目を動かすだけで悩みが軽減!? 今すぐ試せる簡単脳ストレッチ/イヤな自分を変える脳ストレッチ

気分が浮かない、やる気がでない、自信が持てない......こんな自分を変えたい!と思っているのに変えられないあなた。もし「目を動かすだけ」「手を動かすだけ」であなたの脳が「できる脳」へと覚醒することができたら嬉しいと思いませんか?

自分で「イヤだ」と思い込んでいるあなたの性格は、「脳を動かすこと」で変えられるかもしれません。脳科学の第一人者が教える、ラクに自分を好きになれる、そして今からできる簡単な脳覚醒法を伝授します!

※この記事は『イヤな自分を1日で変える脳ストレッチ』(加藤 俊徳/KADOKAWA)からの抜粋です。

 

「悩んでしまった」ら、まず身体を動かそう

目を動かすだけで、すぐに悩みを軽減する方法

仕事や学校に行かず、かつ家族以外の人との交流がほとんどない状態のことを「引きこもり」といいます。引きこもりが重度になってくると、部屋から1歩も出られない状態が長期化することもあります。「医者だろうが親だろうが、もう誰にも会いたくない」

こうなってしまうと、なかなか手の施しようがありません。

そんなときは、部屋の中で眼球を左右に動かすだけでもいいので、とにかく自分の体の一部に動きを加えましょう。こうした小さな「自分で体を動かすこと」を積み重ねていくと、運動系脳番地(体を動かすという行為に関連する脳のエリア。小脳および大脳基底核も含まれる)が刺激されます。この脳番地は、自発的な脳活動を担う前頭葉に位置しているので、少しずつやる気を引き出すことができます。

自発的に動けずに引きこもっている人、何かに思い悩んでいる人に共通している特徴は、眼球さえ動かさず、ある1点をじっと見ていることが多いのです。まずはこの癖から脱することができるように、目を動かしてみましょう。目を動かすと視線の移動とともに視覚系脳番地(目で見たことを脳に集積させる働きをする脳のエリア。主に後頭葉に位置し、言語系は左脳、非言語系は右脳がつかさどる)も刺激されます。

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また、体を動かすことができるのなら、単純な体操やストレッチだけでも十分な変化を促せます。ほとんど動くことのなかった状態から、体操やストレッチをするので、体にとっては大きな変化となります。それだけで動きのバリエーションが一気に増え、あなたの思考にも影響が出てくるでしょう。

思考系脳番地(何かを考えるときに機能する脳のエリア。左脳・右脳の前頭葉部分に位置する)が刺激されれば、もっと体を動かしてみようという気持ちが高まっていきます。これにより、運動系脳番地も刺激されます。こうした連鎖的な刺激を脳に与え続けていけば、自分の意思、やりたいという気持ちを強化することができ、結果的に前向きな気持ちを養うことにつながっていきます。

もしもあなたが、運動したいなと思うようになってきたら、それはやる気が出てきたということです。その気持ちを抑え込まないで、とにかくもっと体を動かしましょう。続けるうちに、ストレスや悩みが軽減していくはずです。

 

「引きこもりがち」な人の脳ストレッチ

あなたがもし、引きこもりがちな人であれば、前述のことを試してほしいのですが、読者の中には引きこもりの家族を持つ人もいるかもしれません。その場合は、引きこもっている当人が少しでも体を動かせるような環境づくりをしてみてください。

たとえば、部屋の前にボールを置いておくのです。それに気が付き、部屋の中にボールを持ち込んでくれたら、ひとまず成功です。ベッドに寝転がりながら、天井に向けてボールを投げるだけでも、目と手が同時に動くので脳に刺激が送られます。

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この他、引きこもっている当人に、「この植物の世話をしてくれる?」と伝えて、プランターを部屋に置くのも1つの方法です。

世話のために水をあげるようになると、自然と体も動きますし、眼球も動きます。さらに、自分以外の対象物に意識が向くことになるので、視覚系脳番地に非常にいい効果を生み出します。

植物の世話をしているうちに、新しい芽が出てきたり、花が咲いてきたりすれば、だんだんと愛着がわき、自分が育てている植物以外にも興味が広がりやすくなります。目の前で起こる変化に意識が向けられるようになると、間違いなく考え方が変わっていきます。こうなると、自分で色々と考えられるようになり、思考の選択肢も増えていくことになるでしょう。本人の意志や意欲に関係している思考系脳番地が完全にシャットダウンしてしまう前に、できるだけ早く強制的に動く仕組みを用意してあげることが重要なのです。

 

引きこもるほど重度ではない人でも、家の中にこもりがちな人は多いと思います。たまには、気分転換に外出しましょう。散歩用にウォーキングシューズをあえて買うなど、外に出るきっかけを作ってみてください。散歩は体を動かすのに最適です。動けば、色々な風景が視界に入ってきて、それだけで脳に刺激を与えることになります。

公園のテニスコートでテニスをしている人たちがいれば、ベンチに座ってボールを目で追いかけてみるのもいい考えです。ボールが左右にはじかれていくのを見ていると、視線が激しく動くので、かなり効果的な「視線の運動」になります。たったこれだけのことですが、実際にやってみると、気持ちがすっきりしていることに気が付くはずです。

体を動かさないと、脳への刺激が起きなくなり、柔軟性が失われていきます。そうなる前に、少しでも興味があるほうへ意識を広げていき、行動を続けるようにすることが大切です。

悩みやストレスがあるから、動くのが億劫になるのではありません。動かないから、悩みやストレスにさいなまれるようになるのです。このことを心に留めて、まずは動くことから始めてみましょう。

 

「悩み=脳トレ」と考えよう!

