接種しなきゃダメ?インフルエンザワクチン。日々の生活での予防策は?

今年もインフルエンザのシーズンが到来しました。昨シーズンは流行のピークが早く、12月に一気に患者数が増え、重症化により入院した人が例年より増加しました。その大半を占めたのが60歳以上の方々です。インフルエンザの気を付けるべき症状、予防方法について国立感染症研究所感染症疫学センター第2室室長の砂川富正先生にお聞きしました。

前の記事「空気でも感染する! インフルエンザは手洗い&マスクで予防しよう(2)」はこちら。

 

ワクチン接種は重症化を防ぐ。薬の正しい使用も大切

手洗いやマスクを心掛けていても、流行シーズンにはインフルエンザウイルスに知らぬ間にアタックされます。その予防として有効なのが、インフルエンザワクチンです。基本的に65歳以上の方が定期接種の対象で、11月以降に1回接種することが望ましいとされています。

でも、ワクチンを接種してもインフルエンザになってしまうことはありますね。それは、インフルエンザウイルスが変異しやすいことに関係しています。ワクチンと流行するウイルスは100%は一致しないので、感染を完璧には予防できないのです。

「麻疹や風疹などのワクチンは、接種すれば基本、感染を防げますが、インフルエンザワクチンは4〜6割の感染制御にとどまります。ただし、主に重症化を防ぐために意味があります。インフルエンザワクチンを接種することで、仮に感染しても症状は軽く済み。肺炎などの二次感染を防ぐためにも役立つのです」と砂川先生は説明します。

インフルエンザになってしまったときには、かかりつけ医などで治療薬を処方してもらい、重症化を防ぐことが重要になります。このとき大切なのは、医師の指示に従って処方された薬をきちんと服用することです。
「症状が治まったからといって自分勝手に服用をやめると、体内で薬に抵抗力を持つ耐性ウイルスが生き残り、薬が効かないウイルスを増やすことになります」と砂川先生。

予防に努め、薬は正しく使って、重症化を防ぎましょう!

 

●インフルエンザで処方される主な薬

飲み薬による治療
(薬の名前)オセルタミビル (タミフル)
(使用回数)1日2回/5日間
(特徴)治療にも予防にも有効。 副作用は悪心、嘔吐などがある。

薬の吸入による治療
(薬の名前)ザナミビル (リレンザ)
(使用回数)1日2回/5日間
(特徴)治療にも予防にも有効。副作用は、咳の悪化、気管支攣縮など。

薬の吸入による治療
(薬の名前)ラニナミビル (イナビル)
(使用回数)1回のみ
(特徴)一度吸入すれば治療終了。 うまく吸入できないと治療が不十分になってしまう。

注射による治療
(薬の名前)ペラミビル (ラピアクタ)
(使用回数)1回のみ
(特徴)静脈注射。薬を口から飲めない、吸入できない人に(認知症患者、寝たきりの人など)。 原則的には何らかの病気で入院中の人に使用。

上記の他に今年3月に保険適用となった「ゾフルーザ」(飲み薬 1回のみ服用)がある。

 

 

知っておきたい達人のツボ

●インフルエンザ「ワクチン」について
毎年、そのシーズンに流行すると予測されたウイルスを選定し、A型2種類とB型2系統による4価ワクチンが供給されます。接種から効果が現れるまで2週間程度かかるため、12月の流行前に接種することが大切。ワクチンの効果は半年程度続きます。

●インフルエンザの「型」とは
インフルエンザウイルスは、A型、B型、C型に大きく分類されます。このうち大きな流行の原因となるのはA型とB型です。 近年、国内で流行しているインフルエンザウイルスは、A (H1N1)亜型、A(H3N2)亜型(香港型)、B型(2系統)の 3種類です。このうち、A(H1N1)亜型のウイルスは、ほとんどが2009年に発生したH1N1pdmウイルスです。A(H1N1) 亜型のウイルスの中でも、2009年より前に季節性として流行していたもの(Aソ連型)は、2009年のインフルエンザ(H1N1) pdm2009ウイルス発生後は姿を消しました。
(出典╱厚生労 働省ホームページ「インフルエンザQ&A」)

 
【覚えておきたいインフルエンザの予防策】

◎ワクチンを接種する

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インフルエンザワクチンは、感染を100%防げるものではありませんが重症化予防として重要です。かかりつけ医などに相談した上で11月頃に1回の接種を心掛けましょう。

 

うがい、手洗いをする
1811p087_01.jpg流行時には至るところにウイルスが存在する可能性があるため、外出後はもとより食事前などこまめに手洗いをしましょう。うがいはノドの粘膜の保湿のために役立ちます。

 

人ごみを避ける
1811p087_04.jpg免疫力が低下している人が流行時に人ごみを避けるのも、予防策として有効です。電車や駅、商店街などで朝晩の混んでいる時間帯を避けてすいている時間帯を活用しましょう。

 
マスクをする
1811p087_03.jpgマスクは鼻までしっかり覆い、頰や顎などに密着させて、隙間がないように着用するのが基本です。使い捨てマスクを使うのがベター。同じマスクを何度も使い回さないように。


その他に...
・過労を避け十分に睡眠をとる
・栄養と休養を十分にとる
なども有効です

 
●家庭内に患者がいる場合
・患者はマスクをする
・時々部屋の空気を入れ換える
・部屋の湿度を適度(50~60%)に保つ
・くしゃみ、咳は必ずティッシュやハンカチで覆って行う
・接触感染を避けるために、ドアノブ、ベッドの縁、廊下や階段の手すりを消毒し、タオルは共有しない。1811p087_06.jpg


●かかってしまったら?
急な発熱、関節痛、筋肉痛などがあり、人ごみに出かけた、家庭内に患者がいる、などの 場合は、まず病院に!
・病院で処方された薬を服用する
・安静にして睡眠を十分とる
・高熱による脱水症状が起こらないように水分補給する1811p087_05.jpg

 

取材・文/安達純子 イラスト/堀江篤史

 

 

<教えてくれた人>
砂川富正(すながわ・とみまさ)先生

国立感染症研究所感染症疫学センター第2室室長。琉球大学医学部卒。大阪大学大学院医学研究科博士課程修了。 医学博士。2002年より国立感染症研究所感染症情報センター主任研究官。感染症の調査・対応を数多く行い、2013年より現職。

この記事は『毎日が発見』2018年11月号に掲載の情報です。

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