いつの間にか足にできている魚の目やタコ。症状がひどくなければ、「ヒールを履いているから仕方ない」「そのうちに治るだろう」と、そのまま放置していませんか?
実は、魚の目やタコは健康な足にはできません。「あって当たり前」ではなく、「なくて当たり前」の症状です。小さな症状ではありますが、足のバランスが悪くなっていることを知らせる初期のサインなので、きちんと受け止めて治療することが必要です。
魚の目やタコ、また、それらと間違えやすいイボについて、それぞれの特徴や原因、治療法などを、足専門クリニック「足のクリニック 表参道」院長・桑原靖先生にお聞きしました。
前の記事「ここに注意! 足の痛みやトラブルを回避するタイプ別靴の選び方/魚の目・タコ・イボ(8)」はこちら。
姿勢と歩き方で足のアーチ構造を保ちます
魚の目やタコができないように、足に余計な負担をかけないためには、ふだんどのような姿勢や歩き方をしたらいいのでしょうか。
【正しい姿勢】
「足のトラブルを遠ざけるには、正しい姿勢で立つことが重要です。背中が曲がっていたり、肩が左右どちらかに傾いていたりすると、重心の位置がずれて、足にかかる力のバランスが崩れます。逆にいえば、足のアーチ構造が崩れていると、建物の土台が崩れているのと同じことですから、体をバランスよく支えることができません。足のアーチ構造をいま以上崩さないために、常に姿勢を整える習慣をつけましょう」(桑原先生)
正しい姿勢で立つと、体重の7割はかかとに、3割は足の指の付け根にかかります。親指の付け根、小指の付け根、かかとの3点にバランスよく体重を分散させるように意識します。
まずは鏡の前に立って、真っすぐ立てているか、傾いているところはないか、などを確認します。横から見た姿勢も、家族などにチェックしてもらうといいでしょう。
・頭を左右に傾けない
・あごを上げない
・胸を広げる
・肩は左右同じ高さに
・背中を丸めず、腰を反らしすぎない
・骨盤は前後左右に傾けず、正面に向ける
・ひざは伸ばして、ひざのお皿を正面に向ける
・左右の足に均等に体重をかける
【正しい歩き方】
「何気なく歩いているときも、知らないうちに足に負担をかけていることがあります。
・歩くときに足もとばかり見ている
・ちょっとした段差によくつまずく
・ゆっくり歩こうとしても自然と早足になってしまう
このような項目が一つでも当てはまる場合は、足に負担をかけてしまいがち。例えば、足指の力が弱かったり、アキレス腱が硬かったりすると、かかとやつま先が十分に上がらず、わずかな段差でもつまずくことがあります。また、自然と早足になってしまうのは、アキレス腱が硬いことが原因。アキレス腱が硬いと前進するときに足首を前に倒すことができず、その分、回転率を上げようとして早足で歩くことになってしまうのです。足をいたわる歩き方をマスターしましょう」(桑原先生)
■正しい姿勢で歩きましょう
足に負担をかけない歩き方は、まず歩くときの姿勢に注意。上記の正しい姿勢と同じく、背筋を伸ばし、胸を広げて、骨盤を前に向けます。その姿勢で腕や足を動かすと、左右の足に力がバランスよくかかり、無理なく歩くことができます。
足だけを動かすのではなく、全身を使って歩くことをイメージしましょう。
・頭を左右に傾けない
・目線はまっすぐ前に、4~5m先を見るイメージ
・あごは軽く引く
・腕は大きめに振ると、自然に骨盤が動いて足が上がる
・足は真っすぐ前、または10度ほど外側に開く
・ひざのお皿を正面に向ける
・歩幅は大きめに、後ろの足を一気に前へ持っていくイメージ
・おしりに力を入れ、足と一緒に骨盤が前後に動くように意識しながら、股関節を前後に
大きく動かす
ただし、足のアーチが激しく崩れている場合は、このような正しい姿勢で歩けません。足に優しい靴を履いたり、インソールを使ったりして歩く他、足の専門医に相談してから始めるほうがよいでしょう。
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■足の運び方
歩くときの正しい動作は、以下のような流れです。
1.かかとから足を着く。
2.足のアーチで地面をとらえる。
3.足全体が地面に着いて、足首を軸に体が前に進む。
4.足指の付け根で踏み返す(蹴り上げる)。親指と人さし指の間で踏み返すイメージ。
足裏にかかる重心は、かかと→足指全体→親指の先の順に移動します。この重心の位置を意識しながら歩くことが大切です。
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取材・文/岡田知子(BLOOM)