「日本人の3人に1人がなる」とも言われる帯状疱疹。いったいどのような病気なのでしょうか? 宇野皮膚科医院長の漆畑 修(うるしばた・おさむ)先生に、帯状疱疹の症状や、治療・予防法をお聞きしました。今回は「症状と治療の経過」についてご紹介します。
帯状疱疹になったときは皮膚科を受診します。
なぜ発症から72時間以内に受診した方がいいのかというと、「発症してすぐの段階で治療を始めた方が症状を重症化させずに済むからです」と漆畑先生。
帯状疱疹を発症すると上のような経過をたどり、通常は3~4週間で完治します。
発疹が出てから72時間以内に薬を飲めば、10日ほどで治ることが多くあります。
一般的な治療として、内服薬と外用薬が処方されます。
「内服薬は、ウイルスの増殖を抑える『抗ウイルス薬』と、炎症を抑えて痛みを和らげる『消炎鎮痛薬』を使います。『抗ウイルス薬』はできるだけ早く飲み始めた方が治りも早いです。薬局で薬を受け取ったら、その場で1回目を飲みます」
治療が遅れた場合や50歳以上の人は、重症化して合併症や後遺症が出ることがあります。
特に60歳以上の人に起きやすいのが「帯状疱疹後神経痛」。
神経が傷ついて、強い痛みが数年間も続くことも。
また、顔や耳の周辺にできた帯状疱疹は、顔の片側にまひが残る「ラムゼー・ハント症候群」になる恐れがあります。
ほかに、眼瞼結膜炎などの「眼合併症」、手足の筋肉などがまひする「運動まひ」などを起こす人もいます。
「帯状疱疹の重症化を防ぐためには、処方された抗ウイルス薬や塗り薬を途中でやめずに、最後まで使い切ることも大事です」
すぐ病院へ行くべきなのはこの重症化が怖いから
- 帯状疱疹後神経痛
- ラムゼー・ハント症候群
- 眼合併症
- 運動まひ
●症状と治療の経過
※出典:日本皮膚科学会のホームページを基に作成。
取材・文/松澤ゆかり イラスト/祖父江ヒロコ