内視鏡検査なら、病気の早期発見でメリット高い/胃の不調

内視鏡検査なら、病気の早期発見でメリット高い/胃の不調 pixta_924706_S.jpg「食欲がない」「胃がもたれる」「胃がキリキリと痛む」......誰もが一度ならず経験があるのではないでしょうか。胃の調子は健康のバロメーター。不調であれば、「食べた物が悪かった?」「それともストレスが大き過ぎた?」と考え、食べる量を控えるなどして、胃の健康を保とうとします。なぜ、胃の調子は悪くなってしまうのでしょう。しょっちゅう起こる胃痛や胸やけから、胃食道逆流症、胃潰瘍や胃がんまで、兵庫医科大学病院副病院長の三輪洋人先生にお聞きしました。

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レントゲン検査では進行した病気しかわからない

胃の検査には、レントゲン検査と内視鏡検査の2種類があります。健康診断では多くの場合、レントゲン撮影による検査が行われますが、場合によって、内視鏡による検査のみであったり、選択ができる場合があります。

レントゲン検査と内視鏡検査は、どちらがよいのでしょうか。

「内視鏡検査を受けて欲しいと考えています。なぜなら、レントゲン検査では、大きくなった病気しか、どうしても見つけられないからです」と三輪先生。

レントゲン検査は、空腹の状態でバリウムを飲んで胃を膨らませ、体の外から撮影を行います。影が写れば、そこは胃潰瘍や胃がんなどの病気である可能性が高く、さらなる検査や治療を進めることになります。

 
麻酔で寝ている間にできる内視鏡検査も

一方、内視鏡検査は、口や鼻からカメラを胃へ入れて、直接、胃の壁の様子を見る検査です。レントゲン検査と同様、前日から食事を控えて空腹状態にして、胃の中を見やすくする薬剤(消泡剤)を飲み、麻酔をした後にチューブの先についたカメラを口、または鼻から入れます。

口からチューブを入れると、ほとんどの人がのどの奥で嘔吐反射を起こします。のどの奥に指などを入れると、オエッと吐き出したくなるアレは、のどを刺激すると起きる生理的な反応です。個人差がありますが、かなり苦しく感じる人もいます。最近では、小型化した内視鏡を使うことで苦しさを軽減したり、また、麻酔で眠っている間に検査をする方法もあります。眠っている間は、嘔吐反射が出ないので、口からの内視鏡検査につきものの苦痛を感じることがありません。

 
早期発見なら、内視鏡で切除も

「残念ながら、レントゲン検査ではある程度大きくなったがんや潰瘍しか見つけることができません。

内視鏡検査では、食道から胃の上部から下部まで、モニターで見ることができます。表面の色、形、みずみずさもわかり、初期の小さながんでも見つけることができるのです。また、潰瘍の様子など、患部の状態を詳しく把握できます。

がんを小さなうちに見つけることは、とても大事です。がんは小さいほど、切除がしやすく、完治しやすい。もちろん命が一番大事なので、命を守るために胃を半分、あるいは全部を摘出してもいいという考え方もあるかもしれません。しかし、内視鏡検査だからこそ見つけられる小さな胃がんであれば、内視鏡の先につけたワイヤーで切除する治療法を選べる可能性があります。この方法は、腹部の皮膚から内臓まで切り開いて行う外科手術よりも体の負担がずっと小さくてすみます」(三輪先生)

この他に、鼻から内視鏡を入れる方法もあります。嘔吐反応が出ないので、口から入れる場合に比べて苦しさは減りますが、画像の明瞭さは口から入れる内視鏡の方が優れています。

 

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取材・文/三村路子

 

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三輪洋人(みわ・ひろと)先生

兵庫医科大学理事・副学長。兵庫医科大学病院副病院長。内科学消化管科主任教授。1982年、鹿児島大学医学部卒業。医学博士。専門は、消化器内科一般のほか、特に逆流性食道炎、機能性ディスペプシア、ピロリ感染症の診断と治療、また内視鏡による胃がんの早期診断と化学療法。著書に『「胃もたれ・胸やけ」は治せる 機能性ディスペプシア・胃食道逆流症・慢性胃炎』(NHK出版)ほか。

(参考資料)
『「胃もたれ・胸やけ」は治せる 機能性ディスペプシア・胃食道逆流症・慢性胃炎』(NHK出版)
日本消化器病学会ガイドライン 
・厚生労働省「喫煙と健康 喫煙の健康影響に関する検討会報告書」(2016年)

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