いつの間にか足にできている魚の目やタコ。症状がひどくなければ、「ヒールを履いているから仕方ない」「そのうちに治るだろう」と、そのまま放置していませんか?
実は、魚の目やタコは健康な足にはできません。「あって当たり前」ではなく、「なくて当たり前」の症状です。小さな症状ではありますが、足のバランスが悪くなっていることを知らせる初期のサインなので、きちんと受け止めて治療することが必要です。
魚の目やタコ、また、それらと間違えやすいイボについて、それぞれの特徴や原因、治療法などを、足専門クリニック「足のクリニック 表参道」院長・桑原靖先生にお聞きしました。
前の記事「魚の目は内側に芯ができるのが特徴。タコは芯がなく面として発症します/魚の目・タコ・イボ(2)」はこちら。
足の変形によってできる場所も変わります
魚の目やタコができやすい場所は、主に足の裏の親指や人さし指、小指の付け根、親指の側面、表側の指の関節あたりなどで、力のかかり方などによってさまざま。ですが、「どちらも同じく足の変形が主な原因ですから、魚の目もタコも同じ場所にできる人が多いです」と、桑原先生はいいます。
ただし、多少の傾向は見られます。例えば、ヒールを履く女性の場合、魚の目は一般的に人さし指の付け根にできやすいそうです。実は、足の中心線は真ん中あたりにある中指でなく、人さし指のライン。ここに力がかかっているところに、ヒールで歩くことによる足のねじれが加わって、魚の目を発症しやすくなります。
また、日本人の約7割に見られるとされる「回内(かいない)」という状態も、魚の目やタコの発症と関係しています。
「足の中心線は人さし指のラインですから、どうしても足の裏の面積は外側が大きく、内側が狭くなります。ということは、内側のほうが負荷に対して弱く、そもそも内側に傾きやすい構造になっているのです。実際、くるぶしの下にある距骨下(きょこつか)関節が内側に倒れてしまっている人が多く、この症状を『回内』といいます」と、桑原先生。
ひざ関節や股関節がまだ柔らかい若いうちは、各関節がこの回内を自然と補正してくれるので、足の痛みが出にくいですが、若い人であっても、回内をひざ関節や股関節でうまく補正できていない場合、その分、別の場所、例えば、足の親指の横などに負担がかかります。歩いたりして長時間その部分に力がかかり続けると、そこには必ずタコができてしまうのです。
また、これは生まれつきの場合も多いですが、扁平足とは反対に土踏まずが上がっていて、足の甲が高くなっている「ハイアーチ」という形の足の場合、体重がうまく均等に分散されず、足指の付け根の部分に力がかかります。そのため、小指の付け根あたりにタコができる人が多いようです。
このように、魚の目やタコができる場所は、足の変形や骨のゆがみとも大きく関係しています。まずは自分の足の形や構造、特徴をよく知ることが、早く治すことへの近道となるのです。
次の記事「"足のアーチ構造の崩れ"が魚の目やタコを引き起こす主な原因です/魚の目・タコ・イボ(4)」はこちら。
取材・文/岡田知子(BLOOM)