ながら食事をやめ、歯磨きを増やす!? シニアは特に注意したい「誤嚥性肺炎」の予防法

「のど」は、呼吸、飲み込み、発声という3つの重要な役割を果たしており、私たちが生きていく上で不可欠な器官です。同時に、外部から空気や食べ物を取り込む「のど」は、病原菌を遮る第一関門でもあります。「長生きしたければ、のどを鍛えましょう」と話す池袋大谷クリニックの大谷義夫先生に、「誤嚥性肺炎」を防ぐ方法について教えてもらいました。

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シニア世代はワクチンの予防接種も効果的

誤嚥性肺炎を防ぐためにまず行いたいのは、動脈硬化の予防、口腔ケア、葉酸の摂取の3つ。

このほか、65歳からの肺炎球菌ワクチンの予防接種も推奨されています。

13種の型に対応する「結合型ワクチン」、23種の型に対応する「多糖体ワクチン」の二種があり、両方の接種がより効果的。

自治体により異なりますが、65歳から費用の一部、または全額が補助されます。 

また、飲食物や唾液を誤って気管に入ってしまう「顕性(けんせい)誤嚥」の予防には、テレビや新聞を見ながらの"ながら食事"をせず、飲食に集中する、食事前に5回、唾液だけを飲み込む空から嚥下をし、食べ物を飲み込む事前練習をするといった方法も効果的です。

誤嚥性肺炎を防ぐために動脈硬化を予防

ラクナ梗塞のほか、脳梗塞の後遺症によりのどの機能が低下することも。

血圧などに注意し、脳梗塞を引き起こす動脈硬化を予防します。

睡眠時無呼吸症候群も脳血管障害の要因に。

夜中に酸素不足になって血圧が上昇し、高血圧になる確率が増加します。

検査はMRI、頸動脈エコーの二つを受けます。

口の中を清潔に保つ

口の中には多くの細菌が存在し、実は不衛生。

細菌が減れば、誤嚥性肺炎のリスクは低下します。

大谷先生がすすめるのは、1日4〜5回の歯磨き。

食後3回に加え、夜中に寝ているときは唾液が減って細菌が増えやすいため、寝る直前に1回および朝起きた時の朝食前に1回の計4~5回行うと良いでしょう。

葉酸を積極的に摂る

嚥下機能やせき反射機能を促す脳内神経伝達物質「ドーパミン」の合成に、ビタミンB群の葉酸が役立つことが分かっています。

50歳以上の1日推定平均必要量は200㎍。

多く含まれるのはレバーや緑色野菜。

目安は鶏レバーなら約15g、牛レバーなら約20g、ほうれん草やブロッコリーなら約100gです。

構成・取材・文/岡田知子(BLOOM)

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<教えてくれた人>

大谷義夫 先生

おおたに・よしお 池袋大谷クリニック院長。群馬大学医学部卒業後、九段坂病院内科医長、東京医科歯科大学呼吸器内科医局長、アメリカ・ミシガン大学留学などを経て、2009年より現職。呼吸器内科のスペシャリストとしてテレビや雑誌への出演も多い。『長引くセキはカゼではない』(KADOKAWA)など著書多数。

この記事は『毎日が発見』2019年12月号に掲載の情報です。
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