子どもの頃から多くの人が親しんでいる「ラジオ体操」。でも、あなたが知っているその動き、実は「本気!」ではないかもしれません。そこでぜひお伝えしたいのが、大手航空会社JALで実施されている「本気!のラジオ体操」。同社では、健康管理部のトレーナー指導の下「運動効果抜群のラジオ体操第一」を社員の健康管理に活用し話題となっています。今回は『JAL健康管理部 本気の!ラジオ体操講座』(KADOKAWA)より、そのエッセンスを連載形式でご紹介します。
日常生活にも役立つ!疲れをためないストレッチ&動き方を実践
JALが社員の健康管理に力を入れているのは、「航空会社」であることに起因しています。そして、「乗客の安全を守る」ことを最優先するために、そこで働く一人ひとりが健康であることがなにより大事なミッションである、という意識が高いのも、他の企業の比ではないかもしれません。
なかでも、とりわけ健康に留意しているのが、保安要員としてだけでなく、快適なサービスを提供する客室乗務員でしょう。次のフライトまで疲れを残さず、常に最高のパフォーマンスができるように、オフの日はいつもジム通い、という人も少なくありません。
その客室乗務員を対象に、JAL健康管理部では、乗務の前に行う「1分間体操」をレクチャーしています。主に背中や肩、腰まわりの筋肉を伸ばすことを目的としたこのストレッチは、乗務中の作業効率をアップさせてくれる効果もあります。
また、乗客の命を預かる航空整備士が仕事のあとに行っているストレッチも、健康管理部の指導によるものです。重さ100kg以上もあるタイヤを扱ったり、無理な姿勢で行う作業など、整備士の腰痛問題は深刻です。ストレッチをして「今日の疲れは今日のうちに」と、体の負担をリセットしてあげることは、飛行機の整備と同じくらい重要な任務でもあるのです。加えて、健康管理部では、重い部品を持ち運ぶ機会の多いグランドハンドリングの社員を対象に、腰の負担を軽くする荷物の持ち方などの動作もレクチャーしています。
こうした航空会社の社員ならではのストレッチですが、実は、日常生活でも大変に役に立つものです。体を使う人の疲労回復はもちろん、デスクワークなど体を動かさない人にとっても、普段使わない筋肉を伸ばすことで肩こりや腰痛予防、血行促進にもなるからです。
では、以下で客室乗務員が行うストレッチを紹介しましょう。ぜひ、JAL社員同様、皆さまの体調管理に役立ててください。
ケガ予防ストレッチ
機内で重たいカートを押したり、安全のための確認作業をするなど、客室乗務員の仕事は意外に重労働です。乗務前のストレッチは欠かさずやっています。
【体側を伸ばすストレッチ】
機内上部の荷物入れに手を伸ばす動作などをスムーズに行うためのストレッチです。
日常でも、掃除の前などにやるといいでしょう。
1. 左脚を前にして脚をクロスし、右脚の足先を後方に伸ばすようにして立ちます。
両腕は上に伸ばし、左手で右の手首を持ちます。右手の手のひらは前に向けます。
2. 左手で右腕を上に引っ張りながら、上体を左に倒します。体の右側が気持ちよく伸びるように。
3. 左手を離して左の腰に添え、最後にもうひと伸びします。顔は常に正面で。
反対側も同様に行います。
【肩と腕の動きをスムーズにするストレッチ】
肩甲骨まわりを重点的にほぐして、高いところに手を伸ばす動作を助けます。肩こりにも効果のあるストレッチです。
1. 脚を肩幅に開いて立ち、体の正面で手のひらと肘を合わせます。肘は肩の高さです。
2. 肘の高さはキープしたまま、肩甲骨を寄せながら、腕を後ろに引いて胸を開きます。
3. 手のひらを外側に向けます。しっかりお腹を凹ませましょう。
4. 両腕を上に引き上げ、左右の指先をつけるように伸ばします。腕は耳の横。
ここから順に元のポーズに戻り、1 のポーズで終了です。
【背中と胸のストレッチ】
背中のこりの改善や、胸を開いて姿勢をよくするストレッチです。
1. 脚を肩幅に開いてひざを軽く曲げて立ちます。胸の高さで両手を組み、大きな輪をつくったら、お腹をのぞくようにしながら背中をまるめて、両手は前に伸ばしながら上体を後ろに引きます。背骨まわりの筋肉がほぐれるのを感じましょう。
2. ひざを伸ばして姿勢を正し、今度は両手を背中に回して組みます。肩甲骨を寄せて肩を開き、肘をしっかり伸ばしながら、肩を下げます。
体操前のストレッチや正しい姿勢、さらに「本気の!ラジオ体操」の13の運動と効能が大きな写真で詳しく解説されています