骨粗鬆症(こつそしょうしょう)は加齢による骨やカルシウムの代謝の衰えを主な原因とし、高齢者に多い病気です。特に、女性は閉経に伴う女性ホルモンの低下により、骨密度が減り、発症率が高まります。骨が折れるまで寿命が延びた人間の宿命といえる病気である以上、骨量の減少スピードを緩やかにすることが大事になります。骨粗鬆症にならないための対策について、虎ノ門病院内分泌代謝科部長の竹内靖博先生にお聞きしました。
骨粗鬆症はどんな病気?
骨は新陳代謝によって日々生まれ変わりますが、20歳代で最大骨量(骨密度)となり、40歳代半ばまで維持された後、徐々に減っていきます。骨密度が70%未満になると骨がもろくなり、わずかな力で骨折しやすくなります。骨折しやすい部位は、主に背骨、脚の付け根、手首、腕の付け根などです。骨折することによって、肺活量が減る、内臓を圧迫する、転びやすくなるなど、日常生活に支障を来し、内臓疾患や寝たきりのきっかけになるなど軽視できない病気です。
女性は特に注意!
女性は閉経に伴う女性ホルモンの減少により、50歳前後から急激に骨密度が減り、発症率が高まります。男性は女性の発症年齢のプラス10歳が目安とされています。効率的な予防や自分の本来の骨量を知り早期治療に役立てるためにも、機会があれば一度、骨粗鬆症検診を受けることをおすすめします。現在最も信頼性が高いといわれる検査方法は二重X線吸収法(DXA(デキサ)法)ですが、超音波を使って短時間で検査する方法もあります。お住まいの自治体やかかりつけ医に一度問い合わせてみるとよいでしょう。
●骨粗鬆症が疑われるサインとは?
転んで足や手の骨が折れる、身長が3cm以上低くなった、背中や腰が痛い・曲るなどが、骨粗鬆症を疑うサインになります。サインを見逃さず、早めに治療を始めることが大事になります。
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取材・文/古谷玲子(デコ)
竹内靖博 (たけうち・やすひろ)先生
虎ノ門病院内分泌代謝科部長。東京大学医学部医学科卒業。内分泌疾患全般、骨・カルシウム代謝異常症専門医。東京大学大学院医学系研究科内分泌病態学非常勤講師。著書に『あなたも名医!もう悩まない!骨粗鬆症診療』(日本医事新報社)。