ガン治療「標準と非標準」の違いって? 専門医が伝えたい「あなたの治療法」の探し方

いつの時代も怖い病気の代表に挙げられる「がん」。たとえ自分や家族が患ってしまったとしても、心の準備と備えがあれば、少しは気が楽になるかもしれません。そこで、1000件を超えるがん手術に携わった専門医・佐藤典宏さんの著書『手術件数1000超 専門医が教える がんが治る人 治らない人』(あさ出版)から、がんに対抗するために知っておくべき「5つの力」について、連載形式でお届けします。

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ガンが治る人 多くの選択肢から自分に適したガン治療法を選ぶ/ガンが治らない人 ガン治療の情報を自分で集めようとしない

ガンの治療で最も重要なことは、信頼できる情報を幅広く集めたうえでよく考え、自分に最も適した方法を選ぶことです。

当然ですが、どの治療を選ぶかで結果が変わってきますし、ときには生死がわかれることもあります。

医学の進歩とともに、ガンの治療体系は日々変化しています。

より効果的な治療法が次々と登場し、ガン治療の選択肢は増え複雑化しています。

多くの場合、治療法は1つだけではありません。

有効な治療の選択肢が増えることは、患者さんにとってはいいことですが、一方で、選ぶことが難しくなるというデメリットもあります。

では、どのようにしてベストの治療法を選べばいいのでしょうか?

まずここで、現在日本国内で受けることができる治療法について解説します。

ガンの治療法は、おおまかに

(1)標準治療

(2)非標準治療

の2つに分かれます。

最も効果が高いのが「標準治療」。

標準治療は、科学的な証拠にもとづいて、その時点で最も効果が高いことが示された治療法のことです。

言葉からは、「さまざまな治療があるなかでの〝ふつう〟の治療」のように誤解されがちですが、ベストな方法のことをいいます。

つまり、標準治療は、実際の患者さんを対象とした臨床研究でお墨付きをもらった治療法であり、健康保険が適用されている治療です。

いわゆる三大治療とよばれる手術、抗ガン剤、放射線治療、そして最近では一部のガンに対する免疫治療(免疫チェックポイント阻害剤)も含まれます。

標準治療以外はすべて「非標準治療」

一方、非標準治療は、標準治療以外のすべての治療法のことです。

先進医療や代替医療(補完代替医療)、国内未承認の新薬などが含まれます。

たとえば、臨床試験(治験)で効果を判定中の抗ガン剤、高度先進医療として位置づけられている特殊な放射線治療(粒子線治療)。

また、細胞免疫療法やガンワクチン療法といった免疫療法、温熱療法、漢方、健康食品やハーブ、サプリメント、鍼・灸、マッサージ療法、運動療法、食事療法(玄米菜食、ゲルソン療法など)、心理療法、気功療法などの補完代替療法と呼ばれる治療法も含まれます。

この他にも高濃度ビタミンC療法、コロイド化ヨウ素、酵素風呂、水素風呂といった民間療法もあります。

非標準治療は、ガンに対する効果が期待される、あるいは実際に効果があったケースが存在することはわかっていても、臨床試験などでその有効性がきちんと証明されていない治療法です。

あるいは、そもそも臨床試験などで比べることができない治療もあります。

先進医療は「最先端の治療」というわけではない

ちなみに、先進医療は標準治療よりもすぐれた最先端の治療と誤解されることが多いのですが、実際には「試験段階の治療」のことなのです。

つまり、現時点では効くかどうかわからない治療法であり、もし効果が証明されれば標準治療へ昇格しますが、十分な効果がないと判断されたときはお蔵入り、または非標準治療のままとなる可能性があります。

非標準治療の多くは健康保険の適用外になりますので、費用は自己負担になります。

このように、今のガンの治療は、標準治療から非標準治療(代替医療)にいたるまで多岐にわたります。

また、ガンに対する治療法の選択肢は増え、かつ複雑になっています。

たとえば、分子標的薬(特定の分子をターゲットにしたガン細胞だけを攻撃する薬)や、免疫チェックポイント阻害剤(免疫のブレーキをはずし、ガンに対する免疫力を高める薬)などの新しい薬が次々に開発されています。

また、体幹部定位放射線治療(SBRT)や強度変調放射線治療(IMRT)さらには重粒子線や陽子線といった粒子線治療など、放射線治療の進歩もめざましいものがあります。

ガンの手術も、内視鏡手術あるいは鏡視下手術という、カメラを使った負担の少ない手術法が普及してきました。

ガンの治療法は日々進化しており、ますます多様化しているのです。

主治医は、自分の専門分野の治療法(外科なら手術、内科なら抗ガン剤)についてはくわしく説明してくれるかもしれませんが、非標準治療まで含めたすべての治療法については教えてくれないでしょう。

これは、日々の診療に追われ、自分の専門分野以外の治療法について勉強する時間がないためです。

このような状況では、患者さん自身が、最新のガンの治療法についての情報を集め、その中からベストの治療法を選び出す必要があります。

では、どのようにしてガンの情報を集め、吟味し、治療法選びに役立てるかについて、これからくわしくお話ししましょう。

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068-ganga-syoei.jpg心構えや情報収集のやり方などが全5章で解説。治療法ではなく、がんを治すために自分でやれることがまとめられています

 

佐藤典宏(さとう・のりひろ)

1968年、福岡県出身。産業医科大学第1外科講師、外来医長。九州大学医学部卒。日本外科学会、日本消化器外科学会専門医・指導医。がんの分子生物学を研究し、外科医として膵臓がんを中心に1000例以上の外科手術を経験。ブログ「がんをあきらめない人の情報ブログ」は月間10万PVを超える。

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『手術件数1000超 専門医が教える がんが治る人 治らない人』

(佐藤典宏/あさ出版)

がんが「治る人」には傾向がある? 多くのがん患者にかかわってきた専門医が見いだしたのは、回復に結び付くために必要となる「5つの力」。著者が携わった症例や最新の研究結果を交えながら、がん克服に必要となる能力を高める方法を解説。「治る人」になるために必読の1冊です。

※この記事は『手術件数1000超 専門医が教える がんが治る人 治らない人』(佐藤典宏/あさ出版)からの抜粋です。
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