コロナ禍による運動への意識の変化についてのアンケート調査(3月、ロコモチャレンジ!推進協議会)によると、昨年度の同じ時期に比べ約5割の人が外出機会減、約4割の人が運動機会減と回答。運動不足が懸念されています。伊奈病院整形外科部長の石橋英明(いしばし・ひであき)先生に「ロコモティブシンドローム(運動器症候群)」についてお聞きしました。
筋肉や骨が弱って「立つ」「歩く」といった移動動作が難しくなるロコモティブシンドローム(以下、ロコモ)。
「自分の足で動けなくなると、身の回りのことができなくなって日常生活に支障をきたします。また、関節の痛みや骨粗鬆症など、足腰の病気を発症しやすくなります」と、石橋英明先生。
新型コロナの影響で外出の機会が減り、運動不足が懸念されているいま、ロコモ予防にはどんな対策をとったらよいのでしょう?
「スクワットや片脚立ち、かかとの上げ下げのようなトレーニングが有効です。また、ラジオ体操やウォーキングもおすすめ。体力のある人は、1時間ぐらい歩いてもいいでしょう。ただし、人との距離をとって、暑さ対策もしっかり行ってください。簡単で安全にできるトレーニングを続けることで、運動機能が上がります」。
運動やウォーキングは苦手という人は、家事や趣味など、生活の中でこまごまと動くように工夫をすることでロコモ予防になります。
「もしかしてロコモかも?」と、不安に感じたら、整形外科医へ相談を。
「足腰に痛みやしびれがある、3カ月から半年以内に急激に力が落ちてきたといった症状がある場合は、遠慮せずに整形外科を受診してください。病気によっては、運動することで症状を悪くすることもあります。まずは心配のある状態かそうではないかを確認してから、ロコモ予防に努めてください」。
ロコモかどうか、調べてみましょう
いすに座った状態から、片脚で立ち上がれますか?
●立ち上がれる人は...
正しく体を使えています。脚、特に太ももに十分な筋力があります。
●立ち上がれない、立ち上がるときにふらつく人は...
体を支える筋力、特に脚の筋力の低下が始まっています。バランス力も落ちてきているので、下半身の力をつける必要があります。
この体操で「下半身の力」をつけられます
① 片脚立ち
左右1分ずつ×1日3回行ってください。
② スクワット
深呼吸するペースで、5~10回×1日3回行うようにしてください。
③ かかとの上げ下げ
10~20回×1日2~3回を行ってください。
これらの体操は「続けること」が肝心です。無理せず、自分のペースで行いましょう。
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取材・文/オフィス・エム(寳田真由美) イラスト/添田あき