「まっすぐ立てない」「外反母趾の痛みがある」「腰痛や肩こりがひどい」...。そんな人は、足指をのばす体操がおすすめ。体幹が安定し、体の持つ多くの力を取り戻すことができます。まずは、みらいクリニック院長の今井一彰先生が「小指の重要性」について教えてくれました。
まっすぐに立てれば体に痛みは出ない
「人間はもともとはだしの生活で、足指は広がり、まっすぐに立っていましたが、靴や靴下で足をきゅうくつにしてきたことで、足指はゆがんでいったのです。体は本来まっすぐ立てるようになっています。足指を元の状態に戻してあげるだけで、必ずいい状態に変わります」と話すのは、みらいクリニックの今井一彰先生。
足指にゆがみが出ると、そのうち外反母趾や内反小趾(小指が内側に曲がる)になり、徐々に足腰の骨もゆがんで体が片寄り、痛みが生じます。足指をのばすと接地面が広いため安定し、まっすぐに立つことができます。
そうすると握力、ジャンプ力、柔軟性、背筋力といった体が持つさまざまな力を取り戻すことができ、体に痛みも出ません。むくみが取れたり、下肢静脈瘤りゅうや頭痛の改善など全身の不調も緩和されます。体幹が安定し、姿勢がよくなり、腰痛を治すこともできるのです。
「足の形が外反母趾、内反小趾の棺おけ型になっていたら大変危険。運動や筋トレより、まず足指を末広がりの形に戻すことを心がけてください。足指のゆがみをそのままにしていると介護予備軍へまっしぐらです」
足指の中でも特に安定のカギとなるのは小指です。
足をまっすぐにして体のブレを止めるストッパー役が小指。小指までのばして立つと足裏の中心に重心がかかり、本来の姿勢を取り戻せます。
「年齢とともに腰痛、ひざ痛、足の痛みといった症状が増えますが、それらの悩みは足指をのばすだけで解消可能。全身がラクになります」
ただし、足指の中で筋力の弱い小指は真っ先にゆがみます。だからこそセルフケアが必要です。
1日3分の足指ストレッチで健康を保つ
今井先生は人間が本来まっすぐに立てることに着目し、そのために足指をまっすぐにして、ゆがみをなくす体操を考案しました。これによって、体を支える足裏の筋肉と靭帯でできている"アーチ"も安定します。
「足指は一生元気に歩くための大切な土台です。一生自分の足で歩くためには、しっかり歩ける足指にすることが先決。たとえいま足が危険状態であっても、足指をのばす『ゆびのば体操』で足指は元通りになります。1日3分の簡単な体操を続け、理想の状態を保つことが大切です」
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取材・文/細川潤子 撮影/三苫正勝