妊娠中の性感染症は胎児への影響も。発症を防ぐ方法は?/外陰部のトラブル

かゆみや痛み、腫れなど、外陰部(女性性器)のトラブルは、放置すると重大な病気につながることがあります。その反面、清潔を保ったり、日常生活を見直したりすることで、十分に予防できる病気や症状も少なくありません。まずは、外陰部についての正しい知識を身につけ、トラブルが起きているのかどうか判断できることが大切です。

自分の体を守るために知っておきたい外陰部の病気への対応や予防法を、セントソフィアクリニック婦人科院長の伊藤 知華子先生にお伺いしました。

妊娠中の性感染症は胎児への影響も。発症を防ぐ方法は?/外陰部のトラブル pixta_23466707_S.jpg前の記事「早期に気付きやすい、男性の性感染症。その症状は?/外陰部のトラブル(12)」はこちら。

 

妊娠中の発症は特に注意! 赤ちゃんに感染することも

性感染症は一度かかっても免疫ができなかったり、体内にウイルスが残って再発を繰り返してしまうものが少なくありません。特に、免疫機能が低下しやすい妊娠中に性感染症を発症すると、生まれてくる赤ちゃんへの感染が心配されます。

お母さんがクラミジア感染症や淋病にかかっている場合、無治療のまま出産すると赤ちゃんが結膜炎や肺炎になることがあります。性器ヘルペス感染症にかかっている場合はヘルペス脳炎(※)を、尖圭(せんけい)コンジローマにかかっている場合は、赤ちゃんののどにできものができ、外科手術が必要となることもあります。これらは、分娩時に産道で感染する可能性が高いため、万が一、出産時に自分がそういった性感染症を発症していると分かっている場合は、帝王切開での出産を検討する必要もあります。

※ヘルペス脳炎とは、単純ヘルペスウイルスによって引き起こされる脳炎。典型的な兆候は水疱性の発疹で、全身に進行する場合もあります。

 

梅毒も妊娠経過や赤ちゃんに悪い影響を及ぼすことが知られています。
「梅毒とクラミジア感染症の検査は、妊婦健診で広く行われています。過去に性感染症を発症したことがある方や、自覚症状がないけれども気になっているという方は、自費診療で検査を受けることもできます。お近くの婦人科で相談してみてください」(伊藤先生)
性感染症を自費診療で受ける場合の目安をご紹介します。どれも比較的手頃な価格で受けることができますので、早期発見のために一度、検査を検討してみましょう。

 

検査料金の一例(自費診療)

●ヒトパピローマウイルス(HPV/尖圭コンジローマの原因となる菌)...子宮頸部からの細胞擦過5,000円+税
●梅毒...血液検査1,000円+税
●クラミジア...子宮頸管内擦過3,000円+税
●クラミジア・淋病...子宮頸管内擦過(両方同時)5,000円+税
※上記は、「セントソフィアクリニック」での検査の一例。この他に、初診3,000円、再診1,500円の診察料がかかります。

病院に行くことに抵抗があるという方は、インターネットで注文できる郵送での検査キットも増えているので利用してみるのも一案です。検査で性感染症だと分かった場合は、すみやかに婦人科を受診しましょう。

 

次の記事「年齢とともに起こる、デリケートゾーンの変化とは?/外陰部のトラブル(14)」はこちら。

取材・文/寳田真由美

 

伊藤 知華子(いとう・ちかこ)先生

セントソフィアクリニック婦人科院長、医学博士。名古屋第二赤十字病院産婦人科、成田病院勤務を経て、1997年米国サウスカロライナ医科大学生殖遺伝学教室留学、1999年成田病院帰任、2008年より現職。専門は婦人科。生殖医療専門医。

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