かゆみや痛み、腫れなど、外陰部(女性性器)のトラブルは、放置すると重大な病気につながることがあります。その反面、清潔を保ったり、日常生活を見直したりすることで、十分に予防できる病気や症状も少なくありません。まずは、外陰部についての正しい知識を身につけ、トラブルが起きているのかどうか判断できることが大切です。
自分の体を守るために知っておきたい外陰部の病気への対応や予防法を、セントソフィアクリニック婦人科院長の伊藤 知華子先生にお伺いしました。
前の記事「年齢とともに起こる、デリケートゾーンの変化とは?/外陰部のトラブル(14)」はこちら。
閉経後女性の約半数が経験!?
膣・外陰部の違和感って?
萎縮性膣炎という言葉を聞いたことはありますか? これは、女性ホルモンの分泌が低下することで起こる病気です。閉経後の女性や悪性腫瘍などで卵巣を摘出した女性がなりやすいと考えられており、約半数の人が心当たりがあるという調査もあります。
「更年期以降の女性に多い萎縮性膣炎は、膣の中がやせて乾燥することで不快な症状を引き起こします。代表的な症状に膣にヒリヒリとした刺激を感じる、外陰部のかゆみや痛み、性交後の出血などがあります。また、外陰部や膣内に存在する常在菌が少なくなるため、膣内の酸性度が下がり、細菌や真菌に感染しやすい状態にもなります。そのため、細菌性膣炎も起こしやすい状態に。治療することでかなり効果を期待できます」(伊藤先生)
代表的な症状をご紹介しましょう。
【もしかして萎縮性膣炎かも】
●閉経している
●不正出血がある
●膣に違和感を感じる
●黄色や褐色のうみのようなおりものが出る
●おりものに悪臭がする
●膣や外陰部に痛みを感じる
●膣や外陰部が熱っぽい
●外陰部にかゆみがある
●性交すると出血する
●性交時に痛みがあって不快だ
●排尿時に痛みがある
上記のような症状があったら、萎縮性膣炎が始まっているかもしれません。萎縮性膣炎は、日常生活に気を配ることで、症状を軽減することができます。
【萎縮性膣炎を軽減するには】
●外陰部を洗いすぎない
萎縮性膣炎は、外陰部のかゆみを伴うことがありますが、洗いすぎると膣を傷つけたりさらに乾燥を促す原因になります。洗浄剤を使う場合は、弱酸性で体に優しいものを選びましょう。顔用の石けんでもかまいません。
●服や下着は通気性のよいものを
締め付けの強い服や下着は、外陰部がむれて雑菌が繁殖しやすい環境を作ります。萎縮性膣炎になると、膣の自浄作用が低下して細菌や真菌に感染しやすくなり、細菌性膣炎を発症しやすくなります。下着は綿100%のもの、服は通気性のよいものを心がけましょう。
●パートナーと定期的に性行為をする
定期的に性行為を行うことは、膣への血流を増加させ、膣の萎縮を予防します。膣の分泌物が増えることで乾燥もしにくくなります。ただし、性行為で痛みを感じる場合は、婦人科で相談のうえ、潤滑剤を利用するなど工夫をしましょう。
次の記事「更年期以降の外陰部トラブルには、女性ホルモンの投与を/外陰部のトラブル(16)」はこちら。
取材・文/寳田真由美