ここで改めて、「悩み」について考えてみます。

悩みを抱えている人に共通するのは、「思考をつかさどる脳ばかりを使っている(思考系脳番地)」ということです。こうなると、同じ脳で堂々巡りのように考え続け、何の答えも見出せないまま深みにはまっていきます。

悩みを抱え込むようになると、外から新しい情報を取り入れることができなくなるという現象が起こります。そのため、ますます内向きになっていくのです。こうした思考回路に陥ってしまうことが、悩みの原因と言えます。

別の視点から「悩み」を分析してみると、物事を自分の思うようにできないことが悩みになっていると捉えることもできます。

たとえば、人と上手にコミュニケーションが取りたいのに取れないとか、仕事でいい結果を出したいのに出せないといったことや、痩せたいのに痩せられない、結婚したいのになかなかできないといったことも、多くの人が抱える悩みと言っていいでしょう。つまり、「物事を自分の思うようにできない」ことが悩みになっているのです。

悩みを抱えている状態は、決して愉快なものではありません。しかし、人間は生きている以上、自分の思い通りにならない物事に向き合わなくてはなりません。

それらの悩みと上手に付き合う方法を見つけ出し、自分を苦しめないようにすることが大切なのです。

そこで重要になるのが、「悩みに対するあなた自身の姿勢」です。

悩んでいる間というのは実に不安な時間ですが、実は、悩みは自分を変えるためのいいチャンスでもあると考えるのです。

脳には、成長をしている場所と、そうではない場所があり、成長していない場所は、上手に使うことができません。そもそも悩みというのはイヤなことが頭をグルグルすることで、脳が活発な動きをしていなければ、悩みにさいなまれることなどないのです。

悩める人ほど、脳を使い、問題を解決しようと努力します。つまり、「悩むこと自体が脳トレ」であり、無駄なことではありません。「悩み脳は、すでに脳トレに入っている」ということです。端的に言えば、悩んでいる人は「悩み脳トレーニング」に入っているのです。

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悩みを抱え、それを克服しようと考えている人には、「脳を伸ばす」ための可能性が秘められていると言えます。

このように考えるようにし、自分の悩みと向き合うようにしてください。

 

いつもの行動を変えると自分の身に必ず変化が起きる

体を動かすことで、自分の気持ちに変化をもたらすという話をしましたが、この考え方さえ覚えていれば、私たちはいつでもどこでも気分転換を図ることができるようになります。

たとえば、30分早く会社に出勤してみるとよいでしょう。早朝は30分の違いで道行く人々がまったく違うので、見える景色も変わります。

また、会社の机を拭いてみれば、使わないものが机の上にあることに気付いたり、自然とやる気が出てきたりします。たった朝の30分のことですが、小さな変化に体と脳が反応し、それまでとは異なる気分になるはずです。

仮に、あなたが何かに悩んでいるのであれば、こうした気分の転換によって悩みを違った角度から冷静に捉えることができるようになります。

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混み合った通勤電車の中でも、自分の行動に変化を加えてみてください。

いつも座って出勤する人はあえて降りる駅まで立ってみてください。また、窓の外の景色を眺める時間を増やし、歩く人々や街の様子、線路沿いに咲く花などを観察してみてください。電車の窓から見えたものを声に出さず実況中継するなど、ゲーム感覚で行ってみてください。

実際にやってみると、今までとは違う脳の番地が刺激されて、脳の中に新たな思考回路が生まれます。こういうことを繰り返していくと、考え方に幅が生じ、ストレスや悩みに柔軟に対応ができるように変わっていきます。

いつもはなんとなく電車に乗ってボーっと外を見ているだけだったので、今までは気付かなかった街や自然の変化にも気付いていくはずです。変化する情報をキャッチすることで、脳は活発に動き出します。脳が動けば、感情にも変化が現れます。そうした変化をポジティブに捉え、プラス思考に転換するように仕向けていってください。

 

次の記事「「楷書で写経」が脳に効く。 手を動かせば思考と視覚が同時に覚醒/イヤな自分を変える脳ストレッチ」はこちら。

 

 

加藤 俊徳(かとう としのり)

新潟県生まれ。医学博士。加藤プラチナクリニック院長。昭和大学客員教授、株式会社「脳の学校」代表。14歳のときに「脳を鍛える方法」を知るために医学部への進学を決意する。
1991年、脳活動計測「fNIRS法」を発見。現在、世界700カ所以上で脳研究に使用され、新東名高速走行中の脳活動計測にも成功。1995年から2001年まで米国ミネソタ大学放射線科MRI研究センターでアルツハイマー病や脳画像の研究に従事。帰国後、慶應義塾大学、東京大学などで、脳の研究に従事。胎児から超高齢者まで1万人以上のMRI脳画像とともにその人の生き方を分析。2006年、株式会社「脳の学校」を創業。2013年、加藤プラチナクリニックを開設。ビジネス脳力診断、発達障害や認知症などの予防脳医療を実践。著書に『イヤな自分を1日で変える脳ストレッチ』(KADOKAWA)などがある。


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『イヤな自分を1日で変える脳ストレッチ』

(加藤 俊徳/KADOKAWA)

あなたが「ニガテ」と感じていることは、本当に「ニガテ」なのでしょうか?思い通りにならずイライラしたり、自信を失くしたり、他人をうまくコミュニケーションが取れなかったり……そんな悩みの原因はあなたの「脳の使い方」かもしれません。自らの「暗黒時代」を引き合いにしつつ、脳を覚醒し簡単に悩みを軽減する方法を、脳科学者である著者が惜しげもなく伝授!「イヤな自分」が今日から変わる!悩める現代人のための脳ストレッチ教本です。

この記事は『イヤな自分を1日で変える脳ストレッチ』からの抜粋です
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