「食べられない」はなぜ起こる?「摂食嚥下障害」の2大要因とは/介護NOW

加齢による衰えや病気の後遺症などで、自分の力で"食べる"ことが難しくなることがあります。どうして食べられなくなってしまうのか、その要因について、ふれあい歯科ごとう代表の五島朋幸先生にお話を伺いました。

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前の記事「一つでも当てはまったら医師と相談!「食べる力」6つのチェックポイント/介護NOW(1)」はこちら。

 

二大要因は「病気」と「廃用症候群」

食べられなくなる要因には大きく二つあります。

一つは「病気」です。

脳梗塞などの病気で神経などに後遺症が残ったり、認知症により食べ物が認識できずに、飲み込めなかったり咀嚼できなくなってしまうケース。

二つ目はさまざまな心身の機能が低下する「廃用症候群」です。

例えば、高齢になって外に出ることなく家にこもってしまい、日々の生活習慣や食事が乱れて知らない間に歩行もできなくなるほど体力が低下。次第に食べる機能も落ちて、摂食嚥下障害を起こしてしまうのです。

「全ての病気を予防することは難しいですが、廃用症候群は3食きちんと摂る、体を動かすなどに気を付けることで予防することができます。最近は家族と暮らしていても生活サイクルが異なるために各々で食事をする"孤食"も増えています。孤食は楽しみを見いだしにくく、食べることが面倒になって食生活が乱れがちに。食事の量が減ると体力低下の要因になります。

口腔機能を維持するには、やはり日頃のケアが大切です。口内環境を清潔に保つ、食事の際に左右どちらかに極端に偏った口の使い方をしないなど心がけたいですね」(五島先生)

 

◆"食べられない" はなぜ起こる?

【原因1】「病気」

脳梗塞や脳出血などによる神経などの後遺症やがんなどによる機能障害が要因に。認知症では食べ物が認識できずに、飲み込んだり咀嚼したりが困難になります。


【原因2】「廃用症候群」

病気の治療のため過度に安静にするなど、体を動かさないことで筋力が衰え、関節の動きが低下。最悪の場合、寝たきりになり、摂食嚥下障害で食べられなくなる場合も。


↓ これらを主な要因として...


かむ・飲み込むが上手にできない「摂食嚥下(えんげ)障害」に!

食べ物を認識して口から咽頭(いんとう)を通り胃へ送る一連の動作「摂食嚥下」が障害されること。歯でかみ砕く、舌を使って食べ物を喉へ送る、飲み込む(嚥下)などが困難になります。空気を送る気管には喉頭蓋(こうとうがい)というふたのようなものがあり、ここが上手に機能しないと食べ物が気管に入り込む「誤嚥」となり、肺炎になる危険性があります。

 

次の記事「"食べる力"を取り戻す!「摂食嚥下障害」治療のキーマンは"歯科医"」/介護NOW」はこちら。
取材・文/中沢文子

 

<教えてくれた人>

五島朋幸(ごとう・ともゆき)先生

ふれあい歯科ごとう代表。日本歯科大学卒業。歯学博士。日本歯科大学附属病院口腔リハビリテーション科臨床准教授、新宿食支援研究会代表。訪問歯科診療と摂食嚥下障害の治療に力を注いでいる。

この記事は『毎日が発見』2019年4月号に掲載の情報です。

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