気管に入った唾液や飲食物が原因! 誤嚥性肺炎はこうして起きる

pixta_34565331_S.jpgのどは「発声」「呼吸」「飲み込み」の役割を担う重要な器官です。しかし、年齢とともに全身の筋肉が衰えるように、のどの筋肉も衰えていきます。飲み込み力がおちて誤嚥性肺炎になる恐れがあります。のどを鍛えるにはどうすればよいか、池袋大谷クリニック院長の大谷義夫先生に聞きました。


前の記事「肺炎は日本人の死因第3位! のどを鍛えて寿命を10年のばしましょう(1)」はこちら。

 

加齢でのどの機能が低下し、肺炎を起こしやすくなる

私たちが口から摂取した飲食物や唾液は、食道を通って胃に届きます。
それらが誤って気管に入ることを「誤嚥」といいます。下の1から3の経路をたどり、最終的に肺が炎症を起こした状態が「誤嚥性肺炎」です。

細菌やウイルスが肺に入り込む原因とは?
誤嚥性肺炎はこうして起きる

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1 唾液や飲食物が気管に入ってしまう
睡眠中、気管の入り口のふたである喉頭蓋(こうとうがい)に隙間ができ、唾液、胃から逆流した飲食物、胃液などが気管に入ります。

2 誤嚥したものが胃液と一緒に肺に入る
気管の入り口から誤って入り込んで来た唾液、飲食物、胃液などが、気管を通って肺に到達します。

3 肺で炎症が起こり「肺炎」になる
唾液に含まれる細菌などが肺で繁殖したり、強酸性の胃液が肺を傷つけたりして、肺に炎症が起き肺炎を発症します。


のどは空気と食べ物、飲み物が交わるところなので、飲食物や唾液が気管に入らないように、のどの筋力を使い気管の入り口の喉頭蓋をしっかり閉める必要があります。

誤嚥で圧倒的に多いのは、食べ物ではなく『唾液の誤嚥』です。寝ている間に、細菌の繁殖した唾液を繰り返し誤嚥して、肺が炎症を起こします。睡眠中に胃液が逆流し、気管に入ることで起こる誤嚥もあります。誤嚥が起こる原因は、年齢とともにのどの筋力が落ち、飲み込みが悪くなるためです。また「えへん」と咳をして異物を気管から出す力が弱まっていることも、誤嚥につながります。

 

気を付けたい症状や病気はコレ! 

誤嚥から肺炎になりやすいのはこんな人

1 生活習慣病などの病がある人

▶原因
動脈硬化が進み、脳のMRI検査で見つかる「ラクナ梗塞」という小さな脳梗塞があると、飲み込み力が低下。誤嚥が起こりやすいことが分かっています。他にも脳梗塞、動脈硬化、睡眠時無呼吸症候群、食道・胃の疾患などがある人は、誤嚥を起こしやすく、肺炎になるリスクが大きいです。

予防 
下に挙げたどの持病でも、食事内容を改善し、有酸素運動を取り入れましょう。特に、脳梗塞や動脈硬化の人は、血管をしなやかに保ち、血流をよくすることが大切です。高血圧や肥満は危険因子なので、禁煙して血圧やコレステロール値を管理します。

◎こんな持病がある人は要注意
・ 脳梗塞
・ 動脈硬化
・ 睡眠時無呼吸症候群
・ 食道・胃の疾患など

 

2 のど仏の位置が下がっている人
▶原因
食物を飲み込むとき、のど仏が上に動き、喉頭蓋が気管の入口をふさぎます。加齢により、のど仏の位置は下に下がります。飲み込むとき、のど仏の移動距離が増えてしまいます。咽頭蓋が気管にかぶさるタイミングが合わなくなり誤嚥が起きるのです。

予防 
のど仏が下がっているかどうかは、自分で触ってみても分かりません。しかし、のど仏を動かしている筋肉は、40歳代から次第に衰え始めます。筋力を落とさないようにするためには、後日公開する記事で紹介する「飲み込みのどトレ」を行うとよいでしょう。

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3 むせやすい人
▶原因
嚥下障害で気管に飲食物や唾液が入りやすい人、咳ができない寝たきりの人などがむせやすく危険だといえます。また、食事の姿勢が横たわったままや、背もたれに寄りかかった状態であると、食道が狭まるためむせる原因になります。

予防 
むせても、咳をして気管から異物が出せるなら、誤嚥には至りません。せきを出すには後の記事で紹介する「呼吸筋のどトレ」で筋肉を鍛えましょう。もし誤嚥しても、細菌がなければ肺炎を防げます。歯磨きや舌磨きなどの口腔ケアで細菌を減らすことが重要です。

 
初期症状を発見し早めの治療を

誤嚥性肺炎にかかると、発熱にともなって、下のような初期症状が現れることが多いです。しかし、年を取るにつれて免疫力が弱まるため、熱がでても37度台ぐらいの場合があります。他の症状も顕著ではなく、肺炎だと気が付かないこともあります。

いつもと違って何となく元気が出ず食欲もない、というようなときには、念のため受診するとよいでしょう。

【肺炎の主な初期症状】
・膿に似た濃い色の痰が出る
・激しく咳き込むことがある
・倦怠感やだるさが続く
・のどがゴロゴロする

 

次の記事「飲み込み力アップ! 「発声のどトレ」でのどの筋力を鍛えましょう(3)」はこちら。

取材・文/松澤ゆかり・山川寿美恵

<教えてくれた人>
大谷義夫(おおたに・よしお)先生

池袋大谷クリニック院長。群馬大学医学部卒業。九段坂病院内科医長、東京医科歯科大学呼吸器内科医局長などを経て2009年より現職。著書は『65歳からの誤嚥性肺炎のケアと予防9割の人は持病では死なない!』(法研)など。

この記事は『毎日が発見』2018年3月号に掲載の情報です。

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