現在、日本国内の患者数は1千万人を超えるとされる「糖尿病」。これはもはや現代の国民病と言えるかもしれません。もしも自分が、家族が糖尿病になったら、予備軍だったら、生活習慣をどのように変えていけば良いのでしょうか。
一生続けられる「血糖値を上げない習慣」について、京都大学医学部附属病院病院長で糖尿病・内分泌・栄養内科教授の稲垣暢也先生にお話を伺いました。
前の記事「「発酵食品と食物繊維は合わせて摂る」のが糖尿病を遠ざける食習慣!/糖尿病(3)」はこちら。
「食べる順番」で血糖値の上昇を緩やかにできる!
まずは野菜(食物繊維) 次に魚や肉(たんぱく質) 最後にご飯(糖質)が理想
「食事のときに、食べる順番で血糖値の上昇を緩やかにできることをご存じですか?」
笑顔でそう話す稲垣先生に、食事のコツと血糖値の上昇に関するメカニズムを聞きました。
まずは最初にきのこ、野菜、海藻などを食べるようにします。低カロリーで食べごたえがあるボリュームたっぷりの食物繊維を先に食べておき、糖質が一気に吸収されて血糖値が急激に上昇しないようにするのです。
最近の研究で、魚に含まれる栄養素が腸内の善玉菌を増やし、インスリンの分泌を活発にするインクレチンの分泌を促進することが分かりました。
野菜などの食物繊維の次に食べるのが魚や肉などのたんぱく質です。そして最後にご飯などの糖質を摂ります。前に食べておいた食べ物の働きで、糖質の吸収がゆっくりになり、インスリンの分泌が活発になって、血糖値の上昇を緩やかにします。
「早食いする人、よくかまない人は、満腹中枢に刺激が届く前に食べ終わってしまうので、食べ過ぎて肥満に陥ることがあります。これは要注意。食事には少なくとも30分以上かけて。満腹中枢が刺激され始めるのは、食べ始めてから15〜20分後です」
それに加えて、よくかんで食べることで、食べるスピードがゆっくりになり、唾液の分泌も活発になるので、胃や腸も刺激されよく動くようになります。唾液は口の中の雑菌を殺菌する働きを持ち、歯周病や口内炎の予防にもなり、歯の健康にも貢献するのです。
■チェックポイント
★「かむ」ことで、早食いや食べ過ぎを防ぐ
★「食物繊維」糖質の吸収を抑える
★野菜は生でも加熱でもOK。ただし塩分の摂り過ぎには注意!
●1日に摂りたい野菜の目安量
淡色野菜230g以上
緑黄色野菜120g以上
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取材・文/宇山恵子 撮影/米山典子