多くの現代人を悩ませる「うつ病」。世代や性別を問わず、また本人の周囲にまで問題が広がっていく、つらい心の病です。うつ治療といえば精神科に通うというイメージがありますが、治療手段はそれだけではありません。精神疾患治療に長年携わってきた心療内科医による、「漢方によって心身のバランスを調えて、うつを治す方法」について、連載形式でお届けします。
※この記事は『うつ消し漢方ー自然治癒力を高めれば、心と体は軽くなる!』(森下克也/方丈社)からの抜粋です。
自分で診断するコツ(2)=次に、虚実を知る
虚実は、一般的には、病気に対する抵抗力の多寡(たか)をいいます。体質の強弱といいかえてもさしつかえありません。骨太で筋肉隆々、体力の充実した「実証」の人は病気にかかりにくいものですが、やせぎすで虚弱な「虚証」の人はすぐに病気に負けてしまいます。
うつ病に関して大切なことは、虚実の違いによって、その進行のしかた、症状の出方に違いが出ることです。
早速、あなたが「実証」か「虚証」か、あるいは「中間証」か、チェックしてみましょう。
実証タイプ
□ 骨太で筋肉がしっかりついている
□ 顔色がよく、肌につやがある
□ 声が大きい
□ ちょっと動いたくらいでは疲れない
□ 食欲があり、胃腸は丈夫
□ 便秘のときはお腹が張って苦しく、便は硬い
□ 動作は機敏だ
□ どちらかというと暑がりだ
□ 大股でしっかり歩く
□ 首が太く、いかり肩
虚証タイプ
□ 線が細く、なよなよしている
□ 顔は青白く、肌は乾燥ぎみ
□ 声がか細い
□ ちょっと動いただけで疲れる
□ 食欲がない。すぐにお腹を壊す
□ 下痢をしやすい
□ 動作は緩慢だ
□ どちらかというと寒がりだ
□ 小股で力なく歩く
□ 首が細く、なで肩
〈チェックリストの判定法〉
チェックした数がより多いほうが、あなたのタイプです。両者とも空欄が多かったり、チェックの数の差が2以下の場合は、実証でも虚証でもない、中間証になります。
以上でチェックは終わりです。ここまでで、あなたがどのタイプのうつ病か、体質的に虚か実かの見分けがなされました。いいかえれば、これでおおよその証が立ったのです。
あなたはどのタイプ?「うつ病チェック」ができる前回の記事はこちら
本書ではいま立てた証をもとに、さらに絞り込みを行っていきます。具体的には、うつのタイプ別に、虚証・中間証・実証ごとに、より適切な漢方薬へと近づけるようにします。
また、薬膳は、漢方薬と併用するとより効果がありますので、大いに活用していただきたいと思います。
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自分で診断するチェックリストや、薬局やネット通販で入手できる製剤リストも付いているので実用的!