厚生労働省のデータによると、65歳以上の３人に１人が、ひざのトラブルを抱えています。ひざ痛の代表的な病気が「変形性膝関節症」です。なぜ「変形性膝関節症」になってしまうのか、どうしたら予防や改善ができるのかを、病気に詳しい酒井慎太郎先生に教えていただきました。毎日、家でできるテニスボールを使う１日５分の簡単なひざ痛解消体操にも注目です。
前の記事「関節は動かさないと固まってしまう⁉「ひざ押し体操」で変形性膝関節症を予防しよう（３）」はこちら。
関節や筋肉を動かしながら自分で治す「ひざ痛解消体操」
ひざに負担をかけ過ぎると、ひざに痛みが生じる『変形性膝関節症』になることがあります。主な原因は「運動不足」と「悪い姿勢」です。
症状を改善させるにはこまめに歩いて、ひざを曲げない姿勢をとるよう心がけるとともに、ひざが固まらないように体操を毎日続けることが大事です。「体操を行うときのルール」を取り入れ、さあ体操を始めましょう。
※ひざに強い痛みが生じた場合は、無理をせずに体操はやめましょう。
○酒井式 体操を行うときのルール
・「ひざの痛み診断チャート」で自分の症状を把握。変形性膝関節症の初期、中期、後期の症状がある人は全ての体操を行います。
・体操時に、自分でひざを「押したり」「曲げたり」するときは、「痛い」と感じる手前の「イタ気持ちいい」と感じる程度で行います。
・体操は関節が温まった「入浴後」や、体の疲れを取る「就寝前」、活動前の「起床時」などに行うと、さらに効果を実感できます。
・体操を始めてから効果が現れるのは約３週間後。それまで、毎日できるだけきちんと体操を継続することが大事です。
ひざ関節を安定させる「バスタオル挟み体操」
普段はあまり使わず衰えがちな「内側広筋」を意識すること。ひざ関節を安定させて、痛みを解消する効果も期待できます。
●１日 １~３回、挟んで立ったまま30秒間行う
・用意するもの・・・バスタオル
大きめのバスタオルを畳んで使う。代用品として硬めのクッションでもＯＫ。
１ バスタオルを両ひざで挟む
いすに座って、ひざの内側に畳んだバスタオルを挟み込みます。
２ 挟んだまま立ち上がる
バスタオルを落とさないように、挟んで立ち上がります。
「内側広筋」を意識し、そのままの体勢で30秒間保ちます。
◎やり方のコツ
脚のひざ上の内側にある「内側広筋」を鍛えることで、機能の回復を目ざします。
○太ももの筋肉の緊張をほぐす「太もも伸ばし体操」
ひざを曲げるときに使う筋肉「大腿直筋」は、緊張、硬直しやすいので、体操でほぐして、本来の柔軟性を回復させます。
●１日 １～３回、伸ばした状態で30秒間行う
・用意するもの・・・・いすや平台
いすや平台の高さは、自分の立ち姿勢でのひざの高さと同じ程度のものを用意。
１ ひざ下をいすに載せる
いすの前に立って、片側の脚のひざ下をいすの上に載せます。
両手は腰に当てて背筋を伸ばします。
２ ひざを曲げて腰を落とす
いすに載せた脚は力を抜き、ひざの位置はそのままで、腰を手で押しながら上体を反らします。前方の脚のひざを曲げて腰を落とした体勢で30秒間保ちます。
注：片足になったとき、ふらつく場合は近くの壁やテーブルに手を添えて、転倒に注意します。
◎やり方のコツ
股関節から「大腿直筋」までの体の線を意識して、しっかり伸ばすようにします。
次の記事「テニスボールを挟むだけで痛みすっきり！「ひざのテニスボール体操」（５）」はこちら。
取材・文／松澤ゆかり
