閉経後の性交痛・性欲減退で、セックスから遠ざかるのはもったいない! 性的意欲と生きる意欲の関係性

【本作を第1回から読む】性欲減退でセックスレス、喧嘩で包丁が...女性50代前後、男性60代以降は、更年期障害の疑いも

『性ホルモンで乗り越える男と女の更年期 知っておきたい驚異のテストステロンパワー』 (関口由紀/産業編集センター)第4回【全5回】

年齢とともにコントロールできない不調に陥りはじめたら更年期かも? 「女性医療クリニックLUNAグループ」理事長の関口由紀さんは、減少すると更年期症状を引き起こすと言われる男性ホルモン「テストステロン」に注目。『性ホルモンで乗り越える男と女の更年期 知っておきたい驚異のテストステロンパワー』は、生きる活力ともなる「テストステロン」の知られざる可能性を詳しく解説した1冊。女性も男性も、更年期を乗り越えて、元気に生きるヒントが満載です!

※本記事は関口由紀著の書籍『性ホルモンで乗り越える男と女の更年期 知っておきたい驚異のテストステロンパワー』(産業編集センター)から一部抜粋・編集しました。※この記事はセンシティブな内容を含みます。ご了承の上、お読みください。


性欲があってもなくても正常!?

閉経後の性交痛・性欲減退で、セックスから遠ざかるのはもったいない! 性的意欲と生きる意欲の関係性 04_pixta_61076603_M.jpg

男性に関して言えば、1日に1、2回エッチな妄想があるのが正常です。男性は女性と比べるとテストステロン量が4~10倍は高いですから、ムラムラするのは当たり前。

一方、日本女性のほとんどは、性欲は年を重ねれば減るものだと考えている人が多いようです。それに、女性の性欲がわかないことはほとんど問題視されません。

また、海外での事情はずいぶん違います。欧米においては、中高年になっても、セックスは男女の関係を築く上での重要な要素なので、「セックスがしたくない」、「したくてもできない」ことは、離婚の原因にもなる大問題です。事実、アメリカでは、健康であれば60歳代で85%、80歳でも50%のカップルがセックスをしています。一方、日本の夫婦の約5割はセックスレスです(「ジャパンセックスサーベイ2020」の調査で、日本の夫婦の51.9%はセックスレスと報告されています)。結婚している、していないにかかわらず、たとえば65歳のスペイン女性の80%はセックスをしていますが、65歳の日本女性は15%しかセックスをしていません。

女性の場合、特に性欲の減少には、生活環境やメンタル面がかなり影響します。50代前後で閉経を迎えた女性の中には、女性ホルモン低下による性欲減退や性交痛といった身体的な問題が増えるだけでなく、パートナーとの関係性から精神的にも性交をしたくなくなる方が多くいらっしゃいます。さらに、性生活が夫婦やパートナーと大切な絆と考えない方も増えているようです。

ですが、「セックスしなくてもいい」と思っていれば、性欲は減少するばかり。実は、性欲の減少は、健康問題にも直結しています。人は心も身体も使わないと機能が衰えていきます。医学的には廃用性萎縮といいます。セックスしなければ男性のED、女性の腟萎縮(GSM)につながっていきます。セックスするパートナーがいない場合は、セルフプレジャー(マスターベーション)して性機能を維持したほうがよいでしょう。私が更年期女性を外来で診療していても、セクシャル・アクションを続けている方のほうが、明らかに見た目もメンタルも若々しい印象です。

 

関口由紀

『女性医療クリニックLUNAグループ』理事長。医学博士、経営学修士(MBA)、日本メンズヘルス医学会テストステロン治療認定医、日本泌尿器科学会専門医、日本排尿機能学会専門医、日本性機能学会専門医、日本東洋医学会専門医、横浜市立大学医学部客員教授、女性総合ヘルスケアサイト・フェムゾーンラボ社長、日本フェムテック協会代表理事。メディア出演多数。『「トイレが近い」人のお助けBOOK』(主婦の友社)、『女性のからだの不調の治し方』(徳間書店)、『セックスにさよならは言わないで:悩みをなくす膣ケアの手引き』(径書房)など著書多数。

※本記事は関口由紀著の書籍『性ホルモンで乗り越える男と女の更年期 知っておきたい驚異のテストステロンパワー』(産業編集センター)から一部抜粋・編集しました。
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