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外反母趾などの足のトラブル を防ぐには、(1)正しい歩き方 (2)足指ストレッチなどの足のケア (3)正しい靴の選び方を身に 付けることが大切です。
「開張足で靴に足が当たって痛いときに、大きめの靴を選ぶ方がいますが、足のアーチが崩れて逆効果になります。テーピン グなどで横アーチを補正することが、セルフケアの一つの方法になります」と高山先生。
開張足や外反母趾では、第1 指と第5指を基点とするアーチが崩れて、指全体が地面にベタッとつくように変形しています。 それを矯正するのがテーピング法です。幅3cmほどのテープや 包帯を用意し、第1指と第5指の付け根を引き締めるように3 ~4回巻きます。足に少しアー チをつくり、固定するように巻くのがコツです。指の付け根で巻くと痛い場合には、巻く位置を下げて土踏まずの辺りを巻きましょう。サポーターやマジックテープ付きのバンドでもよいそうです。
サンダルやハイヒールは要注意 悪循環に陥る危険性もある
「サンダル履きやスリッパは、ペタペタ歩きをさらに悪化させ、足のアーチを崩します。かかとをつけないと足首を動かせないため、アキレス腱が硬く縮んでしまうのです。それが習慣になってしまうと、意識してもかかとをつけなくなり、しゃがむことも難しくなりますから、サンダル履きやスリッパは避けましょう」
足が痛いと、サンダルのような開放的な履物を選びがちですが、足トラブルを悪化させることがあるのです。また、爪のケアも忘れてはいけません。地面からの力に爪も対応しているため、正しい姿勢で歩かないと、第1指の爪が変形してしまうのです。外反母趾では、爪の端が内側に巻き込まれる巻き爪を合併することが多いそうです。爪切りの際の深爪や爪の両端の角を斜めに切るバイアスカットでも生じやすいので、正しく爪を切ることも重要になります。指の先端と同じくらいの幅で、爪は真っすぐ横に切り、爪の角は 少しだけ落とすのがポイントです。すでに爪トラブルを抱えて いる人は、フットケア外来か皮膚科を受診しましょう。
「足の状態は、毎日きちんと洗うことで確認できますが、行っている方が少ないのです。体は洗うけれども、足はあまり洗わないという方は、今日から足に意識を向けましょう。ご自身の足で幾つになっても歩ければ、健康長寿にもつながります」と高山先生はアドバイスします。
毎日のケアで足トラブルを解消し、おしゃれをして外出を楽しみましょう。
日本人女性の9割にも及ぶとされている「開張足」とは ?
開張足は、ハイヒールやパンプスを履く女性の約9割に見られるそうです。親指から小指への横のアーチが崩れ、足の指が横に広がるのが特徴です。履いている靴の横幅がきつくなったり、足の甲が広がった気がしたら、そのサイン。放置すると足トラブルにつながるので改善を心掛けて!
タコやウオノメができる範囲で、足のトラブルが分かる!
タコやウオノメは皮膚が硬く厚くなった状態です。骨の変形があると、地面から受ける圧力が強まり、靴に当たりやすくなったりして生じます。外反母趾の場合、親指の横(内側)や付け根にできやすく、開張足の場合は、人さし指と中指の付け根にできやすいのが特徴です。
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構成/高谷優一 取材・文/安達純子 イラスト/堀江篤史
高山かおる(たかやま・かおる)先生
医師。専門は、接触皮膚炎、フットケア、美容。埼玉県済生会川口総合病院、東京医科歯科大学附属病院勤務。フットケアの啓発活動を行う「足育研究会」代表。著書に『巻き爪、陥入爪、外反母趾の特効セルフケア』(マキノ出版)など。