4年目ですでに施設長は4人目...。母の異変時、施設の対応で感じたこと/中道あん

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前回の記事:変色した顔を見て複雑な思い。老人ホームで暮らす母がケガをした時

母の80歳の誕生日のプレゼントを片手に、夕飯時に施設を訪問したときのこと。

玄関ドアのロックを外してくれたのはケアマネ。「きっとくるぞー」と心の準備をしていたら、きた! 母に対する嫌味を一言、二言。最後に「今は食堂で腹痛を訴え、すったもんだしている最中だ」と言います。「さっきまで機嫌よく、うろうろしていたのにねぇ」と。

「ほんと、仕方のない婆さんですよねぇ」なんて言いながら食堂へ行ってみると、他の入居さんはほとんど食事を終えていました。母が一人席につき、テーブルの向かいに看護師、横には介護職員。ワーワーと母に何か問いかけているようでした。

そばまでいってみると、口に食べ物を入れたまま、左手で右手を抑え、前後左右に忙しなく動かしているのです。口はぽっかりと開けたままで、咀嚼できない様子。看護師は「お腹が痛いの?」「なんか様子が変ですよね」と、母の名前を呼んでみたりして考え込んでいる。

私が「お婆さん」と呼びかけると、チラっとこちらを見ました。その顔の右半分、瞼の辺りをピクピクと痙攣させながら、何かを言いたそうにして、忙しなく手を動かしていました。

「病院へ行きますか?」という看護師の問いかけに、「はい」と答えましたが、私はその数分前からヤキモキしていたのです。

口の中の食べ物はいつから入ったままなのだろう。

テーブルの上に置かれた食事はほとんど手がつけていない。

最初の一口目で様子がおかしくなったのであろうか...。

「すいませんが口の中の物を吐き出させてください」「誤嚥になったら命取りですよね」と言うと、ようやくスタッフがプラ手袋をはめて、母の口の中ら食べ物をほじくり出しました。

口に物がなくなるとようやく話すことができて、「言いたいことは分かるけど言われやへん」とおぼつかない口調の母。その口にはまだ食べ物の残骸が。

「口はすすがないといけなんじゃないですか」と言うと、口を清掃してくれました。

摂食嚥下障害かもしれないという危険予知はなかったのか。私がいなければ母はどうなっていたのだろう、とかなりイライラが募りました。

病院に連絡を取り、連れて行くことになりましたが、施設職員は手が足りないので付き添いは無理と告げられました。介護タクシーを呼び、待っている間に着替えをお願いしました。

きっと私が言わなければ、食べこぼしの服のまま、汚れたオムツも交換せずに向かったことでしょう。

幸いに、病院に着くころには症状も収まり、普段と変わらぬ母に戻っていました。MRIには異常は認められなかったものの、しかし念のため入院となりました。

 

母はこの施設の開設当初に入居しました。
まだ開設4年ほどですが、すでに施設長は4人目です。
最初の施設長、ケアマネはとても気が利き、アドバイスなどもよくしてくれ、とても頼りがいがありました。しかし、その施設長が退職されると、次々と人が離れ、ケアマネも退職されてからは、職員に対する不信感は募る一方です。新しい施設長とはほとんど話をしたことがありません。

以前、施設長が転属になる時に、今後の運営について聞いてみました。
「介護職員がころころと入れ替わり仕事を覚える前に退職してしまう、これではよりよい介護はできません。これからは海外からも人材を集める方針で、現在インドネシアで人材育成を行い、日本で介護士として受け入れるその訓練中です。人手が確保できれば、職員にも余裕が生まれ、十分なケアが望めるようになります」。

それを聞いて、「国が違えば習慣や文化も違うし言葉の壁もある。それを高齢の入居者が柔軟に受け入れられるだろうか」という心配もありましたが、今回の入院時のいきさつを振り返ると、やっぱり最後は「人」だなと思うのです。介護に携わる人が増えればそれだけ層も厚くなるでしょうし、現場にゆとりも生まれるでしょう。やらなければならないことが多すぎると、一つ一つのパフォーマンスも落ちるのだと思いました。

インドネシアからの助っ人が施設に良い風を吹かせてくれることを願っています。

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中道あん

「女性の生き方ブログ!50代を 丁寧に生きる、あんさん流」主宰。Ameba公式トップブロガー。結婚22年で夫と別居。自立した人生を送るため、正社員として働きだしました。社会人の長男、大学生の長女と同居しています。要介護2の実母は3年半同居生活の後有料老人ホームにて暮らしております。

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『50代、もう一度「ひとり時間」』(KADOKAWA)

20代で結婚、2男1女を授かり、主婦として普通に生きてきた。でも50代になると人生の転機が頼まれもしないのに訪れる。夫との別居、母の介護、女性としての身体の変化、子どもたちの成長。そこから見つけた「ひとりの楽しみ」をあますところなく伝え続ける、「あんさん」流のアラフィフライフ。50代からの人生を前向きに過ごすためのヒントが満載。

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