実は人間以外もかかる?よく聞く「ヘルペス」ってどんな病気?

「ヘルペス」とは、ヘルペスウイルスによって引き起こされる感染症の一種。皮膚や粘膜が赤く腫れて水疱ができ、痛みや強いかゆみを感じます。一度ウイルスに感染すると、いったん症状が改善しても、体調の悪化や外部からの刺激などで再発を繰り返しやすくなります。

ヘルペスの原因や諸症状、治療薬、再発予防法などを、横浜市立大学附属市民総合医療センター皮膚科准教授の蒲原毅先生にお聞きしました。

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「ヘルペス」は、皮膚や粘膜に小さな水疱が発生し、痛み、かゆみなどの不快感をともなう感染症です。日本語では「疱疹(ほうしん)」と呼ばれます。実は人間以外の動物もかかる病気で、2003年ごろには「鯉ヘルペス」の流行が話題になりました。

ヘルペスを引き起こすウイルスを総称して「ヘルペスウイルス」といいます。
現在100種類ほどのヘルペスウイルスが確認されていますが、そのうち人間に感染するヒトヘルペスウイルスは8種類ほど。

口唇ヘルペスや性器ヘルペスを引き起こす「単純ヘルペスウイルス」、水ぼうそうや帯状疱疹の原因となる「水痘・帯状疱疹ウイルス」などが代表的なヒトヘルペスウイルスです。

中でも単純ヘルペスウイルスは感染者が多く、よく知られています。
単に「ヘルペス」という場合は、このウイルスによって起きる「単純ヘルペス」を指す場合がほとんどで、60歳以上の人口のおよそ8割が感染しているという調査結果もあります。

ヘルペスウイルスは、人の体内に入ると神経を通って「神経節」にたどりつき、症状が治まってからもそこに寄生し続けます。

この「症状は出ていないけれど、ウイルスには感染している」という状態を潜伏感染と呼びます。神経節に寄生したウイルスを取り除くことは、現代の医療では不可能です。

潜伏しているウイルスは、風邪を引いたり、ストレスによって体が弱ったりすると、活発になります。神経節から神経を通って再び皮膚に現れ、皮膚の細胞にもぐり込んで増殖しはじめるのです。

これが、ヘルペスの「再発」です。

ところで、同じヘルペスでも、再発を繰り返す場所は人によって変わります。必ず唇に再発するという人もいれば、下半身にばかり再発するという人もいるでしょう。実はヘルペスウイルスは、種類によって定着しやすい場所が異なります。

特に分かりやすいのが、単純ヘルペスウイルスです。

このウイルスには2種類のタイプがあり、それぞれ1型、2型と呼ばれます。

1型のウイルスは頭部にある三叉神経節(さんさしんけいせつ)に定着しやすく、そのため再発も上半身のどこか、多くは口唇に発生します。

2型は腰のあたりにある腰仙髄神経節(ようせんずいしんけいせつ)に定着することが多く、下半身、特に性器での再発がほとんどです。

単純ヘルペスウイルスは、主に患部や粘膜などの接触によって感染します。

そのため、口唇ヘルペス患者とのオーラルセックスによって1型のウイルスが性器に感染したり、逆に性器ヘルペス患者とのオーラルセックスによって、2型のウイルスが口唇に感染することもあります。しかし、この場合はウイルスが近くの神経節に定着しづらいため、再発することはめったにありません。

「一般に性器ヘルペスの原因は2型といわれていますが、初感染は1型で、その後に感染した2型が定着し、再発を繰り返していたというケースもよくあります。また、性器ヘルペスは初感染が重症化しやすいため、注意が必要です」(蒲原先生)

一方で口唇ヘルペスは、初感染時に症状が出ないこともあります。見た目の症状だけでは判断しづらいことも多いため、安易に自己診断せず、異常が出た場合は速やかに病院で診察を受けてください。

 

次の記事「水ぼうそうの原因「水痘・帯状疱疹ウイルス」の基礎知識/ヘルペス(2)」はこちら。

取材・文/高橋星羽(デコ)

 

 

<教えてくれた人>

蒲原 毅(かんばら・たけし)先生

1995年横浜市立大学医学部卒業。同附属市民総合医療センター皮膚科部長、日本皮膚科学会認定皮膚科専門医、日本アレルギー学会認定アレルギー専門医。帯状疱疹や皮膚病全般の診断と治療が専門。

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