坐骨神経痛とは、腰から足にかけて延びている坐骨神経が、さまざまな原因によって圧迫されたり、刺激されたりすることであらわれる、痛みやしびれなどの症状を指します。
坐骨神経痛の原因となる病気はいくつかあり、また、症状がよく似ていても坐骨神経痛ではない場合もあります。そこで、平和病院副院長で横浜脊椎脊髄病センター長の田村睦弘先生に症状の見極め方や治療方法、痛みを改善するセルフケアのやり方などを教えていただきました。
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坐骨神経痛は、気持ちよく体を動かすのが改善への近道
坐骨神経痛は、背骨を支える筋肉を中心に、筋肉の緊張を緩め、筋力を強くすることで改善できます。今回は、坐骨神経痛の主な原因である腰部脊柱管狭窄症や腰椎椎間板ヘルニアの人でも安心して行える体操をご紹介します。
体操する際に注意したいこと!
・体操は、やってみて気持ちがいいと思うものを。行った後で体がラクになったと感じるものを続けましょう。
・ストレッチは、「イタ気持ちいい」ところまで伸ばします。息をゆっくり吐きながら、10~20秒キープしましょう。
・筋トレをする場合は、1日おきに行います。筋トレによって傷ついた筋肉を修復する時間をつくることで、疲労がたまらず、筋トレの効果が高まります。
・「痛い」「その動作自体が無理」と感じる体操はやめましょう。
・「まぁ、これくらいでいいか」というぐらいが、ちょうどいい運動量です。やり過ぎないように注意しましょう。
●朝、布団の上で行う「ひざ開き体操」
左右1~2回ずつ行う
(1) 仰向けのまま、片側のひざを曲げます。
(2) 曲げたひざを同じ側の手で抱えて、外側にゆっくりと開きます。その状態のまま、20秒キープします。
◎ポイント
・ひざを抱えていない方の手のひらは、床につけます。
・ひざを開くときは、息を吐きながら行うとラクです。
・腰に負担を感じる人は、開く側の脚のわきにクッションを置き、脚をもたれかけるようにするとラクに行えます。
●太もも、お尻、背中、腹筋などの筋トレに「お尻浮かし体操」
5~10回行う
(1) 仰向けになって両ひざを立てます。
(2) 息を吐きながら、お尻を浮かせ、背中を床から徐々に離していきます。
(3) 両手のひらで床を支えながら、お尻と背中を床から離す。最も離れたところで、お尻をキューッと締め、5秒キープします。
◎ポイント
・手のひらで床をしっかりと支えます。
・背中を反らせ過ぎないように注意します。
運動療法は効果が出るまでに少し時間がかかりますが、着実な治療法です。できる範囲で取り組んでみましょう。
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取材・文/笑(寳田真由美)