若々しさを維持するためには、血管が健康であることと、自律神経がしっかりと正常に働いていることが大切です。日本の血管研究をリードし続ける大阪大学微生物病研究所教授の髙倉伸幸先生に血管のお話をお伺いしました。
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Tie2(タイツー)を活性化させて血管の健康を取り戻す
毛細血管を健康に保つには、衰えた血管を修復させる必要があります。健康な毛細血管は、壁細胞からアンジオポエチン-1という成分が分泌されます。この成分が、血管の内側、内皮細胞にあるTie2(タイツー)という分子を活性化させることで、壁細胞と内皮細胞をしっかりと密着させます。万が一、血液成分が必要以上に漏れ出してしまうときには、壁細胞からアンジオポエチン-1が分泌され、血管の内皮細胞同士を密着させて、漏れ出ないように調節します。
ところが、加齢とともに、Tie2を活性化させるアンジオポエチン-1は減っていき、壁細胞も少なくなります。すると、壁細胞と内皮細胞がはがれやすくなり、もろくなった血管から血液成分が漏れ過ぎて、全身に届かなくなります。その結果、必要な酸素や栄養素が細胞に届かないだけでなく、不要な老廃物が漏れ出ることで、水分を回収するリンパ管の流れも滞ります。このことが、毛細血管の老化の一因です。
「Tie2は、活性化を受けると、血管の内皮細胞同士がより強く接着できるので修復能力が高くなります。体の外側からアンジオポエチン-1と同様の作用ができるものを足してあげることで、Tie2を活性化させ、血管が漏れやすい状態を改善できます」(髙倉先生)。
Tie2の活性化を手助けするより身近な手段として、最近期待を集めているものに、シナモン(漢方ではケイヒ)やヒハツ、ルイボスティーがあります。ヒハツは、まだ一般的ではないかもしれませんが、コショウ科の植物で、沖縄を中心にスパイスや調味料として使用されてきました。最近では、大型スーパーマーケットを中心に販売されています。料理や飲み物に少量ふりかけて、手軽に摂取できます。「シナモン(ケイヒ)はエキスで摂ると、より血流改善効果を期待できます」と、髙倉先生。
漢方では、ケイヒエキスを含むものも多いので、冷えやむくみが気になる人は試してみるのもいいでしょう。その際は、漢方医や薬剤師に相談を。Tie2を活性化する食材を上手に取り入れて、血流力を高めましょう。
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取材・文/寳田真由美