性感染症かなと思ったら・・・早めの受診で完治を目指すのが鉄則/外陰部のトラブル

性感染症かなと思ったら・・・早めの受診で完治を目指すのが鉄則/外陰部のトラブル pixta_16652599_S.jpgかゆみや痛み、腫れなど、外陰部(女性性器)のトラブルは、放置すると重大な病気につながることがあります。その反面、清潔を保ったり、日常生活を見直したりすることで、十分に予防できる病気や症状も少なくありません。まずは、外陰部についての正しい知識を身につけ、トラブルが起きているのかどうか判断できることが大切です。

自分の体を守るために知っておきたい外陰部の病気への対応や予防法を、セントソフィアクリニック婦人科院長の伊藤 知華子先生にお伺いしました。

前の記事「自覚症状に乏しい性感染症。放置すると不妊の原因にも/外陰部のトラブル(9)」はこちら。

 

性感染症は簡単な検査で分かります。
治療はパートナーと2人でが基本

性感染症は治療が遅れるほど治りにくくなる病気です。先にお話ししたように、「もしかして...」と思う症状があったら、恥ずかしがらずに婦人科を受診しましょう。性感染症は、おりものの状態がおかしくなったり、外陰部にかゆみや痛みなどの症状が出たりする場合もありますが、はっきりとした症状が出ず、検査をしてみないと分からない病気もあります。病院での検査は病気によって若干異なりますが、おおむね下記のような内容になります。

 

【性感染症の検査】

●問診
いつ症状が出たのか、どんな症状か、周囲に同じ症状の人はいるか、最後の性行為はいつか、性交の具体的な方法、持病はあるか、妊娠しているか、過去に妊娠したことがあるか、最後の生理はいつか、生理不順はないかなど、具体的な質問をされることが一般的です。性感染症の治療には問診が大変重要です。恥ずかしがらずに正直に伝えましょう。

●診察
おりものや性器の状態を観察して、目に見える変化があるかどうかを調べます。

●血液検査
採血して血液を調べます。梅毒のように血液検査でなければ診断ができない病気もあります。

●のどの検査
性病を起こす微生物がのどに感染していないかをチェックします。のどに感染があると、たとえ性器に感染がなくても、オーラルセックスで相手にうつしてしまうことがあります、反対に男性のペニスから喉に感染を起こすことも多いです。

●膣分泌物検査
子宮頸管内や膣内の分泌物を清潔な綿棒や鑷子で採取して、膣分泌物内の感染症の有無を調べます。


「検査によって性感染症と診断された場合は、飲み薬や塗り薬の他、注射や膣に入れる錠剤などで治療します。ほとんどの性感染症は薬で治療できますが、中には手術が必要なものもあります。性感染症の治療で大切なことは、感染した場合、自分だけが治療をしただけでは不十分だということ。せっかく治療が済んでも、パートナーが感染していたらピンポン感染と言われる再感染を繰り返してしまいます。パートナーと共に検査をして異常がないと分かるまでは、性行為を避ける、コンドームを必ず装着するなど予防に努めてください」(伊藤先生)

性感染症の病気が疑われる場合や不安に思ったときには、婦人科で相談してみましょう。男性は、泌尿器科で相談できます。

 

次の記事「クラミジア、トリコモナス、梅毒...代表的な性感染症/外陰部のトラブル(11)」はこちら。

取材・文/寳田真由美

 

伊藤 知華子(いとう・ちかこ)先生

セントソフィアクリニック婦人科院長、医学博士。名古屋第二赤十字病院産婦人科、成田病院勤務を経て、1997年米国サウスカロライナ医科大学生殖遺伝学教室留学、1999年成田病院帰任、2008年より現職。専門は婦人科。生殖医療専門医。

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