「楷書で写経」が脳に効く。 手を動かせば思考と視覚が同時に覚醒/イヤな自分を変える脳ストレッチ

気分が浮かない、やる気がでない、自信が持てない......こんな自分を変えたい!と思っているのに変えられないあなた。もし「目を動かすだけ」「手を動かすだけ」であなたの脳が「できる脳」へと覚醒することができたら嬉しいと思いませんか?

自分で「イヤだ」と思い込んでいるあなたの性格は、「脳を動かすこと」で変えられるかもしれません。脳科学の第一人者が教える、ラクに自分を好きになれる、そして今からできる簡単な脳覚醒法を伝授します!

※この記事は『イヤな自分を1日で変える脳ストレッチ』(加藤 俊徳/KADOKAWA)からの抜粋です。

 

「楷書で写経」が脳に効く。 手を動かせば思考と視覚が同時に覚醒/イヤな自分を変える脳ストレッチ pixta_7863917_S.jpg前の記事「目を動かすだけで悩みが軽減!? 今すぐ試せる簡単脳ストレッチ/イヤな自分を変える脳ストレッチ(1)」はこちら。

 

手を動かして、脳を鍛える!

私には、ちょっとした特技があります。右手と左手の両方にペンを持ち、同時に文字を書くことができるのです。

どうしてこんなことができるのかというと私は元々左利きで、4歳のときに叔母と一緒に書道を始めてから右利きに矯正を始めた経緯があるからです。このため、今でも左手を使ったほうが便利な場面にしばしば遭遇します。

たとえば、右手でお箸を持ってごはんを食べていると、段々疲れてきて、左手にお箸を持ち替えてしまうときがあります。ただし、左のほうが楽だからと言って、ずっと左手を使って食べ続けていると、今度は右手でお箸を持つのが下手になってきてしまうので、しばらくすると右手に箸を持ち替えて食べるように気を付けなくてはなりません。

お箸の場合は、右も左もほぼ同じように使えますが、左手で文字を書く際には、いつもより多少、意識的に脳を働かせなくてはならないという感覚があります。これは脳にとっていい刺激となるので、両利きの能力を失わないように心がけています。

元々左利きだったことで、時折、変なところで決断を迫られることもあります。

たとえば、目の前のコップを取ろうとするとき、右手で取るのか、左手で取るのかを意識的に判断しないと、スッと手を伸ばせないことがあるのです。

乾杯の杯をどちらの手でするかなど、いちいち面倒だなと思ったりしますが、無意識に手を動かすのと違い、脳の働きを活発にすることにつながるので、習慣として受け入れています。

両利きというのは、何かと脳にはいいことが多いものです。たとえば、普段から意識的に両方の手を使うようにすると、意識が左右両方に均等に向くことになるので、右利き、あるいは左利きの人にとって死角となるところにも意識を向けることができ、観察力が高まります。

左利きの人はよく「変わった発想をする人たちだ」と言われます。おそらくそれは、圧倒的多数の右利きの人たちによって作られてきた仕組みに脳を調節するため、右利きの人よりも脳を幅広く活発に働かせるためでしょう。

自分の脳、特に運動系脳番地(体を動かすという行為に関連する脳のエリア。小脳および大脳基底核も含まれる。)を鍛えたい場合は、利き手と反対の手を使ってみてください。こうすることによって、それまであまり使っていなかった部位を刺激することができます。

 

脳を活性化させる「楷書」!

もう1つ、手を使うことによって思考系と視覚系の脳番地に刺激を与える方法を紹介しておきます。

その方法とは、文字を書くときに続け字をせず、1文字ずつしっかりと楷書体で書くことです。

最近は、パソコンやスマホを使う機会が多くなったため、漢字の書き方を忘れてしまっている人が多いようです。

こういう人たちが、実際にペンで文字を書こうとすると、漢字の一部を続け字にしてなんとなくごまかして書いたりします。身に覚えがある人はいませんか?

なんとなく書いていると、脳もあいまいな働きしかしません。字を書くときのポイントは、急がないこと。楷書体でゆっくり正確に書くようにしてみてください。じっくり細かいところまで集中力をきらさず、見て書くことが、思考系と視覚系を同時に刺激します。

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一時期、写経がブームになりましたが、1文字ずつ丁寧に漢字を書いていく作業は、脳にとって、非常にいい訓練です。写経をすると頭がすっきりするという感想を口にする人が多いそうですが、これは脳が活発に動き出した証拠でしょう。

脳トレの1つとして、写経に挑戦してみるのもいいアイデアです。

 

次の記事「イチロー選手は試合前「脳のストレッチ」をしている⁉ 脳を覚醒させる習慣を身に付けよう/脳ストレッチ(3)」はこちら。

 

 

加藤 俊徳(かとう としのり)

新潟県生まれ。医学博士。加藤プラチナクリニック院長。昭和大学客員教授、株式会社「脳の学校」代表。14歳のときに「脳を鍛える方法」を知るために医学部への進学を決意する。

1991年、脳活動計測「fNIRS法」を発見。現在、世界700カ所以上で脳研究に使用され、新東名高速走行中の脳活動計測にも成功。1995年から2001年まで米国ミネソタ大学放射線科MRI研究センターでアルツハイマー病や脳画像の研究に従事。帰国後、慶應義塾大学、東京大学などで、脳の研究に従事。胎児から超高齢者まで1万人以上のMRI脳画像とともにその人の生き方を分析。2006年、株式会社「脳の学校」を創業。2013年、加藤プラチナクリニックを開設。ビジネス脳力診断、発達障害や認知症などの予防脳医療を実践。著書に『イヤな自分を1日で変える脳ストレッチ』(KADOKAWA)などがある。


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『イヤな自分を1日で変える脳ストレッチ』

(加藤 俊徳/KADOKAWA)

あなたが「ニガテ」と感じていることは、本当に「ニガテ」なのでしょうか?思い通りにならずイライラしたり、自信を失くしたり、他人をうまくコミュニケーションが取れなかったり……そんな悩みの原因はあなたの「脳の使い方」かもしれません。自らの「暗黒時代」を引き合いにしつつ、脳を覚醒し簡単に悩みを軽減する方法を、脳科学者である著者が惜しげもなく伝授!「イヤな自分」が今日から変わる!悩める現代人のための脳ストレッチ教本です。

この記事は『イヤな自分を1日で変える脳ストレッチ』からの抜粋です
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