年齢を重ねるたびに増える体の不調。それは筋肉の使い方が悪いことが原因かもしれません。そこで、ラグビー日本代表選手を支えたアスレチックトレーナー・佐藤義人さんの著書『1分間だけ伸ばせばいいー2つの筋肉を伸ばして体の悩みを改善ー』(アスコム)から、明日から体が軽くなる「筋肉のしつけ方」を連載形式でお届けします。
筋肉は鍛えずに1分間だけ伸ばす、すると体がみるみるよみがえる
腰が痛い、ひざが痛い、足がしびれる、肩がこる、疲れがとれない、眠れない、胃腸の調子が悪い...こういった体の不調は、「2つの筋肉」が動かなくなっていることが原因かもしれません。
姿勢が悪くなると、筋肉の使い方のバランスが悪くなります。すると、使わない筋肉はどんどん動き方を忘れ、使い方が悪い筋肉はどんどん硬くなります。そして、悪い姿勢のまま固まってしまい、やがて体に不調が出てくるのです。
ここでとくに問題となるのが、2つの筋肉「多裂筋(たれつきん)」と「足指の伸筋群(しんきんぐん)」です。
この2つの筋肉が、体の不調の原因になる!
では、どうすればよいのか?動かなくなっている筋肉「多裂筋」と「足指の伸筋群」を動かすだけでいいんです。伸ばすだけで体はよみがえってきます。
動かなくなっている筋肉は、縮めなくなったか、ゆるまなくなったか。だから、伸ばしてあげて刺激を与えましょう。そうすると筋肉は、やわらかくなり、柔軟性を取り戻します。そして、動き方を思い出し、動ける状態が整います。つまり、筋肉をしつければ良いのです。
あなたの2つの筋肉がどれだけ動かなくなっているかチェックしてみましょう。
【チェック1】上体反らし/「多裂筋」の動きをチェックしましょう!
腕を真上に伸ばしてうつ伏せに寝て、足を床から離さずに、反動を使わずゆっくり上体を反らしてみてください。このとき、首だけを上げたり、腰を使って反らさないように注意しましょう。どれくらい反らせますか?
上体を反らしたとき、地面から指先までの距離がどれくらい離れましたか?30センチ以下だった人は、多裂筋がほとんど動かなくなっています。多裂筋がよく動く人ほど地面と指先の距離が離れます。理想は60センチです。
【チェック2】足指つかみ/「足の伸筋群」の動きをチェックしましょう!
右足を、左脚のひざの上にのせ、左手で右足の指をつかんで付け根から曲げてみてください。次に、左足も同じように曲げてみてください。足の甲から曲がりますか?
足指を曲げたとき、足の甲も一緒に曲がりましたか?足指だけが曲がって、足の甲に変化がなかった人は、足指の伸筋群がほとんど動かなくなっています。そもそも付け根から曲げることができなかった人は(写真左)、さらに伸筋群が動かなくなっています。
動かなくなった「多裂筋」と「足指の伸筋群」を動かすならこの2つのストレッチにおまかせ!
この2つの筋肉が動くだけでこんな症状が改善します!
●免疫力の低下
正しい姿勢を維持できるようになると腸の運動が活発になり、免疫細胞の約6~8割があるといわれる腸内環境が整い、免疫力のアップにつながります。
●呼吸が浅い
多裂筋が動くようになると、呼吸運動をつくる横隔膜(おうかくまく)を大きく使えるようになり、ふだんから深い呼吸ができるようになります。
●冷え性
深層部(しんそうぶ)の筋肉までバランスよく動くようになると、筋肉の持つ熱をつくる力と熱を運ぶ力が強くなります。体の隅々まで熱を届けられるので深部体温(しんぶたいおん)が上がり、冷えの改善につながります。
●疲労
筋肉がよく動くと血流が良くなるため、疲れの原因である老廃物(ろうはいぶつ)や疲労物質がスムーズに体の外に排出できるようになります。また、正しい姿勢になると疲れにくくなります。
●筋肉のこり、関節の痛み
筋肉をバランスよく使えるようになると、使われ過ぎてきた筋肉や間違った使われ方をしていた関節への負担が減り、こりや痛みの原因が解消します。
●自律神経の乱れ
肩や首などの筋肉や関節への負担が少なくなるため、その影響を受ける自律神経が安定し、さまざまな不調の改善につながります。
「壁ペタ伸ばし」と「足指グーッと伸ばし」が基本のストレッチです。これで正しい姿勢をつくりましょう。この2つのストレッチを行うだけで1~2週間で効果を実感でき、みるみる体はよみがえります。
伸ばし方のポイントや症状別のプログラムなど、ストレッチ方法は写真付きで分かりやすい!