首の痛みの予防・改善には日頃からの心がけが大事!/首の痛み

首は、約5㎏という人間の頭を支える関節の中でも重要な部位。そんな重い頭を支える首には、大きな負担がかかり、筋肉の疲労やストレスなどによって痛みが生じやすくなります。また、関節からの痛み、骨と骨の間にあるクッションの役割である椎間板からくる痛みのほか、内臓などの深刻な病気が隠れている場合もあるので、手足にしびれがある、眠れないほどの激痛がある、痛みが長引く、高熱を伴うといったときは、要注意です。

さまざまな首の痛みの症状やメカニズム、原因と治療、首の痛みに効果的な運動の方法などを、自治医科大学整形外科教授の竹下克志先生にお聞きしました。

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首の痛み全般に効く対処法と予防法とは?

首の痛み全般に効く対処法と予防のためには、日頃の生活習慣を見直すことが大切です。少しでも首への負担を減らすために、具体的にどうしたらよいのでしょうか?何に気をつけなければいけないのでしょうか?

●姿勢や生活習慣の見直し
日頃から姿勢や動作に注意することで、首の痛みのほとんどは予防・改善することができます。

・バッグは同じ側の肩だけに掛けずに左右バランスよく使うよう意識する

・リュックサックは両肩に掛けるのでおすすめ。ただし、荷物が重いと前かがみになるので注意。肩かけ部分が細いと一部分だけに負担がかかるので、肩掛け部分の幅が広く、柔らかい素材のものを選ぶ

・重い荷物を運ぶ場合は、キャリーバッグなど首への負担が軽いものがおすすめ

・洗濯物を干すときの「首を大きく上に反らして、腕を上げる動作」は、とくに首の筋肉や靭帯の炎症につながってしまうので、上を向かないように目線の高さで作業するよう工夫する。
→低い位置で洗濯物をすべてかけてから、高いところにつるす
→高さが調節できる物干し台の場合は、低い位置に調整する。調節できない場合は、安定した踏み台などを使う

・スマートフォンは操作している手の脇の下に反対側の手の握りこぶしを入れて、画面を顔の高さにして操作する。腕の疲れも防げる

 

パソコンに向かっているうちに、猫背の姿勢で、あごを突き出して、前かがみになってしまう人が多く見受けられます。長時間前かがみの姿勢を続けると、首の筋肉が疲労し、頚椎椎間板(けいついついかんばん)ヘルニアを引き起こすこともあるので、次のことに気をつけるようにしましょう。
・深く腰掛けて、背筋を伸ばす
・あごを軽く引く
・ひじは90度の位置に置く
・頭は体の中心の真上に来るようにして、肩より前に来ないようにする
・モニター画面の上端が目の高さより少し下に来るようにする
・机が低い場合は、ノートパソコンを台の上にのせるなどして高さを調整する
・キーボードは手元に置く

また、同じ姿勢を長時間取り続けると、首への負担がかかります。15~30分ごとに席を立ち、歩いたりストレッチしたりするなど、休憩を入れるように心がけましょう。また、パソコンの画面が発するブルーライトはエネルギーが強く、網膜まで届くので、眼精疲労を引き起こすともいわれています。ブルーライトをカットするフィルターや眼鏡を使うといいでしょう。

 

 

●首や上半身の運動
ストレッチや筋力トレーニングが重要です。ストレッチは関節や靭帯・筋肉の動きを柔らかくスムーズにします。血流が改善し、筋肉をリラックスさせます。デスクワークの合間に取り入れるといいでしょう。

■首回し
1. 頭を体の中心の真上に来るようにして、まっすぐ前を見て、背筋を軽く伸ばす。上半身の力を抜いて、両腕は自然に垂らし、肩の力を抜く。

2. あごの高さを保ったまま、肩越しに頭だけ右側からゆっくり回転させる。気持ちいいところまで来たら、そのまま10秒間キープする。

3. 左側も同様に行う。終わったら、元の位置に頭を戻す。

 

■首の横曲げ
1. 頭を体の中心の真上に来るようにして、まっすぐ前を見て、背筋を軽く伸ばす。上半身の力を抜いて、両腕は自然に垂らし、肩の力を抜く。
2. 右耳を右肩に寄せるように、頭を右側にゆっくり傾けていく。気持ちいいところまで来たら、そのまま10秒間キープ。
3. 左側も同様に行う。終わったら、元の位置に頭を戻す。

 

■首の前後曲げ
1. 頭を体の中心の真上に来るようにして、まっすぐ前を見て、背筋を軽く伸ばす。上半身の力を抜いて、両腕は自然に垂らし、肩の力を抜く。
2. 視線を上に向けながらゆっくりあごを持ち上げていき、首の前側を開いていく。気持ちいいところまで来たら、そのまま10秒間キープ。
3. 今度は頭をゆっくり下げながら、首を曲げていく。気持ちいいところで数秒間キープしたら、最初の位置に頭を戻す。

 

■肩のストレッチ
1. 頭を体の中心の真上に来るようにして、まっすぐ前を見て、背筋を軽く伸ばす。上半身の力を抜いて、両腕は自然に垂らし、肩の力を抜く。
2. 両腕を前方上側に向かって引き上げ、ゆっくり両耳に寄せていく。
3. まっすぐ前を見たまま、2で引き上げた両肩を背中側から最初の位置までグルっと回転させる。

 

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取材・文/古谷玲子(デコ)

 

竹下克志(たけした・かつし)先生

医師。自治医科大学整形外科教授。1987年東京大学医学部卒業、東京大学整形外科医局長、同大学医学部整形外科准教授などを経て、現職。脊椎(せきつい)外科(とくに側弯症)、痛み、バイオメカ、アウトカムを専門とする。著書に『そうだったのか!腰痛診療: エキスパートの診かた・考えかた・治しかた』(共著、南江堂)

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