「ブロッコリー」は蒸す?煮る?漢方のプロが教える「栄養のための正しい調理法」

頭痛や腹痛などのちょっとした体の不調。病院に行くほどでもないものの、どうにかしたいですよね?こうした不調は、「自分の体に合った食べものを摂ればだんだんと改善される」と漢方薬剤師の杉山卓也さんは言います。そこで、東洋医学に精通する杉山さんの著書『不調が消える食べもの事典』(あさ出版)から、食べもので健康をキープする「食養生」の始め方と「旬食材の効能」の一部をお届けします。

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【登場人物】

よう子:20代の会社員。デスクワークの毎日で、体の不調に悩む女性。冷え性や頭痛などを根本的に治したいけれど、どうすればいいのかわからない。

タクヤ先生:神奈川県にある漢方薬局の薬剤師。相談に来られる方へ漢方薬の処方だけでなく、食生活のアドバイスもしている。


ある日、よう子さんは友人とランチをしていました。そこで自分の体調のことを話していると、友人に予約制の漢方薬局を勧められました。後日、よう子さんは、ドキドキしながら紹介された漢方薬局を訪れました。


【第7回】食べものの栄養を無駄なく摂る調理法

タクヤ先生 昨日、複数の食材を一緒に食べられるうえに、バランスが良いということで、スープをおすすめしましたね。実は、スープをおすすめしたのには、ほかにも理由があるんです。

よう子 え、さらにメリットがあるんですか?

タクヤ先生 そうなんです。食材に含まれる栄養は調理法によって失ってしまうことがあるのですが、スープは栄養を余さず摂ることができるんです。

よう子 え、栄養を失ってしまうことがあるんですか?

タクヤ先生 そうなんです。食材はいろいろな栄養をもっていますが、熱に弱かったり、水に溶けやすかったりするんです。

よう子 じゃあ、熱に弱い栄養をもつ食材を炒めると栄養がなくなるんですか?

タクヤ先生 なくなるまではいかないですが、栄養が減ってしまいます。たくさん栄養をもっている食材でも適していない方法で調理すると、しっかりと栄養を摂ることができなくなります。

よう子 えー、せっかく栄養を摂るために食べるんですから、しっかり栄養を摂りたいです。

タクヤ先生 そうですよね。そのためには、食材に適した調理方法を知っておく必要があります。よう子さんは、どのような方法でよく調理しますか?

よう子 かんたんにつくれるので炒め物が多いです。あと、冬は鍋が多いです。

タクヤ先生 では、炒める以外で、ほかにどんな調理方法がありますか?

よう子 えーっと、揚げる、煮る、蒸す、茹でるです。

タクヤ先生 そうですね。では、ブロッコリーはどの方法で調理すると栄養がしっかり摂れると思いますか?

よう子 え、ブロッコリーですか?なんだろう。うーん、茹でる、ですか?

タクヤ先生 うーん、残念。ブロッコリーはビタミンCが豊富なのですが、ビタミンCは水に溶けやすい性質があります。なので、スープとかにするのがおすすめです。つまり調理方法でいうと、煮るが正解です。

よう子 そうなんですね。ブロッコリーって茹でて食べることが多いので、茹でるのが適していると思いました。でも、栄養が熱に弱かったり、水に溶けたりするのであれば、生のままサラダにして食べればいいのではないですか?

タクヤ先生 そうですが、生食は消化が悪い場合が多いのでおすすめはしないです。それに、サラダや野菜ジュースは冷たいから体を冷やしてしまいます。生ものや冷たいものはNG食材でしたね。

よう子 あ、そうでした。

タクヤ先生 ただし、サラダや野菜ジュースも温めるとNG食材ではなくなります。サラダはスープに入れたり、野菜ジュースは温めてから飲むといいですね。

よう子 たしかに......

タクヤ先生 そうです。それに、油で炒めることによって栄養の吸収が良くなる食材もあるんです。

よう子 へー、栄養素によってそんなに変わるのですね。

タクヤ先生 そうなんです。食材の性格を知ることで、ご飯をつくるときに役立ちますし、効率よく栄養を摂ることができますよ。

よう子 かんたんだからと思って、栄養の性質を無視してなんでも炒めていたのですが、それではだめなんですね。

タクヤ先生 そういうわけではないですよ。炒め物にする場合は、熱に弱いものは最後に投入して短時間で炒めるようにすれば栄養の減りが抑えられますよ。

よう子 なるほど。じゃあ、ブロッコリーも短い時間で茹でればいいんですね。

タクヤ先生 そうです。時間が取れないときなどは電子レンジを使うのもいいですよ。特に、水に溶けやすい栄養素をもつ食材におすすめです。また、短い時間であれば、熱に弱い栄養素をもつ食材でも問題ありません。

よう子 なるほど。水を使っていないので栄養が水に流れ出る心配がないですもんね。

タクヤ先生 はい。あとは、炒めたり、揚げたりした場合、つくってから時間が経つと油が酸化して胃もたれや消化不良になることもあるので、できたてを熱々のうちに食べるのがベストですよ。

【まとめ】

◉食材によって栄養をしっかり摂るために適切な調理法(炒める・揚げる・煮る・蒸す・茹でる)があります

・特にスープや煮物にする"煮る"方法がおすすめ

・短時間調理など工夫することで、栄養素の減少を防ぐことができます(電子レンジなどを使うのもおすすめです)

◉油を使う調理法(炒め物や揚げ物など)の場合は、時間が経つと油の酸化により、胃もたれや消化不良を引き起こすこともあるので、できたてを食べるのが良いです

食材の性格を知ることで、ご飯をつくるときに役立てることができますよ。

【最初から読む】漢方のスペシャリストが教える「食養生の始め方」

【まとめ読み】「不調が消える食べもの事典」記事リスト

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杉山卓也(すぎやま・たくや)

漢方薬剤師、漢方アドバイザー、神奈川中医薬研究会会長、星薬科大学非常勤講師。神奈川県にある「漢方のスギヤマ薬局」にて予約制の健康相談を受けるかたわら、中医学講師として全国でセミナーを開催。漢方薬局経営者向けのコンサルタント会社やオンラインサロン主宰、SNSでの情報発信など漢方・中医学業界のパイオニアとして活躍中。

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『不調が消える食べもの事典』

(杉山卓也/あさ出版)

むくみには「キウイフルーツ」、熱中症には「梅干し」がいい!スーパーやコンビニなど、どこでも買えるもので、不調知らずのカラダになれる食材の大事典。体と心をいたわるセルフケアがすぐできます。明日からの献立の参考に。

※この記事は『不調が消える食べもの事典』(杉山卓也/あさ出版)からの抜粋です。
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