール)、『もったいない患者対応』(じほう)がある。

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『医者と病院をうまく使い倒す34の心得 人生100年時代に自分を守る上手な治療の受け方』

(山本健人/KADOKAWA)

病気で悩まないためには、何でも医師に「お任せ」ではなく、私たち患者自身も「自分を守るための知識」を身につける必要がありますよね。医師や医療行為に対してよく感じる疑問や不安に一つ一つ答える形式で、上手な「病院の利用法」についてわかりやすくレクチャーしてくれます。令和版「医師のトリセツ」とも言える、必携の一冊です!

※この記事は『医者と病院をうまく使い倒す34の心得 人生100年時代に自分を守る上手な治療の受け方』(山本健人/KADOKAWA)からの抜粋です。
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