20代にも多い! 免疫力の低下が外陰部の病気を招きます/外陰部のトラブル

かゆみや痛み、腫れなど、外陰部(女性性器)のトラブルは、放置すると重大な病気につながることがあります。その反面、清潔を保ったり、日常生活を見直したりすることで、十分に予防できる病気や症状も少なくありません。まずは、外陰部についての正しい知識を身につけ、トラブルが起きているのかどうか判断できることが大切です。

自分の体を守るために知っておきたい外陰部の病気への対応や予防法を、セントソフィアクリニック婦人科院長の伊藤 知華子先生にお伺いしました。

20代にも多い! 免疫力の低下が外陰部の病気を招きます/外陰部のトラブル pixta_27237364_S.jpg前の記事「更年期以降の外陰部トラブルには、女性ホルモンの投与を/外陰部のトラブル(16)」はこちら。

 

予防の第一は体調管理。おりものの変調はすぐ病院へ

外陰部のトラブルには、さまざまな症状があるとお話ししてきました。今回は、すべての症状に共通する予防法と初期症状の見極め方をおさらいしましょう。

 

【外陰部のトラブルを予防するには】

●生活リズムを整える
20代~40代を中心に発症することが多いカンジダ膣炎や性感染症は、年代を問わず、免疫力が低下するタイミングで発症することが多いものです。そのため、抵抗力が弱まらないような生活習慣が大切。食事や睡眠はもちろん、適度な運動やストレスをためない工夫も必要です。

●通気性をよくする
外陰部に下着や生理ナプキン、おりものシートなどが密着すると通気性が悪くなり、むれやかぶれの原因に。外陰部がむれたりかぶれたりすることで、雑菌が繁殖してかゆみを引き起こします。下着は綿100%など通気性のいい素材のもので、体に合ったサイズのものを。補正下着も体を締め付けるので避けた方が無難です。生理ナプキンは、布ナプキンのように通気性のいいものを選び、こまめに交換しましょう。

●外陰部を清潔にする
外陰部のにおいやかゆみはもちろん、性感染症も日頃のケアで予防することができます。毎日お風呂に入りきれいに洗い流す、セックスの前にはシャワーを浴びるなどを心がけましょう。ですが、あまり神経質になる必要はありません。外陰部は洗いすぎると必要な善玉菌まで洗い流してしまって、かえってトラブルの原因になったり肌荒れを起こしたりしますので、顔用や弱酸性の石けん、外陰部専用のソープなどを使って優しく洗いましょう。

 

「ストレスや疲れ、生理前後、風邪などの体調不良といった要因で、免疫力が低下したり、ホルモンバランスが崩れると、膣内の自浄作用が働きにくくなります。すると、膣内で悪い菌が増殖してトラブルの原因に。日頃から体調を整え、疲れたときはゆっくりと体を休めるという意識が、外陰部の病気を防いでくれます。それに加えて、衣服を工夫する、常に清潔にするといったことを心がけましょう」(伊藤先生)

繰り返しになりますが、下記のような症状があったら、外陰部の病気が始まっているかもしれません。早めに婦人科を受診しましょう。外陰部の病気は、自然に治るだろうと放置すると、後々大変な病気やトラブルへと進行してしまうことがあります。受診は、生理中を除けばいつでもかまいません。自分の体のサインを見逃さないことが大切です。

【こんな症状があったら病院へ】
●おりものの量が増えた
●おりものの色が変わった
●おりもののにおいが強い気がする
●おりものがころころとしていたり、やけに水っぽいなど、形状がいつもと違う
●外陰部にかゆみや痛みを感じる
●外陰部が腫れている

 

取材・文/寳田真由美

 

伊藤 知華子(いとう・ちかこ)先生

セントソフィアクリニック婦人科院長、医学博士。名古屋第二赤十字病院産婦人科、成田病院勤務を経て、1997年米国サウスカロライナ医科大学生殖遺伝学教室留学、1999年成田病院帰任、2008年より現職。専門は婦人科。生殖医療専門医。

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