よく寝たのにスッキリしない...なんで? その答えは、「疲労回復の方法は、人によって違う」と東洋医学の第一人者である中根一さんは言います。そこで、中根さんの著書『寝てもとれない疲れをとる本』(文響社)から、あなたの正解が見つかる「疲れの正体」と「体質別の疲労回復法」を連載形式でお届けします。
その影響は想像以上!「早食い」「ながら食い」
胃腸が疲れたらしっかり休ませることは大切ですが、同時に日頃の食べ方を少し変えて、胃腸を疲れさせない習慣もつくりましょう。
そのポイントは......あなたが「早食い」や「ながら食い」を習慣的にしているならば、それをやめることです。
「早食い」「ながら食い」がなぜいけないのか、まずは「早食い」から具体的に見ていきましょう。
「早食い」が、内臓の寿命を縮めている
早食いが胃腸に負担をかける理由は3つです。
① 「噛まない」
早食いの人は、食べ物をよく噛まないで飲み込む、というクセを持っています。
咀嚼は、食べ物を消化しやすいように細かく砕くばかりでなく、「唾液」という第一の消化液と食べ物を混ぜる役割を果たしています。
それが十分に行なわれないと、その先にある胃腸への大きな負担となります。
②「胃が追いつかない」
矢継ぎ早に次から次へと胃に送り込まれてくる咀嚼されていない食べ物を消化するために、胃の働きがオーバーワークになってしまいます。
その結果、胃に疲れが溜まっていってしまうのです。
③「食べすぎ」
そもそも、なぜ「早食い」になるかといえば、よく噛んで味わうという途中経過ではなく、「満腹になる」「完食する」という結果を意識して、とにかく食べ物を口へと運んでしまうからです。
また、血糖値が上がって満腹感を得る前にどんどん食べてしまうので、あっという間にお腹がパンパン、ということになります。
食べすぎは胃に負担をかけるとともに、肥満の原因でもありますから、ぜひ見直しましょう。
「ついごはんをかきこんでしまう」「人より、かなり食べ終えるのが早い」という人はもちろんのこと、「食後に胃がもたれることがある」「膨満感が気になるほどにお腹が張る」という人も、無意識のうちに早食いになっている可能性があります。
いずれも、よく噛むことを意識して、なるべくゆっくり食べるようにしましょう。
ティースプーンで食べると、ひと口が小さくなるので、きちんと噛まない早食いの人にもオススメです。
なぜ「ながら食い」が、明日の疲れの原因になるのか
次に、「ながら食い」について考えてみましょう。
消化器系の働きをコントロールしているのは副交感神経ですが、これはリラックスしているときでないと、うまく働きません。
一方、視覚を使って情報を集めたり、頭を使って理解しようとしたりするときに働くのは交感神経。
この2つの自律神経は、シーソーのように、一方の働きが高まればもう一方は低くなる、というバランスを保っています。
ですから、食べながら頭を働かせると、交感神経の働きが高まってしまうので、消化器系の働きが弱まってしまいます。
理想的なのは、食事中は食べることに集中、そしてできれば「食休め(食後30分ほどの休憩)」をとることです。
本や漫画、テレビやスマホといった視覚情報はシャットアウトして、副交感神経を働かせてあげましょう。
これによって、胃腸がうまく消化・吸収できるようにするのです。
「ただ食べているとハイペースでどんどん食べてしまうので、本を読みながらゆっくり食べるようにしている」などという人もいらっしゃるようですが、残念ながらよい習慣とはいえませんね。
胃腸にとってはやさしくない習慣です。
胃腸の疲れは、全身の疲れにつながると心得て、いつでも胃腸に気持ちよく働いてもらえるような食べ方を心がけたいものです。
「味わって、楽しく食べる」がやっぱり一番
「早食い」「ながら食い」をやめることができたら、あとは「気持ちよく食べる」だけ。
食事を楽しむこと、ひと口ひと口味わって「おいしいな」「うれしいな」と感じることが大切です。
仕事のことや人間関係に頭を抱えながら食事をすると、何を食べたか思い出せないくらいに味気ないものになります。
誰と食べるか、どこで食べるかなども含めて、食べる時間をゆっくり楽しむことが、食事の「フィールグッド」です。
目の前の食事をゆっくり楽しく味わってくださいね。
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