頭痛や腹痛などのちょっとした体の不調。病院に行くほどでもないものの、どうにかしたいですよね?こうした不調は、「自分の体に合った食べものを摂ればだんだんと改善される」と漢方薬剤師の杉山卓也さんは言います。そこで、東洋医学に精通する杉山さんの著書『不調が消える食べもの事典』(あさ出版)から、食べもので健康をキープする「食養生」の始め方と「旬食材の効能」の一部をお届けします。
【登場人物】
よう子:20代の会社員。デスクワークの毎日で、体の不調に悩む女性。冷え性や頭痛などを根本的に治したいけれど、どうすればいいのかわからない。
タクヤ先生:神奈川県にある漢方薬局の薬剤師。相談に来られる方へ漢方薬の処方だけでなく、食生活のアドバイスもしている。
ある日、よう子さんは友人とランチをしていました。そこで自分の体調のことを話していると、友人に予約制の漢方薬局を勧められました。後日、よう子さんは、ドキドキしながら紹介された漢方薬局を訪れました。
養生法は日々の生活にとり入れられる
よう子 はじめまして。予約したよう子と申します。
タクヤ先生 はじめまして。漢方薬剤師の杉山卓也です。皆さんからはタクヤ先生と呼ばれています。今日はよろしくお願いします。
よう子 よろしくお願いします。
タクヤ先生 こちらへお掛けください。
よう子 はい。
タクヤ先生 では、早速ですが、よう子さんの自己紹介をお願いできますか。年齢と職業、体調で悩んでいることを教えてください。そのあと、いくつか質問しますね。
よう子 はい、わかりました。28歳、会社員です。仕事は事務作業が多く、毎日座りっぱなしです。最近、頭痛がするので痛み止めの薬を飲んでいるのですが、効きが悪くなってきた気がしています。あとは、生理痛がひどいので生理期間中は、何度か会社を休んでいます。最近、体調が優れないので、どうしたらいいかと思い、友人に相談したところこちらを紹介されました。
タクヤ先生 なるほど、ありがとうございます。薬が効きづらいのは、つらいですね。今、痛みはありますか?
よう子 今は大丈夫です。
タクヤ先生 さて、今日は、ご友人の紹介でご予約くださったとのことですが、よう子さんは、漢方薬を飲んだり、養生を行ったことはありますか?
よう子 漢方薬は飲んだことないです。高いイメージがあるので......。あと、養生というのは、たとえばどういうことでしょうか?
タクヤ先生 養生は、"健康でいるために務める"ということです。よくあるのが、食べもので健康になる食養生と、生活の仕方で健康になる生活養生です。
よう子 なるほど。それなら、野菜を摂らないといけないと思ってサラダを食べたり、野菜ジュースやスムージーを飲んだりしています。あとは、お腹が空いてもご飯の時間まで我慢して、お菓子を食べないように気をつけています。
タクヤ先生 うんうん。ありがとうございます。よう子さんは、食べるものに気をつけて生活されているんですね。
よう子 はい。雑誌やネットで紹介されたスーパーフードなども買ったりしています。
タクヤ先生 なるほど。すばらしいです。
よう子 ありがとうございます。
タクヤ先生 では、食べものに気をつけていて大変なことなどはありますか。
よう子 大変なこと......お腹が空いても我慢しなければいけないのはつらいです。それにお菓子も食べたいです。
タクヤ先生 そうですよね。たまにはお菓子も食べたいですよね。
よう子 はい。
タクヤ先生 でも今の話だと、よう子さんは健康のために間食を我慢して、 お菓子も食べないようにされていますよね。
よう子 はい、そうです。食事は3食にして、間食はしないようにしています。
タクヤ先生 それはなぜですか?
よう子 なぜ......?間食をすると太るからです。
タクヤ先生 本当にそうでしょうか?
よう子 え......そうではないんですか?お菓子とかを食べると太るので、と思っていました。
タクヤ先生 食養生では、お腹が空いたら食べたほうがいいんです。
よう子 え!?そうなんですか?
タクヤ先生 そうなんです。あと残念なことに、野菜を摂るのにサラダや野菜ジュース、スムージーは適していないんです。
よう子 えー、野菜を食べればいいと思っていました。
タクヤ先生 もちろん野菜は食べるべきですが、食べ方に工夫が必要なんです。
よう子 そうだったんですね。
タクヤ先生 よう子さん、これから1週間、養生法を学んでみませんか?日々の食べものや食べ方、生活の仕方を変えられたほうが良いと思いますよ。
よう子 たしかに、食べものであれば気をつけることはできそうです。それに、お腹が空いたら食べたほうがいい理由も気になります。ぜひ、教えてください!
タクヤ先生 わかりました。では、1週間かけて養生について学んでいきましょう。よろしくお願いします。
よう子 はい。よろしくお願いします。
こうして、よう子さんは1週間、タクヤ先生に養生法を教えてもらうことになりました。
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