眼科で飛蚊症と診断。「治療は必要ない」と言われたが.../高谷典秀先生「なんでも健康相談」

眼科で飛蚊症と診断。「治療は必要ない」と言われたが.../高谷典秀先生「なんでも健康相談」 4975373.jpgあなたの身体のお悩みに医療法人社団同友会理事長 高谷典秀先生が答える「なんでも健康相談」。今回はこんなお悩みに答えます。

 


眼科で飛蚊症と診断されたが...

67歳の女性です。最近、肩がこったり、頭痛がしたりするので、疲れがたまっているのかと思ったのですが、先日、左目でものを見たときに、小さな黒い影が映っていることに気がつきました。

眼科に診てもらったところ、飛蚊症と診断されたのですが、経過を見るだけで治療は必要ないと言われました。

飛蚊症で目が疲れて、頭痛が起きているのかもしれません。時間がたてば、慣れるものでしょうか。また、飛蚊症は治療をしなくても、自然に治るものなのでしょうか。

  

眼球の硝子体に濁り
進行遅ければ心配要らない

飛蚊症というのは、あなたが自覚をされているとおり、目の前に小さな糸くずや虫のようなものがフワフワと浮かんでいるように見えてしまう状態です。

飛蚊症の原因の多くは目の中のよどみや、濁りによるものです。眼球の中は、硝子体という透明なゼリー状の物質で満たされており、その中を光が通過し網膜によって光を捕らえ、その情報が視神経を通って脳に伝わることで視覚として感じることができるのです。ところが、老化によりその透明な硝子体の中に、部分的によどみや濁りができてしまうと、それが小さな黒い浮遊物として写り込んでしまうのです。

それ以外にも、老化現象により硝子体が収縮することで網膜から少し剥がれてしまう、硝子体剥離という状態でも飛蚊症が起きてしまいます。このような原因で発症する飛蚊症は、ふと気が付くと、いつの間にか症状が出ていて、日常生活のうえで、ほとんど気にならないくらいのものです。症状の進行も遅く、とくに問題はありません。

心配しなければならないのは、硝子体の内部での出血や、網膜剥離が原因で症状を起こしているような場合です。通常の飛蚊症と同じような症状が現れますが、ある日突然であったり、また進行も早く、範囲が広がったりします。この場合、治療の対象となりますので、早急に眼科を受診することが必要です。

あなたの場合は、すでに眼科で検査をし、とくに問題がないと診断されていますので、老化による硝子体のよどみや濁りによる飛蚊症だと思われます。その場合、残念ながら自然に治癒することはあまりありませんが、時間が経つに連れて慣れていくことでしょう。

万一、症状が強くなっていくような事がありましたら、最初の診断の時とは違う、治療の必要な状態になっていることも考えられますので、再度眼科を受診され、眼底の詳しい検査を受けてください。(老友新聞社)

※そのほかの「高谷典秀先生「なんでも健康相談」」はこちら。

 

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高谷 典秀 先生(たかや・のりひで)

医療法人社団同友会 理事長。順天堂大学循環器内科非常勤講師。日本人間ドック健診協会 理事。学校法人 後藤学園 武蔵丘短期大学客員教授。

著書に『健康経営、健康寿命延伸のための「健診」の上手な活用法』(株式会社法研)など。

 
この記事は『日本老友新聞』に掲載の情報です。

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