「自分が望んだ検査」や「ほしい薬」の処方をしてもらえず、お医者さんに満足できない...実はそれ、あなたの「病院のかかり方」に問題があるのかもしれません。そこで、多彩な情報発信をしている現役医師・山本健人さんの著書『医者と病院をうまく使い倒す34の心得』(KADOKAWA)より、「知っておくと、もっと上手に病院を利用できる知識」をご紹介。医師&病院の「正しい活用術」を、ぜひ手に入れてください。
「医者に聞きたいことがあるのに、いつもなかなか言い出せません。説明の最中に話を遮るのも失礼だし、『そんなことも知らないのか』と思われそうで......」
【答え】
① 疑問に思ったことは、なるべくすべて聞けるように準備しましょう
② 説明の最中に浮かんだ質問はメモしておいて最後に聞くとよいでしょう
医者に上手に質問するテクニック
医者に聞こうと思っていたことがたくさんあったのに、いざ診察室で対面するとうまく言い出せず、いつも不完全燃焼で終わってしまう。
そんな人は多いのではないでしょうか。
疑問を解決しないままでは、治療に前向きに取り組むのも難しいでしょう。
一方で医者には、限られた時間内に診察を終えなければならない、という意識があるため、多少せかせかしてしまう傾向があります。
そこで患者さんは、短い時間の中で医者をいかに上手に「利用」するかを考え、効率よく質問する"技術"を身につけておく必要があります。
まずおすすめしたいのが、疑問点をメモに書き出しておき、それを医者に問う前に、「今日は質問したいことが3つほどあります」と宣言してみることです。
さらに、「抗がん剤のことに関して2点と、生活上の注意点について1点なのですが」と、質問のテーマについて「目次」を伝えるのも有効です。
これによって医者は頭の準備ができるため、短時間で情報を整理して答えやすくなります。
とにかく、医者に対して「これは答えるのに時間のかかりそうな質問だな」と思わせないのがコツです。
逆に、事前にびっしり質問事項を書き込んだメモをそのまま医者に見せて、「今日は聞きたいことがたくさんあるんですが」と会話を始める人がいますが、これはあまりおすすめできません。
たとえ一つ一つが短時間で答えられる質問であったとしても、そのメモだけで医者に「これは大変そうだ......」と警戒させてしまうからです。
限られた時間内にいかに医者から情報をうまく引き出すか、十分に作戦を練り、質問を上手にまとめ、優先順位をつけて聞くことが大切です。
患者さんの上級質問テクニック
また、医者から一方的に説明されると途中で疑問を感じても話を遮れず、終わった頃には「何を疑問に思ったか」がわからなくなっている。
そんな経験がある人も多いのではないでしょうか。
説明の最中にいろいろと質問が思い浮かんだはずなのに、途中で聞けないうちに説明が終わってしまい、煙に巻かれたように診察室を出るのは何とも後味が悪いものでしょう。
しかし、どれほど記憶力が良い人でも、長い説明の最中に思い浮かんだ質問事項をすべて記憶し、それを整理してアウトプットするなどという芸当はできません。
そこで、医者の説明を聞くときはメモ帳を準備しておき、聞きながら同時に質問事項を書き留めておくのがおすすめです。
説明が終わった後にメモを見返し、「今の話に関して3点ほど質問があるのですが」と質問を始めればよいのです。
聞きながらメモを取るのが難しいと感じる人は、家族の方に一緒にいてもらうといいでしょう。
自分は話を聞くことに集中しメモは家族に任せる、といった作戦も有効です。
ここまでの内容は、何も私が思いつきで提案しているわけではありません。
すべては、「病院や医者を利用するのが上手な患者さん」から私が学んだことです。
経験豊富で病院を使い慣れている患者さんは、こうした技術に長けています。
医者を上手に使い倒し、うまく実益を引き出すのです。
そういう方々から学んだことを私がここで提案している、というわけです。
医者の中には、話を遮られると嫌な顔をする人がいるかもしれませんが、その気持ちもわからないではないのです。
順を追って話そうと思っているのに、何度も話の腰を折られるのは、話し手としてもリズムがつかめずつらいものだからです。
したがって、やはり患者さん側としてはうまく質問するテクニックを身につけておくことが大切になるのです。
【まとめ】『医者と病院をうまく使い倒す34の心得』記事リスト
医師や医療行為への「よくある疑問や不安」を、Q&A方式でわかりやすく解説! 「医学のスペシャリスト」を上手に利用するための「34のエッセンス」が詰まっています