筋肉は使うほど貯まり、動ける体、健康寿命を支えます
最近、歩く速さが前よりも遅くなったような、 そんなふうに感じることはありませんか? それは加齢に伴う筋力の低下と関係があります。筋肉が落ちると寝たきりや認知症に一歩、近づき、自由な生活からは遠ざかります。筋肉を意識的に使うことで脳が活性化され、神経のつながりも良くなり、結果、いつまでも自力で動くことができます。
「貯筋・運動」で"貯筋"の残高を増やしてみませんか?
歩くのが加齢とともに遅くなるのは?
20代をピークに、それ以降は年齢とともに歩くときに発揮するパワー《歩(ほ)パワー》は小さくなります。
歩行速度はピッチ(1秒あたりの歩数)とストライド(1歩の歩幅)で決まります。歩いているときのピッチは男女ともに1秒間に約3歩で、これは年代による差はありません。一方でストライドは年齢が上がるにつれて短くなります。つまり年齢とともに1歩の歩幅が短くなるので、それだけ進む距離も短くなり、歩くのが遅くなる(進む距離が短くなる)のです。
歩幅を大きく保つためには、脚をしっかり上げるとともに、前へと繰り出していかないとなりません。そのときに重要なのが太もも前側の筋肉とふくらはぎの筋肉です。しっかり脚が上がり歩幅が大きいと歩く姿も生き生きと見えます。歩く速度が速い人は、長生きするという研究結果が示されています。
歩く姿には年齢が表れます。しっかり歩幅を保って歩きましょう。
筋肉を貯める運動「かかと上げ」
目安の回数 片脚16回ずつ
安定感のあるいすを使いましょう
以下のようないすを選びましょう。
●脚が動かない。
●座面がなるべくフラット。
●回転しない。
●折りたたみではない。
1 脚は腰幅に開き、手をいすに添えて背筋を伸ばして座る。片脚のかかとをゆっくり上げ、息を吐きながらゆっくり下ろす。
2 反対の脚も同じようにかかとを上げて、息を吐きながらゆっくり下ろす。交互に16回ずつかかとを上げて下ろす。
◎ここがポイント
立つ、歩く、走る、ジャンプするなど、立った姿勢のときには下腿三頭筋が働いています。これは、ふくらはぎの筋肉で立っているために必要不可欠な筋肉です。大きな筋肉ではないですが、強い力を発揮します。鍛えるとしっかり歩けるようになります。「第2の心臓」と言われているのは、この下腿三頭筋のことで、筋肉を動かすことで血液を心臓へと戻す働きも担っています。
取材・文/石井美佐 撮影/木下大造 イラスト/小沢陽子 モデル/柴田景子