現在、日本国内の患者数は1千万人を超えるとされる「糖尿病」。これはもはや現代の国民病と言えるかもしれません。もしも自分が、家族が糖尿病になったら、予備軍だったら、生活習慣をどのように変えていけば良いのでしょうか。
一生続けられる「血糖値を上げない習慣」について、京都大学医学部附属病院病院長で糖尿病・内分泌・栄養内科教授の稲垣暢也先生にお話を伺いました。
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糖尿病対策には、発酵食品と食物繊維を合わせて摂るのがおすすめ!
腸内の善玉菌を増やして血糖値が上がり過ぎない体質になろう
「糖尿病患者は『あれもこれも食べてはいけない...」と制限されて苦しそうなので、私は『発酵食品と食物繊維を合わせて食べてみませんか?』と、食べていいものをおすすめしています」と稲垣先生。患者の気持ちをよくご存じのうれしい提案です。ではなぜ一緒に食べるのがいいのでしょうか?
発酵食品を食べると腸に善玉菌が増えます。実はこの善玉菌の中には、すい臓でインスリンの分泌を促す「インクレチン」というホルモンを分泌させる働きを高めてくれるのもんがあることが最近発見されたのです。善玉菌を含む発酵食品にはヨーグルト、チーズ、納豆、みそ、ぬか漬、キムチなどがあります。ただし体にいい発酵食品でも、カロリー、塩分、脂肪分、糖分には注意して食べ過ぎないようにしましょう。
●代表的な発酵食品
ヨーグルト
納豆
みそ
善玉菌を元気にするのが食物繊維です。なぜなら食物繊維は腸内にすむ善玉菌のエサになるからです。食物繊維は野菜、きのこ、海藻、豆類などに多く含まれており、体内では消化されません。消化されないのでたくさん食べてもカロリーは限りなくゼロに近いため、太る心配がありません。
かみ応えやボリュームがあるものが多いので、日頃食べ過ぎてしまう食欲旺盛な人は、ぜひ食物繊維を積極的に摂りましょう。1日の摂取目標量は男性が20g以上、女性が18g以上です。
●食物繊維を多く含む食品
きのこ類
わかめなどの海藻
豆類
合成保存料、酸化した油、脂肪の多い食品、不規則な生活、偏食、睡眠不足、ストレスなどは善玉菌を減らし、悪玉菌が増えてインクレチンの分泌が低下し、血糖コントロールが悪くなります。悪玉菌が増えたサインとしてチェックしたいのが便通。便秘になったり、便が臭い、軟便、固い便など、便の質が悪くなっていたら腸内環境が乱れていると考え食生活を見直しましょう。
■チェックポイント
★発酵食品には腸内で善玉菌になる細菌が含まれる
★腸内細菌にインスリンの分泌を促すものがある
★食物繊維は善玉菌のエサになるものが多く含まれる
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取材・文/宇山恵子 撮影/米山典子