体内時計は「朝ごはん」でリセット!カラダのために整えておきたい「食事の時間」

頭痛や腹痛などのちょっとした体の不調。病院に行くほどでもないものの、どうにかしたいですよね?こうした不調は、「自分の体に合った食べものを摂ればだんだんと改善される」と漢方薬剤師の杉山卓也さんは言います。そこで、東洋医学に精通する杉山さんの著書『不調が消える食べもの事典』(あさ出版)から、食べもので健康をキープする「食養生」の始め方と「旬食材の効能」の一部をお届けします。

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【登場人物】

よう子:20代の会社員。デスクワークの毎日で、体の不調に悩む女性。冷え性や頭痛などを根本的に治したいけれど、どうすればいいのかわからない。

タクヤ先生:神奈川県にある漢方薬局の薬剤師。相談に来られる方へ漢方薬の処方だけでなく、食生活のアドバイスもしている。


ある日、よう子さんは友人とランチをしていました。そこで自分の体調のことを話していると、友人に予約制の漢方薬局を勧められました。後日、よう子さんは、ドキドキしながら紹介された漢方薬局を訪れました。


【第5回】食事の「時間」を整える

タクヤ先生 よう子さん、今日は朝ごはんを食べられましたか?

よう子 はい。タクヤ先生に『朝ごはんは食べたほうが良い』と教えていただいたので、今日はパンを食べました。

タクヤ先生 おお、すごいです。さっそく行動に移すことができましたね。

よう子 ありがとうございます。

タクヤ先生 昨日、朝ごはんには1日のエネルギーを補給する役割があると言いましたが、ほかにも大切な役割があるんです。よう子さん、体内時計って知っていますか?

よう子 はい。体内時計があるから、眠くなったり、目が覚めたり、お腹が空いたりするんですよね。

タクヤ先生 そのとおりです。ただ、体内時計は24時間より少し長い周期になっています。1日は24時間なので、毎日少しずつずれていくんです。

よう子 そうですね。でも、毎日少しずつ時間がずれるからといって、何か悪いことでもあるんですか?

タクヤ先生 いい質問です。毎日少しずつでも体内時計の時間がずれて、12時間ずれたとしたら体内時計が昼夜逆転してしまうんです。

よう子 ということは、朝なのに体内時計は夜だと思っているんですか?

タクヤ先生 そういうことです。体内時計がずれると、朝起きられないだけでなく、気分が落ち込んだり、やる気が出なかったりと、メンタルの問題も生じるんです。

よう子 えー、メンタルにも影響するんですか!?

タクヤ先生 そうなんです。体内時計は1日のリズムなので、リズムが崩れると不調が生じやすくなります。そして、このリズムが崩れないように一定に保つ方法の1つが朝ごはんなんです。

よう子 朝ごはんって、とても大切じゃないですか。

タクヤ先生 そうです。だから、朝ごはんは食べるべきなんです。

タクヤ先生 さらに、体内リズムを一定に保つために、起きてから1時間以内に朝ごはんを食べることが良いとされています。

よう子 起きて1時間以内ですか......それだとお腹が空いていないかもしれないです。それでも食べなきゃいけないですか?

タクヤ先生 良い質問ですね。食養生では、お腹が空いたときに食べるのが理想とされているとすでにお話ししましたよね。実は、いちばん良くないのは、食欲がないのに無理やり食べものを詰め込むことなんです。

よう子 ということは、朝起きたときにお腹が空いた状態でないといけない......

タクヤ先生 そのとおりです。そうすると、前日の夜ご飯を食べすぎないようにしないといけません。となると、夜ご飯を食べられるようにお昼ごはんを食べすぎないように......と、昨日お話しした腹8分目が効いてくるわけです。

よう子 たしかに、夜にたくさん食べたり、夜遅くに食べたりすると、次の日起きてもお腹が空いていないこともよくもあります。でも、それは体内時計のリズムが崩れてしまうということになり、体に不調をきたしてしまうんですね。

タクヤ先生 大正解!つまり、食事の時間も体内時計のリズムに関係するんです。

よう子 朝ご飯は起床後1時間以内に食べるとして、あとの2食はどうすればよいでしょうか?

タクヤ先生 昼ご飯は、午後のエネルギーを補給するために、腹8分目を心がけて食べると良いです。夜ご飯は、寝る2時間前までに食べてください。これは食べたものを消化するのに、2時間程度かかるからです。また、夜は寝るだけなので、朝や昼よりも少なめの量を食べるのが良いです。

よう子 夜ご飯はたくさんの量を食べてしまいがちですけど、そうすると朝ご飯が食べられなくなりますもんね。気をつけます。

タクヤ先生 そうですね。まずは、朝ご飯をきちんと食べることからはじめて、体内時計を一定に保つようにしましょう。

【まとめ】

◉体内時計のリズムが崩れると不調が生じやすくなるので、体内時計のリズムを一定に保ちましょう

体内時計を一定に保つ方法

・毎日、同じ時間に寝起きする

・起きたら日の光を浴びる

・起床後1時間以内に朝ごはんを食べる

昼ごはんや夜ご飯は食べすぎないように気をつける

◉食養生では、食欲がないのに無理やり詰め込むことは、いちばん良くないです。お腹が空いていない場合は、お腹が空くまで何も食べなくてもOKです

体内時計を一定に保つために、食事の時間を決めることは大切ですが、無理は禁物です。

【最初から読む】漢方のスペシャリストが教える「食養生の始め方」

【まとめ読み】「不調が消える食べもの事典」記事リスト

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杉山卓也(すぎやま・たくや)

漢方薬剤師、漢方アドバイザー、神奈川中医薬研究会会長、星薬科大学非常勤講師。神奈川県にある「漢方のスギヤマ薬局」にて予約制の健康相談を受けるかたわら、中医学講師として全国でセミナーを開催。漢方薬局経営者向けのコンサルタント会社やオンラインサロン主宰、SNSでの情報発信など漢方・中医学業界のパイオニアとして活躍中。

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『不調が消える食べもの事典』

(杉山卓也/あさ出版)

むくみには「キウイフルーツ」、熱中症には「梅干し」がいい!スーパーやコンビニなど、どこでも買えるもので、不調知らずのカラダになれる食材の大事典。体と心をいたわるセルフケアがすぐできます。明日からの献立の参考に。

※この記事は『不調が消える食べもの事典』(杉山卓也/あさ出版)からの抜粋です。
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