いつの間にか足にできている魚の目やタコ。症状がひどくなければ、「ヒールを履いているから仕方ない」「そのうちに治るだろう」と、そのまま放置していませんか?
実は、魚の目やタコは健康な足にはできません。「あって当たり前」ではなく、「なくて当たり前」の症状です。小さな症状ではありますが、足のバランスが悪くなっていることを知らせる初期のサインなので、きちんと受け止めて治療することが必要です。
魚の目やタコ、また、それらと間違えやすいイボについて、それぞれの特徴や原因、治療法などを、足専門クリニック「足のクリニック 表参道」院長・桑原靖先生にお聞きしました。
前の記事「足の痛みやトラブルを防ぐには"足に優しい靴"を選ぶことが大切です/魚の目・タコ・イボ(7)」はこちら。
甲とかかと、つま先をしっかり覆う靴を
靴はファッションの一つではありますが、さまざまな足のトラブルの原因となる、足のアーチの崩れやゆがみを防ぐという重要な役割も果たしています。さらに、歩くときの衝撃を吸収するという役割も担っています。おしゃれを楽しみながら、足に優しい靴を選ぶポイントを知っておきましょう。
■パンプス
甲...できるだけ深く覆うデザイン。ストラップで甲や足首を固定できるもの。
かかと...4㎝以下。ピンヒールよりも、太めのヒールやスクエアヒール、ウェッジソールなど接地面が広く安定感があるもの。
つま先...丸、または四角い形状で、足指の周囲に余裕があるもの。
■サンダル
足首・甲...ストラップなどできちんと固定できるもの。
かかと...足のかかとを包み込むデザイン。
※甲だけに押さえ部分があり、かかとをホールドできないミュールは避けたい靴。脱げやすく、足指にギュッと力が入るので疲れやすい他、歩くときにねじれの動きが生まれて、土踏まずがなくなる方向へとアーチがつぶれてしまいます。
■ブーツ
かかと...4cm以下。
ひも・ベルト...あると足首や甲のサイズを調整できておすすめ。しっかり合わせれば、安定
感が増します。
※特別変わったデザインでなく、甲をしっかり締めてくれるデザインなら、足のためにもブーツはおすすめ。ただし、ムートンブーツや長靴のようなゆったりしたものは、足が中で動いてしまい、疲れやすくなります。
■スニーカー
かかと...深めでかかとをしっかり包み込んでくれるもの。足首が痛くなりやすい人は
ハイカットもおすすめ。
ひも・面ファスナー...しっかり甲を締められるもの。ひもや面ファスナーの調節が緩すぎると靴の中で足先が動いてしまい、靴ずれを起こします。
靴底...かかとがつま先よりほんの少し高いものが歩きやすくておすすめ。つま先とかかとの高さが均一な「ぺたんこ靴」は歩きづらく、靴底の形状が特殊なエクササイズ用のものは不安定なので普段使いには避けましょう。
インソール(中敷き)...取り外しができると、自分に合ったインソールに入れ替えられるのでなおいいでしょう。
■メンズシューズ
甲...ぴったり合うように調節できるひも靴がベスト。
靴底...ゴム素材など。歩行時の衝撃を吸収してくれます。
素材...本革製はよく伸びて足にフィットします。
指の付け根...曲げやすいもの。先端が細すぎるデザインは、踏み返しづらいうえ、
つまずきやすいので注意。
インソール...取り外しができると、自分に合ったインソールに入れ替えられるのでなお
よいでしょう。
デザインや価格だけで選んでしまうことも多い靴ですが、本来の目的は、一生涯歩けるよう、足を大切に守ること。そのための大事な歩行補助道具です。足に優しく、自分に合った靴を正しく履くことは、魚の目やタコなど足のトラブルを予防するうえで大切なことなのです。
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取材・文/岡田知子(BLOOM)