「くしゃみをすると尿がもれる」「頻繁にトイレに行きたくなる」など、尿トラブルは誰にでも起こることです。女性は男性に比べて尿道の長さが短く、また出産などで骨盤底筋が緩んだりするため、排尿のトラブルが起こりやすくなります。しかし「尿もれ」はデリケートな悩みのため、病院へ足を運ぶことをためらう人も。
そこで今回は、尿もれや頻尿などの尿トラブルの改善法を、よこすか女性泌尿器科・泌尿器科クリニック院長の奥井識仁先生と、セントソフィアクリニック院長の伊藤知華子先生のお二人に伺ってみました。
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お腹ぽっこり、お尻が垂れてきた...
骨盤底筋が衰えているかも
ここで、自分の骨盤底筋が緩んでいないか、チェックしてみましょう。
□下腹(おへその下)が出てきた →(1)へ
□お尻が垂れてきた →(2)へ
□スクワットがまったくできない →(2)へ
□立ち仕事をしていると、 膀胱が落ちてくるような感覚がある →(3)へ
▶当てはまることがある人は...
(1)内臓が骨盤底筋を圧迫しています。脂肪の重さが内臓を圧迫して骨盤底筋への負担になります。
(2)下半身の筋力が低下しています。お尻などの筋肉とともに、骨盤底筋が衰えている可能性が高いです。
(3)骨盤臓器脱の可能性があります。ピンポン球ほどの大きさのものが下着にこすれて不快感を覚えたら、すぐに病院を受診しましょう。
骨盤底筋の状態は、分かりましたか? 当てはまる項目があった人は、早めの対策で尿トラブルの予防に努めましょう。
骨盤底筋とお尻の筋肉、実はつながっています!
下のイラストは、「骨盤周りの構造」と「骨盤周りの筋肉」を表したものです。まずはその役割を確認してみましょう。
骨盤周りの構造
●背骨
首からお尻までは、椎骨(ついこつ)という24個の骨で構成されています。背骨と骨盤はつながっており、一方がゆがむともう一方もゆがんだ状態となり、骨盤内の内臓が正常な位置を保てなくなってしまいます。
●血管
骨盤周りの血管は、下肢の血管とつながっています。スクワットなどのトレーニングで筋肉が大きくなるとその分血管も太くなり、骨盤底筋の力も鍛えられます
●骨盤底筋群
骨盤の底にある筋肉。恥骨、坐骨、尾骨に付いている筋肉で、子宮や膀胱、直腸を支えています。また、便意や尿意があると、骨盤底筋群が緩んで排せつします。
骨盤周りの筋肉
●中殿筋
太ももを外側へ開くなどの動作の際に働き、骨盤を安定させるために作用しています。
●大殿筋
歩く、走るなど、脚を大きく動かす原動力となる筋肉。お尻の最も浅い部分にあり、股関節を覆って脚の骨に付いています。
●小殿筋
脚を外側に開くときに中殿筋とともに働く筋肉。立ったり、歩いたりするときに骨盤がぐら つかないように安定させます。
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取材・文/笑(寳田真由美) イラスト/添田あき