「老眼が進んできちゃった・・・」と嘆いている人、いませんか? 実はそれ「ふだんの食事」を変えるだけで、改善するかもしれません。老眼にドライアイ、緑内障など、40代から気にするべき目の不調は「目の栄養不足」が原因の1つなんです。そこで、今回は話題の新刊『眼科医がすすめる 目の不調を感じたら毎日食べたい料理』(平松類・KADOKAWA)より、目の不調の原因や、目に必要な栄養素、目のために毎日食べたい料理のレシピなどを連載形式でご紹介します。
目の治療に携わっていると、いろいろな方の話を聞きます。みなさんの話から、病気の治り方や、目の健康を保つのには、食事が大きく関わっていることを実感しています。いろいろな治療がありますが、目のケアでいちばん効果的なのは、目にいい食事をとること。
40代のドライアイの患者さんのお話をします。
目が疲れる、頭が重いなどの不調で来院されました。ずっと頭痛に悩まされ、市販の頭痛薬に頼っていたそうです。青背の魚、さばやいわしを食事に加えて、油分もあまり避けないでくださいとアドバイスしました。ダイエットで油ものは敬遠されていたようですが、魚を中心に、体にいい油脂を取り入れた食生活に変えたことで、頭痛薬が不要に。イライラもなくなり、仕事もプライベートも楽に過ごせるようになったそうです。
目は小さな器官ですが、皮膚と同じように新陳代謝を行い、透明できれいな状態を保たなければならないという極めて特殊な臓器です。新陳代謝が活発なだけに、毎日の食事の影響が顕著に表れる場所。
だからこそ食事が大切です。
■二本松眼科病院 食事の話
勤務している二本松眼科病院は、日本でも珍しい眼科専門病院。病院でお出しする食事は、患者さんにとても人気です。目によい栄養素を盛り込み、目が悪くても食べやすいことを重視しています。病院での入院生活のアンケートでは、治療以外にも、「食事がおいしかった」という声をいただいています。
魚を中心に野菜をたくさん使った料理。病院では珍しい陶器を使い、より食事を楽しんでもらえるようにしています。
守るものは涙だけ、目はむき出しの臓器です
私たちの体をつくるのは毎日の食事です。その食事から得る栄養素を吸収し、全身の細胞へ行き渡らせるのが血液です。大きな血管が通じている臓器には、多少栄養素が足りなくても、届けられる血液量が多いので、すぐには困ったりしませんが、目の場合は深刻です。
目は小さいので、かなり細い血管で栄養を流しています。毛細血管が運ぶ血液量はわずかですから、ほんの少しの血液の質や血管の変化で、栄養素が足りなくなったり、血流が悪い、血管が詰まるなど、トラブルも多発しやすい器官でもあるのです。
もう一つ、目が、他の器官と圧倒的に違うのは、皮膚などに守られていない、外と接する「むき出しの臓器」であること。そんなむき出しの臓器を守るのは涙だけ。この涙こそ最初の防御壁です。涙で防御できなければ、角膜を傷つけたり、水晶体にダメージが及んだりと、さまざまな不調が起きます。この外敵のダメージに加えて、加齢という老化現象にも抗うことはできません。
加齢が主な原因である「老眼」も、食事でアンチエイジングを心がければ、悪化は食い止められます。パソコン作業をしている人の約75%はかかっているといわれる「ドライアイ」は、食事を中心に、目の使い方や環境を整えることで症状の軽減につながります。また緑内障、加齢黄斑(おうはん)変性症、白内障なども、治療はもちろん大事ですが、毎日の食生活が改善への大きなファクターとなります。
何度も繰り返しますが、目の健康は食事が鍵を握っています。
多くの女性が容姿のアンチエイジングに心を砕きますが、目はほったらかし。そのままにしていると、目の不調に加え、頭が痛い、体がだるい、イライラする、疲れやすいなど、体の不調も招きます。目をいたわる食生活で、目の不調を改善し、視野も心身もクリアな暮らしを手に入れましょう。
3章構成で、老眼やドライアイなど「目の不調」の解説から、目に優先的に届くルテインなど「目に必要な栄養素」の解説、そして「目のために毎日食べたい料理」レシピが60種以上(!)、季節ごとに紹介されるなど「目の不調が心配な人」は必携の一冊です