「くしゃみをすると尿がもれる」「頻繁にトイレに行きたくなる」など、尿トラブルは誰にでも起こることです。女性は男性に比べて尿道の長さが短く、また出産などで骨盤底筋が緩んだりするため、排尿のトラブルが起こりやすくなります。しかし「尿もれ」はデリケートな悩みのため、病院へ足を運ぶことをためらう人も。
そこで今回は、尿もれや頻尿などの尿トラブルの改善法を、よこすか女性泌尿器科・泌尿器科クリニック院長の奥井識仁先生と、セントソフィアクリニック院長の伊藤知華子先生のお二人に伺ってみました。
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骨盤底筋を鍛えるには下半身の筋力をアップ!
骨盤底筋の緩みが、尿トラブルの原因になるとお話ししました。
では、緩んでしまった骨盤底筋を強化するには、どうしたらよいのでしょう? 奥井先生に伺いました。
「尿もれには複数のタイプがありますが、その原因には共通することがあります。まずは、膀胱周辺の筋力の低下です。強度な筋力があれば、強い尿意を感じても、もれることはありません。次に、膀胱周辺の血流の悪化。血行が悪くなれば、当然骨盤は冷えやすくなり、尿トラブルを招きます。三つ目はホルモンの乱れです。特に更年期以降の女性は、ホルモンの量が減ることで、筋力がさらに衰えやすくなります。これらの改善が、尿もれの改善につながります」
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では、筋力、血流、ホルモンバランスの改善には、どのように取り組めばよいのでしょう?
そのために有効なのが、スクワットです。「実は、お尻の筋肉や太もも周り、股関節周りの筋肉は、間接的にではありますが、 骨盤内の臓器を支えています。 スクワットで下半身を鍛えると、 お尻と下肢をつないでいる血管が太くなり、同時に筋肉も太くなります。つまり、スクワットで下半身の血管を太くして強い筋肉をつくることが、骨盤底筋群を鍛えることになり、尿もれの予防につながります」
尿のトラブルを気にせず、健康的な暮らしを手に入れるためには、体を動かすことが最も有効な手段の一つです。また、スクワットなどの体操で骨盤底筋を鍛えれば、便秘や冷え性の改善も期待できます。
「どうしてもスクワットができないという人は、お風呂で体を温めることを習慣にしてください。冷えを解消することは、尿もれの改善にも有効です」
次の回では、スクワットとともに行いたい骨盤底筋を鍛える体操もご紹介します。まずは できそうな動きを、無理のない回数からでかまいません。毎日続けることを目指しましょう。下半身の筋力が強くなれば、尿トラブルは必ず改善します。
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取材・文/笑(寳田真由美)