寒い冬の季節には空気が乾燥して、皮膚の乾燥やかゆみに悩まされる人が多くなります。
今回はひふのクリニック人形町院長・上出良一先生に、肌がカサカサして粉が吹く「乾皮症」(かんぴしょう)について教えていただきました。
冬は気温の低下によって空気が乾燥し、皮膚のトラブルが多くなります。
とくに汗腺や皮脂腺の機能は加齢によって低下し、汗や皮脂の分泌が少なくなります。
新陳代謝が低下して、皮膚の水分を保つ機能も衰えるため、高齢の方ほど「皮膚が乾燥してカサカサする」、「白い粉を吹いたようになる」と悩みがちです。
肌がそのようになった状態を「乾皮症」といいます。
まだ「疾患」になる前の段階で、いわゆる「未病」と呼ばれるものです。
健康な肌と乾燥肌のしくみ
皮膚の構造
皮膚は、表皮、真皮、皮下組織の3層構造になっています。
表皮のいちばん表にある「角層」と「皮脂膜」が、肌の乾燥を防ぐ役割を持っています。
健康な肌
①皮脂膜:皮脂腺から分泌される脂と汗腺から出た汗が混ざり合った、天然の保湿クリーム状の膜です。
②角質細胞間脂質:角質細胞の間を満たす脂質。主成分はセラミド。水分の蒸発を防ぐ。
③天然保湿因子:水分を保持する物質。主体はアミノ酸で、角質細胞内で水分を保持する。
乾燥肌
老化などによって新陳代謝が低下すると、上記①~③が減り、角質細胞の隙間が増えて、水分が逃げたり、刺激から肌を守る機能が失われた状態になります。
こうなると、外部から保湿成分を補わない限り、肌の乾燥が止められず、乾皮症になってしまいます。
特に乾皮症になりやすいのは、女性ホルモンが低下した閉経後の女性や、70歳以上の男性です。
皮脂腺の少ない腕やわき腹、腰、なかでもひざ下に乾燥が見られます。
肩や肩甲骨、ふくらはぎは、衣服のこすれによって発疹ができたり、かゆみを引き起こしやすい部分です。
乾皮症は、ただの乾燥だと軽く受け止められがちですが、そこから病原菌などが侵入して、炎症を起こすおそれもあります。
悪化すると、炎症が全体に広がって全身に発疹ができたり、発熱を引き起こすことも。
さらに、眠れないほどのかゆみが生じたり、かゆみでイライラするなど、著しく生活の質が低下してしまいます。
きちんと対策をすることが大切です。
乾皮症の主な原因
・汗腺や皮脂腺の機能が低下して、汗や皮脂の分泌が少なくなる
・皮膚の新陳代謝が低下して、潤い機能が正常に働かなくなる
乾皮症の主な予防法
・保湿剤を使って皮膚の潤いを補う
・入浴時に体を強くゴシゴシ洗わない
・部屋の乾燥に注意する